自律神経失調症になった場合もしくはその疑いがあるときは、治るかどうか不安になりますよね。
症状が治るまでの過程は人や治療を開始した時期によっても異なりますが、完治した方の体験談にはある共通点が存在します。
本記事では、自律神経失調症の特性を確認したうえで、治ったきっかけとなる行動を紹介します。
なお、自律神経失調症の治療は、生活改善と医学的アプローチを並行して進めることが早期回復の鍵となります。少しでも違和感を抱えているなら、考えすぎなどと思わず、すぐに「よりそいメンタルクリニック」へお越しください。
自律神経失調症が治った人は何らかのきっかけを自力でつかんでいる!
自律神経失調症になっても、きっかけさえつかめれば症状は快方へ向かいます。
どのようなことがきっかけになるのかを考えるにあたり、まずは自律神経失調症の特性について、次の4つに分けてみていきましょう。
- 自律神経失調症の予後
- そもそも自律神経失調症とは
- 自律神経失調症になりやすい人の特徴
- 自律神経失調症と似た病気・障害
以下で、それぞれの詳細を説明します。
自律神経失調症の予後
自律神経失調症は、適切な対処と治療で完治する可能性がある症状です。治療を始めればすぐ完治するわけではありませんが、自分にとっての転機となる出来事をきっかけに、少しずつ症状が改善していくでしょう。
ただ、発症の原因や症状の程度は人によって異なるため、回復に長い時間がかかる場合もあります。また原因がさまざまであるように、適切な治療法も一つではありません。
ストレスやホルモンバランス、自律神経の乱れなどが関与しているといわれるものの、現段階では不明な点も多く、人によっては回復に長い時間がかかることもあるでしょう。
完治のきっかけとなるのは、早期の適切な対処と治療です。
そもそも自律神経失調症とは
自律神経失調症とは、その名のとおり自律神経の機能のバランスが崩れることで、心身にさまざまな不調が生じている状態を指します。心身に現れる主な症状は、以下のとおりです。
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上記をみれば分かるとおり、適応障害の症状の種類は多岐に渡ります。しかし、身体検査しても、特に異常が見つからないのが適応障害の特徴です。
そもそも、身体の末梢神経の一つである自律神経は、交感神経と副交感神経の2つから成ります。2つの神経は、生命活動に欠かせない心拍や血圧、呼吸などの機能を制御する役割を担う、身体に欠かせない器官です。
したがって自律神経が乱れると、心身のバランスがとれなくなるでしょう。
自律神経失調症になりやすい人の特徴
自律神経失調症は、発症の誘因となる気質や習慣が存在します。具体的には、次の項目に該当する人は自律神経失調症になりやすい傾向にあるため要注意です。
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上記に該当する方はストレス過剰になりやすく、結果として自律神経が乱れ、心身に不調をきたします。
自律神経失調症と似た病気・障害
自律神経とよく似た症状を呈する病気として、起立性調節障害とうつ病が挙げられます。
起立性調節障害(OD:Orthostatic Dysregulation)とは、自律神経の乱れによって脳が血液不足となることで、めまいや動機、失神などさまざまな不調が出る障害です。
自律神経失調症と共通する部分もありますが、起立性調節障害では立ったり目が覚めたりしたときに発現しやすく、症状の重い時間帯は午前中です。小学校高学年〜中学生にかけての、いわゆる二次性徴期や思春期と呼ばれる時期に発症しやすい傾向にあります。
一方うつ病とは、過度なストレスなどをきっかけに脳神経の伝達異常が生じ、心身に不調をきたす病気です。同じく自律神経失調症と似た症状が出ますが、うつ病のほうがより重篤で、専門機関による早急な治療を要します。
自律神経失調症を放置した結果、うつ病に発展する恐れもあるため、いずれにせよすみやかな対処が不可欠です。
自律神経失調症の経験者に共通する治ったきっかけ5選
