「過敏性腸症候群の重症度をチェックする方法は?」
「過敏性腸症候群が疑われる場合に受診すべきかの基準は?」
上記のような悩みを抱える方も少なくないでしょう。
過敏性腸症候群にはいくつかの段階があり、症状によっては重度と判断されることがあります。
この場合に放置してしまうと症状のさらなる悪化につながってしまい、強い悩みやストレスの原因になりかねないでしょう。今回は過敏性腸症候群の重症度をチェックする方法や病院を受診すべき基準を解説します。
なお、過敏性腸症候群の重症度をチェックする方法を知りたいと考えているなら、横浜よりそいクリニックへご相談ください。実際の検査はもちろん、過敏性腸症候群に関するさまざまな悩みを解決いたします。
過敏性腸症候群の重症度チェック方法とは
過敏性腸症候群(IBS)の重症度をチェックするためには、以下の2つの要素を確認するのが重要です。
- 症状の頻度
- 便の形状
まずはどのくらいの頻度で症状が発生するのかを確認しましょう。もし腹痛が週に1回以上のペースで3ヵ月継続しているのであれば、過敏性腸症候群が重症化している可能性が疑われます。
また、便の形状もしっかりと確認する必要があります。硬い状態の便が続いたり、逆に下痢のような状態が長期間継続するのであれば重度の過敏性腸症候群の疑いが高くなります。
便の形状によってどのタイプに分類されるかも判断できるため、重要な要素となるでしょう。
総合的に判断したうえで中等度以上の症状に分類される場合は、早めに専門医を受診するのも検討してみてください。
過敏性腸症候群の重症度チェックに引っかかったら病院に行くべき?
過敏性腸症候群の重症度チェックを行った結果「中等度」または「重度」に該当する場合、医療機関の受診を検討しましょう。
特に以下のような状況が認められる場合は、症状が重症化しており専門医による診断が必要と考えられます。
- 腹痛が日常生活にも影響を及ぼしている
- 血便が確認できる
- 体重の減少や食欲の低下が見られる
例えば腹痛が頻繁に起こっていると、日常生活や仕事に影響を与えかねません。場合によっては、普段の生活がままならなくなってしまう場合もあるでしょう。
また、過敏性腸症候群によって血便が引き起こされる可能性もあります。ただし、他の消化器系疾患である可能性も疑われるため、確認できた場合は早急に検査が必要です。
医療機関では血液検査や便潜血検査・内視鏡検査などによって、過敏性腸症候群以外の疾患がないかを判断します。
そもそも過敏性腸症候群とは
過敏性腸症候群(IBS)とは、消化器官に異常が認められないにも関わらず、慢性的に腹痛や便通異常を引き起こすものです。
過敏性腸症候群は腸の運動機能や感覚に異常が生じる「機能性消化管障害」の一種と考えられます。
原因はさまざまですが、ストレスによる腸内環境の乱れなどが考えられています。さらに食生活が乱れている場合も、影響を受けやすいのが特徴です。
過敏性腸症候群に悩む人の多くは20代から40代とされており、特に女性に発症の傾向が見られます。
過敏性腸症候群自体は、決して命に関わる病気ではありません。しかし症状が慢性化すると、日常生活にも影響を及ぼす可能性があります。
過敏性腸症候群そのものがストレスになるおそれもあるため、適切な治療や管理が重要になるでしょう。
過敏性腸症候群になる原因とは
過敏性腸症候群になる原因は、主に以下の通りです。
- 心理的ストレス
- 腸内環境の乱れ
- 食生活の乱れ
詳しく解説します。
心理的ストレス
心理的ストレスを受けると、自律神経系のバランスが乱れます。基本的に、自律神経は交感神経と副交感神経がバランスをとりながら身体の機能を調整しますが、ストレスを受けると交感神経が優位になり、腸の運動や分泌が過剰に刺激される場合があります。
そうすると、腸が正常に働かなくなり、腹痛や下痢、便秘などの症状が現れやすくなります。
また、ストレスによって分泌されるホルモン、特にコルチゾールが腸の機能に直接的な影響を与えることもあります。
