「対人恐怖症は性格と関係あるの?」
「対人恐怖症は性格と勘違いされやすいって本当?」
このようなお悩みはありませんか。
対人恐怖症には、なりやすい性格があるといわれています。ただ、性格で決まるものではなく、ほかにも要因があります。また、対人恐怖症は性格と勘違いされやすく注意が必要です。
本記事では、対人恐怖症になりやすい性格を解説するとともに、発症の要因となる要素も解説します。また、特になりやすい性格をお持ちの方に向けて、治療法や予防のポイント3選も紹介しているので参考にしてください。
なお、対人恐怖症の治療は横浜よりそいメンタルクリニックにご相談ください。経験豊富な専門医が在籍しており、環境面や設備面も充実していて、専門的な治療を受けられます。
対人恐怖症は性格と関係あるの?
対人恐怖症には、どちらかというとなりやすい性格があると考えられています。
たとえば、神経質になりやすい方や不安を感じやすい方、人見知りが激しい方などが比較的なりやすいです。ただ、あくまで「なりやすい」という傾向的な話になるので、神経質な方や不安を感じやすい方は怖がらず、あまり重く受け止めないようにしましょう。
対人恐怖症の原因は性格以外にもさまざまな要因が重なって発症することもあります。重要なのは、対人恐怖症が治療可能な病気であることです。対人恐怖症になりやすい性格をお持ちの方は、治療法などや予防するためのポイントを理解しておくことが大切です。
対人恐怖症は性格だけの問題ではない
対人恐怖症は、性格と勘違いされてしまうことがあります。対人場面で不安や強い緊張を感じていても「緊張しやすい性格なだけ」「恥ずかしがり屋なだけ」と周囲も本人も思い込んでしまうケースがあります。
ただ、対人恐怖症は医学的なサポートが必要な病気であり、早めの受診が大事です。単なる性格の問題ではありません。
日常生活や学業、仕事に影響が出るほど困っている人は、つらい症状を我慢したりあきらめたりせずに専門医に相談してみることを強くおすすめします。
対人恐怖症のおもな症状
対人恐怖症と社交不安障害は重なっている部分も多く、症状も似ています。この項では、対人恐怖症のおもな症状を解説します。
|
それでは、詳しく見ていきましょう。
対人緊張
対人緊張は、目の前にいる人や、周りにいる人の存在を過剰に意識してしまい、苦痛に感じてしまいます。特に、新しい環境や初対面の人と会うときなどに強い不安や恐怖を感じます。
自分だけ孤立したように感じて、話そうとしてもどうしたらいいか分からなくなるなどの感覚で頭が真っ白になりやすいです。
発汗や震えなどの症状もおこります。
赤面恐怖
赤面恐怖は、人前に立つと顔が赤くなってしまうことを気にして、結果さらに緊張してしまうものです。徐々に人前に立ったり話したりすることを避けるようになります。
顔が赤くなっていることを誰かに指摘された時から、急に意識が自分に向いて社交場面が苦手になってしまうパターンもあります。
会食恐怖
会食恐怖は、他人と食事をする際に、食べているところを見られることに強い緊張を感じる症状です。
緊張して食事が喉を通らずに一口も食べられないこともあり、それを他人に見られて変に思われないだろうかとさらに緊張します。
家族や親友の前だと食べられるケースもあります。
視線恐怖
視線恐怖は、自分の行動を誰かに見られたり、目が合ったりすると「変に思われているんじゃないか」「笑われているんじゃないか」と考えて恐怖を感じてしまいます。
逆に、自分の視線が相手に対していやなイメージを与えているのではないかというパターンもあります。
人の目が怖くなったり、逆に自分の視線に意識がいきすぎて、不安が増大してしまうのです。
書痙
書痙は、人に見られながら字を書くことに強い緊張を感じてしまう症状です。具体的な場面は、黒板に字を書いたり、役所で書類を書いたりするときなどがあります。
手が震えていることや、震えた字を書いていることで「変に思われてないだろうか」とさらに緊張してしまい、次第に人前で書くことを避けるようになってしまいます。
振戦恐怖
振戦恐怖は、仕事の場面で、上司に見られながらだとパソコンを打つ手が震えてしまうだったり、来客でお茶を出すときに手が震えてしまうなどの症状です。
これを振戦恐怖といい、人に見られながら何か行動をしようとすると手足が震えてしまいます。さらに、震えを見られることで、ますます緊張してしまいます。
発汗恐怖