自律神経失調症が治った方の経験談を分析すると、以下5つの共通するきっかけがありました。
- 食生活を見直した
- 睡眠のリズムや質を改善した
- 適度な運動を取り入れた
- カフェインの摂取を控えた
- 環境を変えた
以下では、上記が自律神経失調症の改善につながる理由と、ポイントをみていきましょう。
食生活を見直した
交感神経・副交感神経のバランスと食事は密接な関係にあるため、食生活を改善することで自律神経の乱れも回復が見込めます。
食事では、ビタミンとミネラルを積極的に摂取しましょう。ビタミンやミネラルの不足は体内の神経伝達に悪影響を及ぼすことが指摘されており、自律神経失調症の症状の悪化を促します。
逆に、食べ過ぎや飲み過ぎなど、胃腸に大きな負担をかける行為や栄養バランスの悪い食生活を続けるのは、自律神経にも悪影響です。
また糖質の摂り過ぎは、血糖値を乱高下させる原因になり、結果的にその働きを司る自律神経の乱れも誘発します。絶対に食べてはいけないわけではありませんが、糖質の過剰摂取は控えるほうがよいでしょう。
睡眠のリズムや質を改善した
これまでの睡眠習慣を変えたことがきっかけで、自律神経失調症が治る方も少なくありません。
睡眠不足だと、日中のパフォーマンスとストレス耐性の低下を招くとともに、心身にも大きな負担です。就寝時間が遅くなったり、徹夜を繰り返したりしているうちに、自律神経のバランスが保てなくなってしまいます。
睡眠を改善するためのポイントは、就寝・起床の時間を一定させることです。夜寝る時間と朝起きる時間を一定させることで、体内時計のリズムが整いやすくなるでしょう。
適度な運動を取り入れた
多くの方が、運動習慣を取り入れたことで自律神経失調症を克服しています。運動で血流が改善されることにより、自律神経失調症の症状が緩和しやすくなるためです。
身体機能のうち、循環を司る血流の悪化は、疲労蓄積や脳機能の低下などさまざまな悪影響を及ぼします。また自律神経が乱れると、心身の不調により自宅に引きこもり、運動が不足しがちです。
自律神経を整えるには、軽い有酸素運動にチャレンジすることをおすすめします。たとえば、ウォーキングや軽いジョギング、ストレッチなどの適度な運動習慣は、ストレス解消とリラックスに効果的です。
どうしても身体がつらかったり、動けなかったりする場合は、マッサージのほか、湯船にゆっくり浸かるだけでも構いません。
ただし、激しすぎる運動は自律神経を興奮させるほか、きつさからストレスを感じやすくなるなど逆効果なので注意してください。
カフェインの摂取を控えた
自律神経を整えるためには、カフェインの摂取を控えるほうがよいでしょう。カフェインの過剰摂取は交感神経を過度に興奮させるため、睡眠の質低下および不安感の増大と、自律神経を乱す原因になります。
また、自律神経が乱れた状態でのカフェインも避けてください。上記の効果がより大きく出やすい傾向にあるほか、覚醒効果で睡眠リズムも崩れ、悪循環に陥るかもしれません。
カフェインに対する意識を変えるだけで、自律神経のバランスが改善しやすくなります。なおカフェインはコーヒーのほか、エナジードリンクや緑茶、紅茶などにも多く含まれているので注意してください。
環境を変えた
ストレッサーと距離を置くために環境を変え、休養や治療に専念できるようになったことで、自律神経失調症の症状が改善したケースもあります。
自律神経失調症を発症した方によくある原因は、仕事や家庭における悩みやつらい出来事、人間関係などによるストレス過多です。日々のストレスの積み重ねで、自律神経のバランスが崩れてしまいます。
そのまま無理し続けると、心身の不調からミスを繰り返してしまい、さらに良くない状況に陥るという悪循環になりかねません。
また、休職したとしても仕事のことが頭から離れず、思うように休養がとれない場合は、思い切って退職・転職に踏み切るのも一つの手です。
自律神経失調症が治ったきっかけを作り出す5つの心がけ
自律神経失調症を治すためには、自ら進んできっかけを作り出そうとする姿勢が大切です。きっかけ作りにおすすめなのは、次の5つの心がけです。