コルチゾールの分泌が増えると、腸内の炎症が悪化したり、腸の粘膜の防御機能が低下したりする可能性が高まります。
その結果、腸が外部の刺激に対して過剰に反応し、痛みや不快感を感じやすくなるのです。
腸内環境の乱れ
腸内環境は、腸内に存在する膨大な数の細菌や微生物のバランスによって維持されており、この微生物群を総称して「腸内フローラ」と呼びます。
この腸内フローラの状態が正常に保たれている場合、腸はスムーズに機能し、消化や吸収、免疫の維持などが可能です。
しかし、何らかの要因でこのバランスが崩れると、過敏性腸症候群のような症状が引き起こされる可能性があります。
腸内環境が乱れる原因として、食生活の偏りやストレス、不規則な生活習慣などが関係します。
食生活の乱れ
過敏性腸症候群(IBS)の原因の1つに、食生活の乱れが関係しています。まず、考えられるのが脂質や糖分の多い食品を頻繁に摂取している点です。
揚げ物やファストフード、甘いお菓子などは腸の働きを鈍らせる可能性があり、腸内の炎症を引き起こしやすい食品です。
これらの食品は消化に時間がかかるため、腸に過剰な負担をかけてしまいます。
さらに、食物繊維の不足も腸の健康に悪影響を及ぼします。食物繊維は腸内細菌のエサとなり、腸内環境を整える重要な要素です。
しかし、野菜や果物、全粒穀物などをあまり摂取しない食事では、腸内の善玉菌が減少し、有害な菌が増殖しやすくなります。
このバランスの崩れが腸内フローラに悪影響を与え、腸の機能を低下させる原因となるのです。
過敏性腸症候群は4つに分類される
過敏性腸症候群は大きく分けると、以下の4つに分類されます。
- 便秘型
- 下痢型
- 混合型
- 分類不能型
上記の内容を詳しく見ていきましょう。
便秘型
便秘型はその名の通り、硬い便に悩まされる過敏性腸症候群のタイプです。便の形状は、うさぎの糞のようにころころとしたものが多く見られます。
うまく排便ができないことに加えて、排便時に痛みがともなうことも珍しくありません。
また、排便回数が極端に少なく、週に3回未満程度になってしまうこともあるでしょう。便秘型はストレスを感じると悪化する傾向にあり、特に女性に多く見られる症状です。
便秘型の場合、便を柔らかくする薬を用いて改善を目指す傾向にあります。加えて、腸の動きを促す薬を使用することが多い点も覚えておくとよいでしょう。
下痢型
下痢型は、主に水に近い形状の便をともなう過敏性腸症候群のタイプです。
特に男性に多く発症し、突然の便意を感じやすいことから、外出時の不安を抱えることも珍しくありません。
場合によっては動悸が激しくなったり、冷や汗をかいてしまうこともあるでしょう。
症状の改善には、腸内環境を整える薬を用いることが多いです。また、ストレスが原因となっていることもあるため、原因を解消したり、管理したりするのも重要とされています。
混合型
混合型は、便秘と下痢の症状が交互に現れるタイプです。ころころとした便と水分の多い便の頻度が25%以上の場合、混合型と判断されます。
混合型は他のタイプに比べて症状が予測しにくいことから、ストレスを感じやすい人も多いです。
また、ストレスを感じることで症状が悪化してしまうケースも珍しくありません。混合型の場合、適した治療方法も一人ひとり異なるとされています。
そのため、個別の症状に合わせた柔軟なアプローチが必要になると考えられるでしょう。
分類不能型
分類不能型は、これまで紹介した過敏性腸症候群のいずれにも該当しないタイプです。
便の形状も通常に近い傾向がみられることに加え、原因が分からずに悩むケースも珍しくありません。
過敏性腸症候群の分類不能型は、うまく治療ができないケースもあるとされています。そのため、医師と協力しながら治療する必要があるといえるでしょう。
なお、分類不能型はガス型として診察される場合もあります。おならが頻繁に出る場合や膨満感を感じる場合は、ガスが他である可能性も疑うとよいでしょう。
過敏性腸症候群を改善する5つの方法
過敏性腸症候群を改善したい場合は、以下5つの方法を実践してみるのも効果的です。