初対面の人と話すときに、手汗をかく人はわりと多いかもしれません。ただ、発汗恐怖の方は、人と接するときの緊張から大量の汗をかきます。
その緊張から手だけではなく、額や足、全身に汗をかく人もいて、それを見られることにさらに緊張や苦痛を感じます。
スピーチ恐怖
スピーチ恐怖は、会議やプレゼン発表、結婚式のスピーチなど大勢の人の前でスピーチをすることに強いプレッシャーと恐怖を感じる症状です。
頭が真っ白になったり、次の言葉が出てこなかったりして焦るなどの経験をすると、ますますそういった場面が怖くなり、強い苦痛を感じます。
管理職になって急に人前で話す機会が増えた人などに、あらわれやすい症状ともいわれています。
電話恐怖
電話をとっても、緊張で言葉が出なかったり、周りに聞かれていると思うと電話をとれないなどの症状が電話恐怖の症状です。
特に、電話の相手が目上の人だったりするとさらに強い緊張を感じてしまいます。
電話をかけること、うけることの両方が怖くなり、特に仕事で支障をきたしてしまう症状です。
腹鳴恐怖
腹鳴恐怖は、会議中や異性とのデート、学校の授業中などの時間で、お腹が鳴るのではないかと心配しすぎてしまう症状です。
そのため、人が集まる場所を避けたりしてしまいます。また、気にしすぎることでさらに不安になってしまい、日常生活に支障が出てしまいます。
自己臭恐怖
自己臭恐怖は、自分の体臭や口臭などが周りの人に不快感を与えていないか気にしすぎてしまい、不安や緊張が高まってしまう症状です。
自分の臭いへの意識が過剰になってしまって、次第に人といることを避けるようになってしまいます。
周りが自分の臭いについてうわさしているのではないかと感じる方もいて、被害的な妄想につながってしまうパターンもあります。
対人恐怖症の原因
対人恐怖症の原因はいまだ解明中ですが、大きく分けて以下の5つの要因が考えられています。
|
家族に不安障害などを抱えている人がいると、自身も発症のリスクが高まるといわれています。また、幼少期の家族環境や親子関係などの環境的要因も原因です。
前述した性格の要素も関わってくる可能性がありますし、本人の自信のなさや劣等感、考え方なども関係しやすい要因のひとつです。
対人恐怖症の治療法
対人恐怖症に効果がある治療法は、おもに下記の2つです。
- 精神療法
- 薬物療法
それぞれくわしく解説します。
精神療法
対人恐怖症でよく用いられる精神療法としては、おもに下記の2つです。
◯認知行動療法
認知行動療法とは、医師やカウンセラーと対話しながら患者さんのものの見方やとらえ方を修正していく方法です。最終的に行動が変わっていくことを目指していきます。
認知とは「ものの受け取り方や考え方」という意味で、対人恐怖症の方は日常で受ける強い不安やストレスから、認知が歪んでしまっている傾向にあります。
考え方を変えていくには地道な作業が必要ですが、医師やカウンセラーとの対話やワークなどを通じて少しずつ改善させていき、バランスの取れたしなやかな認知をもつことが目標です。
治療を進めていくことで自信がつき、悲観的な考え方が取り除かれていって、行動する勇気が湧いてくるでしょう。
◯森田療法
森田療法とは、大正から昭和にかけて活躍した森田正馬という精神科医が考案した、伝統的な精神療法です。
特に、対人恐怖症を含む不安障害に効果が期待できるとされています。内容としては、自己の不安な気持ちや症状を自然のままに受け入れて、あるがままに生きていくことが基本となっています。
無理やり不安や恐怖を排除するのは逆効果で、そのままにしておくことがポイントです。
薬物療法
この項では、対人恐怖症で使われることの多い薬を解説します。以下の通りです。
◯抗うつ薬
抗うつ薬には、脳内の神経伝達物質のバランスを調整する働きがあり、不安感を改善する効果が期待できます。神経伝達物質とは、セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンという脳内に存在する物質のことです。
特に選択されることの多い抗うつ薬は、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と言われている薬で、セロトニンのバランスを調整してくれます。
特徴としては、効果が出るまでに2〜3週間かかり、長期間服用することが前提の薬であることです。
自己判断で服用を止めてしまうと副作用が生じる可能性があるため、止めるときは医師と相談の上、徐々に減薬するのが大事です。