- 自らの状態を把握する
- 十分な休養と栄養をとる
- ストレスとの付き合い方を変える
- 物事の受け止め方をポジティブに転換する
- 病院で治療を受ける
心がけといっても、すべて無理なくできることばかりなので、気負わずにぜひ実践してみてください。
自らの状態を把握する
自律神経失調症の治療にあたっては、自分が今どのような状態なのかを正確に把握することが大切です。
自律神経のバランスが崩れた原因を探るとともに、症状に応じてアプローチすることが、早期改善の鍵となります。また、自分の置かれた状態が把握できれば、不安感も和らぐはずです。
十分な休養と栄養をとる
自律神経失調症になった場合、自分でできる効果的なケア方法は休養です。ひとまず、しっかりと心身を休めましょう。
また睡眠・栄養の不足やストレスフルな状況が続くと、自律神経のバランスが乱れやすくなるため、生活習慣を正すことも求められます。
寝る前のカフェイン摂取や強い刺激を感じる行動は避け、就寝・起床のリズムを一定させてみてください。
くわえて、栄養バランスのとれた食事は、身体の状態を安定させます。十分な休養と栄養が行き渡ることで、自律神経のバランスが整い、心身が活力を取り戻していくでしょう。
ストレスとの付き合い方を変える
誰しも大小さまざまなストレスを抱えながら生活していますが、自律神経失調症になった場合、その付き合い方が適切でない可能性があります。
自力で考え方を完全にシフトするのは難しいかもしれませんが、自分なりのストレス解消法を見つけることなら気軽にチャレンジしやすいはずです。ストレス解消によいアイデアが浮かばないときは、以下を参考にしてください。
- おいしいものを食べる
- 趣味に没頭する
- スポーツに励む
- 親しい人に自分の気持ちを聞いてもらう
- 旅行や温泉に行って心身をリフレッシュする
- アロマテラピーを楽しむ
- 森林浴をする
上記のほか、ストレス解消法は、自分が心地よく感じるものならどのようなことでも構いません。自分がどうすれば快適に過ごせるかを考え、実践していきましょう。
物事の受け止め方をポジティブに転換する
自律神経失調症の回復のキーワードとなるのは、ポジティブ思考です。なんでもネガティブにとらえると、些細なことでも悪い方向に考えてしまい、心が疲弊していきます。
そこで、物事の悪い面ではなく、よい面をみるようにしましょう。特に自律神経失調症になると「日々何も楽しいことがない」という思考に陥りがちだが、日常の小さな出来事に感謝してみてください。
日常は小さな喜びの積み重ねで作られていることを自覚できれば、自然に気持ちも上向きになり、幸福感が大きく変わるはずです。
病院で治療を受ける
自律神経失調症を治したいなら、精神科・心療内科の医師による医学的アプローチが効果的です。また、精神科や心療内科の医師に相談すれば、心身双方の視点から検査してもらえます。
症状に応じて適切な病院・診療科へ案内されるため、どのような病院を受診すべきか迷ったら、まずメンタルクリニックを検討してみてください。
精神科・心療内科の医師の指導にしたがって、カウンセリングや精神療法、薬物療法を続けることで、早期回復が見込めます。
また、プロにアドバイスを仰げば、症状に応じた適切なセルフケアのやり方が学べます。仕事に行けないほど症状がひどく、休職や退職、転職を検討している場合も、主治医に相談して診断書を発行してもらい、各種手続きを進めましょう。
自律神経失調症が長引くきっかけとなる誤った考え方
次のような考え方は、自律神経失調症の方にとって大きな負担となり、症状が長引くきっかけとなってしまう恐れがあります。
- 「頑張れないのは本人のせい」という偏見
- 「誰も助けてくれない」という思い込み
- 「治療を始めさえすればすぐ完治する」という誤解
以下で治りにくい人の特徴をそれぞれ詳細を説明するので、自分が似たような思考に傾いていないかチェックしてみましょう。
「頑張れないのは本人のせい」という偏見
自律神経失調症の患者は、自力ではどうしようもない症状に苦しんでいるにもかかわらず「頑張れないのは本人のせい」という偏見を受けがちです。