- 運動療法
- 薬物療法
- 食事療法
- 心理療法
- 生活習慣の改善
それぞれの治療方法を詳しく解説します。
運動療法
運動療法は、腸の動きを正常にする目的で行われるのが一般的です。
さらにストレスを軽減する効果も期待できるため、普段から運動習慣のない人は取り入れてみるとよいでしょう。
なお、運動療法を行う場合、極端に強い運動を取り入れる必要はありません。
あくまでも数十分のウォーキングや軽いジョギングなど、自分にとって無理のないものから始めてみましょう。
薬物療法
過敏性腸症候群の治療を行う場合、薬を用いることもあります。例えば下痢止め薬、便秘改善薬、腸管の運動を調整する薬を用いるのが一般的でしょう。
これらの薬は症状に合わせて処方されるため、自分に合ったものを用いることが重要です。市販薬を用いるのはあまり推奨されておらず、基本的には医師の診察を受けることが必要です。
なお、ストレスが原因で症状が出ている場合は、抗うつ薬が処方されることもあります。
食事療法
過敏性腸症候群の原因の一つに、食事の習慣があげられます。
高脂質な食品を好んでいたり、アルコールやカフェインを良く飲んだりする場合は、過敏性腸症候群になってしまう可能性があるでしょう。
このことから、食事を見直すことで過敏性腸症候群の改善に期待できるかもしれません。
食事療法をする場合、発酵食品や食物繊維の摂取が重要です。ただし、すべてが自分に合うとは限りません。
日々の食事を記録して、自分に合わない食品を見つけることも重要です。
心理療法
心理療法では、過敏性腸症候群の原因になりかねないストレスの解消を目指します。
主には認知行動療法(CBT)やリラクゼーション療法が有効とされており、これらによって症状の軽減を目指せるでしょう。
ストレス耐性を高めて症状を改善したい方は、心理療法を取り入れてみましょう。
生活習慣の改善
生活習慣を改善するのも、過敏性腸症候群を治療するための方法です。例えば規則正しい時間に食事をとったり、睡眠時間を十分に確保するなどがあげられます。
生活習慣の改善は、医師に頼らなくても、自分一人で始められる治療方法です。
実際に症状の改善につながったケースもあるため、ぜひ試してみてください。
過敏性腸症候群にはFODMAPが関係するとされている
過敏性腸症候群には、FODMAPが関係すると考えられています。
FODMAPは小腸で吸収されにくく大腸で発酵しやすい糖質の総称で、食事の際に気を付けてみるとよいでしょう。
FODMAP食は「高FODMAP食」「低FODMAP食」の2つに分類されます。
それぞれの特徴や代表例を詳しく見ていきましょう。
高FODMAP食
高FODMAP食は、腸で発酵しやすく、吸収されにくい食品のことを指します。
糖類をよく含む炭水化物も高FODMAP食に含まれ、過敏性腸症候群の原因になるといわれているようです。
例えば玉ねぎ、ニンニク、小麦などは高FODMAP食品の代表例です。消化されにくいことに加えてガスを発生させるため、過敏性腸症候群に悩む患者は避けるべきでしょう。
低FODMAP食
低FODMAP食は、大腸内のガス発生と水分増加を抑えられる食品とされています。
過敏性腸症候群の症状を軽減できることも期待できるため、積極的に摂り入れるとよいでしょう。
低FODMAP食にはバナナや米、ほうれん草などが代表例として挙げられます。普段の食生活を見直す際は、低FODMAP食を中心にメニューを組み立ててみてください。
過敏性腸症候群の重症度チェックに引っかかったら病院で診察を受けよう
過敏性腸症候群の重症度チェックで「重度」と判断された場合は、速やかに病院を受診しましょう。
適切な治療を受けることで、症状の緩和や生活の質の向上が期待できます。症状を放置せず、専門医と相談するのが健康管理の第一歩です。
横浜よりそいクリニックでは、過敏性腸症候群の検査や診察、治療などを受け付けております。
過敏性腸症候群が疑われる場合や、症状の特定を希望する場合は、ぜひ一度お問い合わせください。