◯抗不安薬
抗うつ薬のほかに、抗不安薬が処方されることもあります。両者をうまく組み合わせながら治療していくことも多く、抗うつ薬にはない特徴があるのがポイントです。
現在、抗不安薬で使用されているものの多くがベンゾジアゼピン系といわれているものです。
特徴としては、即効性があり、服用してから30分ほどで効果がでてきます。ただ、注意が必要なのが、依存性があることです。そのため、長期の服用は難しく、医師と相談しながら適切に使用していくことが重要になります。使い方を間違えなければ、とても役立つ薬でしょう。
◯漢方薬
対人恐怖症の治療には、抗うつ薬や抗不安薬の選択がメインとなりますが、薬を服用することに強い抵抗があったり、副作用が心配な方には漢方薬が使用されることもあります。
漢方薬は即効性があるというよりかは、じわじわと効いてくるもので、副作用の心配は少ないのが特徴です。
対人恐怖症に対しておもに使用される漢方薬は、以下になります。
|
どれも不安の軽減に期待ができ、継続的な服用が重要です。
種類もあって、自分の体質や症状に合った漢方薬が選ばれるため、ひとりひとりの状況に合わせた治療も可能となっています。
対人恐怖症を予防するためのポイント3選
対人恐怖症を予防するポイントはおもに3つ挙げられます。
- あいさつをこころがける
- リラックスして腹式呼吸してみる
- アロマやお香を嗅いでみる
それでは、みていきましょう。
あいさつをこころがける
あいさつは対人関係を良好にするための基本です。学校や職場などで、人に出会ったら自分からあいさつしてみるように心がけてみましょう。毎日あいさつをするだけで印象がぐっと良くなり、相手も自分も気持ちがふっと和らぎます。
難しいことをする必要はありませんし、短いあいさつで大丈夫です。苦手な方は、家族の前で練習したりしてみましょう。
緊張感を軽くすることで、その後の会話もしやすくなるのでぜひ意識してみてください。自分から、安心しやすい空気感を作っていきましょう。
リラックスして腹式呼吸してみる
対人恐怖症の方は、日頃からリラックスを心がけることがとても重要です。緊張している時間が多いため、交感神経が優位になりがちです。自律神経が乱れるとさらに不安を感じやすくなってしまうので、リラックスして自律神経を労わってあげましょう。
特に腹式呼吸はリラックスにもつながり、不安や緊張を楽にしてくれます。
やり方は、ゆっくりと息を吸い込みお腹が膨らんでいるのを感じてください。そして吸い込んだ時間の2倍ほどの時間をかけて息をゆっくりと吐いていきます。このときお腹がへこんでいくのを感じることが大事です。
何回か腹式呼吸を繰り返して、身体を脱力させていきましょう。日常的に行うことで、コツをつかんでいき対人恐怖症の症状軽減に期待できます。
アロマやお香を嗅いでみる
アロマやお香は不安や緊張を和らげる効果があるとされています。夜寝る前など、静かに落ち着ける空間で香りを楽しむことで、一日で溜まった全身の緊張が抜けて睡眠の質も上がるでしょう。
種類もたくさんあるので、興味のある方は自分の好みの匂いを探してみるのもおすすめです。
腹式呼吸や深呼吸を合わせて楽しむと、より効果的になるでしょう。
対人恐怖症と社交不安障害の違い
対人恐怖症は、どのような場面や人物かに関わらず対人全般が恐怖です。これに対して社交不安障害は、特定の社会的場面や人間関係に強い恐れを感じます。具体的には仕事の会議やプレゼンテーション、パーティーや会食などが挙げられます。
ただ、両者は密接に関係していて、近年では対人恐怖症は社交不安障害のなかの一つとして考えられることが多いです。
いずれにせよ、どちらの病気も日常生活に大きな影響を与えるので、適切な診断と治療を受けましょう。
早めの治療が大切
対人恐怖症になりやすい性格はあるといわれていますが、あくまでも要因のうちのひとつであり、それだけで決まるものではありません。
そして、対人恐怖症は性格だと勘違いしてつらい症状を我慢している人も多いため、注意が必要な病気です。
対人恐怖症や社交不安障害が疑われるような症状があらわれていて、日常生活に支障をきたし始めている方は早めの受診を強くおすすめします。
当院では対人恐怖症はもちろん、うつ病などの精神疾患も含め幅広く対応が可能です。
アクセスも良く、土日も診療しており、設備面も充実していて通院しやすい環境が整っています。ぜひ横浜よりそいメンタルクリニックまでご相談ください。