また患者自身も症状を「考えすぎ」と軽視してしまい、ことの重大さを正確に把握できず、受診をためらって治療が遅れやすい傾向にあります。
自律神経失調症の症状は、決して本人の気持ちの問題ではないことを理解してください。ストレスやホルモンバランスなど、さまざまな要因が複雑に絡み合っているため、完治は一筋縄にはいきません。
きちんと治療を受けたうえで、生活習慣や食事など自分で改善できることにマイペースで取り組みながら、少しずつ回復を目指しましょう。
「誰も助けてくれない」という思い込み
自律神経失調症は、周囲からは症状が見えづらいため、理解されにくい症状です。悩みや苦しみを分かってもらえず、頼れる人もいないと、孤独感や絶望感に苛まれることもあるでしょう。
しかし「誰も自分を助けてくれないのではないか」という考えは、ただの思い込みです。医療機関や公的サービスなど、SOSの声に手を差し伸べる人は大勢います。
誰かに頼るという選択は、自室神経失調症から回復する近道です。心身の不調で積極的な行動改善は難しいかもしれませんが、一人で悩みを抱え込むのではなく「誰かに頼る」ための第一歩を踏み出してみてください。
「治療を始めさえすればすぐ完治する」という誤解
自律神経は治療すればすぐ治ると思っていると、期待どおりの改善しないことにがっかりしてしまいがちです。
そもそも自律神経失調症は、患者や症状の段階にもよりますが、治るまでにある程度の時間を要します。また適切な治療には継続した受診が欠かせず、治療しても目に見える効果が出ないからといって通院先を転々とすると、長引くことになりかねません。
また症状の改善には、自己判断のみでの対処は厳禁です。仮に一旦よくなったようにみえても、根本的な問題を解決しないことには、ちょっとしたきっかけで再発する恐れがあります。
自律神経失調症の兆候が現れたら、すみやかに専門の医療機関へ相談し、適切な治療と助言を受けましょう。
これに当てはまると可能性大!?自律神経失調症セルフチェックシート
以下では、自律神経失調症によくある症状をリストアップし、チェックシートを作成しました。該当項目が多い場合は、医療機関を受診することをおすすめします。
症状 | しばしばある | あまりない |
頭痛がする | ◻︎ | ◻︎ |
肩こり・腰痛が続く | ◻︎ | ◻︎ |
息苦しさがある | ◻︎ | ◻︎ |
胸部に圧迫感がある | ◻︎ | ◻︎ |
めまい・立ちくらみがする | ◻︎ | ◻︎ |
倦怠感がとれない | ◻︎ | ◻︎ |
手足にしびれ・震えがある | ◻︎ | ◻︎ |
朝すっきり起きられない | ◻︎ | ◻︎ |
早朝に目が覚め寝付けない | ◻︎ | ◻︎ |
下痢・便秘が続く | ◻︎ | ◻︎ |
やる気が出ない | ◻︎ | ◻︎ |
希望が持てない | ◻︎ | ◻︎ |
なんとなく不安感がある | ◻︎ | ◻︎ |
すぐイライラする | ◻︎ | ◻︎ |
人との会話が億劫に感じる | ◻︎ | ◻︎ |
仕事や職場に恐怖感がある | ◻︎ | ◻︎ |
死について考えてしまう | ◻︎ | ◻︎ |
ただし、本チェックシートはあくまでも受診を判断するための目安です。自己判断は危険なので、該当数は少なくても、気になる症状がある場合はすみやかにメンタルヘルス専門の医療機関へ相談してください。
こころの専門家へ相談して自律神経失調症が治ったきっかけづくりを!
自律神経失調症は、生活習慣や環境を変えることで、治るきっかけがつかめる可能性があります。しかし、起立性調節障害やうつ病といった自律神経失調症と似た別の病気の恐れもあるため、自己判断に頼るのではなく、医師に判断や助言を仰ぎましょう。
症状やストレスとの正しい付き合い方を学び、適切な治療を受けるためにも、早期の受診を心がけてください。
もし本記事をみて「自分は自律神経失調症かもしれない」と思った方は「よりそいメンタルクリニック」に相談してみませんか。症状が少しでも軽いうちに、一刻も早く受診を検討してください。