「食後になるとめまいがひどい」
「このままずっと治らないのではないだろうか」
このような悩みを一人で抱えていませんか。
食後にめまいがするのは、自律神経失調症の兆候かもしれません。めまいは低血圧や高血糖などさまざまな原因から発生しますが、いずれも自律神経失調症の方にとってハイリスクのため、早急な対処が必要です。
本記事では、食後に起こるめまいと自律神経失調症がどのように関わっているのかを解説します。自分で実践できる治し方とそのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
なお、自律神経失調症やめまいの症状が出ている方は「よりそいメンタルクリニック」への受診をおすすめします。早期の原因の特定と治療開始が、予後を大きく左右します。治療だけではなく、生活面のアドバイスも行っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。
食後のめまいと自律神経失調症の関連性
次の2つの視点から、食後のめまいと自律神経失調症の関連性を解説します。
- 食後にめまいが起こる理由
- 自律神経失調症だと食後にめまいが生じやすい!
- 自律神経失調症以外で食後にめまいが生じやすい人の特徴
- 逆に食後の血圧が上がるケース
以下で、それぞれ詳しくみていきましょう。
食後にめまいが起こる理由
そもそも、なぜ食後にめまいが起こるのかご存じですか。食後のめまいに関わっているのは、主に以下3つの要因です。
- 食後の低血圧
- ダンピング症候群
- 血糖値の急上昇
以下で、上記3つの症状の詳細とめまいとの関係を説明します。
食後の低血圧
食後にめまいが起こるのは、食後30分〜1時間以内に血圧が乱高下することが原因の一つです。
こうした血圧の変化を「食後低血圧」や「食後症候群」などといい、身体や神経が急激な変化に対応できないことから、めまいが生じます。
本来であれば、血圧は食後緩やかに上昇し、その後少しずつ下がっていきます。しかし、食べたものや体質によっては、食事によって上昇した血圧が急下降し、めまいやふらつき、立ちくらみなどの症状を引き起こすことがあるのです。
なお自律神経のバランスを崩している方は、食後に低血圧になりやすいため、注意が必要です。
ダンピング症候群
ダンピング症候群とは、食べたものが直接腸へ流れる現象であり、胃の手術・切除をした方にしばしばみられる症状です。食後5〜30分以内に起きる早期と、2〜3時間経過後に現れる晩期の2種類があり、いずれもめまいや腹痛、吐き気などの症状が現れます。
本来、食べたものは一旦胃で留まってから腸へ流れるのが通常の動きです。しかし、手術などで従来の流動経路が変わったことで、腸へ直に流れ込みます。
十分に分解されていない食品がいきなり流れ込むのは、腸にとって大きな負担です。急激にぜん動が促され、消化のために腸に血液が集中します。その結果、脳が一時的な貧血状態になりめまいが生じやすくなるというのが、ダンピング症候群のメカニズムです。
血糖値の急激な上昇
食後のめまいやふらつきは、血糖値の乱高下が原因かもしれません。
食事で糖質をたくさん摂取すると、血糖値が急激に上がります。急激な高血糖を下げようと、腎臓から大量のインスリンが分泌されます。
すると今度は、血糖値が急激に下がるため、めまいやふらつきが生じるほか、頭がぼーっとしたり眠くなったりすることもめずらしくありません。
血糖値の乱高下が頻繁に起こると、その機能調節を司る自律神経にも悪影響を与えます。また、糖尿病リスクも上がるため、糖質の過剰摂取には注意しましょう。
自律神経失調症だと食後にめまいが生じやすい
自律神経失調症と食後のめまいには、深い関連性があります。なぜなら、めまいの原因となる血圧や血糖値の調整には、身体の末梢神経の一種である自律神経が関与しているためです。
食事を摂ったあと、その消化を目的として、血液の循環が促されます。胃腸へ血液が集中する分、脳や三半規管などのバランス感覚を司る部位に血液が不足してしまいめまいが起こるのです。
食後の血圧は、本来であれば交感神経の機能で一定に保たれています。しかし自律神経失調症だと、血圧の調整機能がうまく働かきません。
そのため、血圧が上がったり下がったりを繰り返し、心身にめまいをはじめとするさまざまな不調が現れます。また、血糖値の上昇を招く糖質の過剰摂取を繰り返すと、自律神経を必要以上に刺激してしまい、バランスを崩してしまいがちです。
食後のめまいくらい大したことはないと思うかもしれませんが、慢性化すると心臓や脳血管にも重篤な悪影響を及ぼすため、早急な対処が求められます。
自律神経失調症以外で食後にめまいが生じやすい人の特徴
以下に該当する方は、食後にめまい・ふらつきが生じやすいため、注意してください。
- 年配の方
- もともと低血圧のある方
- 糖尿病を患っている方
- 胃腸の一部を切除した経験のある方
上記に該当する方は、血圧や血糖値などのめまいに関連する身体の調節機能が低下している方も多く、食後によくめまいを起こします。
個人差はあるものの、めまいによるトラブルが起きないよう、あらかじめ対策しておくと安心です。
逆に食後の血圧が上がるケース
食後のめまいは主に血圧や血糖値が下がることに由来しますが、逆に血圧が異常に上がる高血圧が原因になっているケースも少なくありません。
なお高血圧の種類は、発症の要因によって、下記2つに分けられています。
高血圧の種類 | 発症の原因 |
一次性高血圧 | 肥満、塩分・アルコールの過剰摂取、加齢 など |
二次性高血圧 | 腎臓・内分泌系の疾患、薬の副作用、睡眠時無呼吸症候群 など |
上記のうち、一般的によく知られているのは一次性高血圧であり、治療には生活習慣の改善と適度な運動が不可欠です。
高血圧は、今や国民病といっても過言ではないほどポピュラーな病となりました。また血圧が上昇する背景に、別の病気が潜んでいる可能性もあるため、定期的な受診が重要です。
めまいの症状から確認!食後低血圧セルフチェックリスト
自身が食後低血圧かどうかを知りたい方は、食後30分〜1時間以内に下記の症状がみられるかチェックしてみてください。
食後の症状 | しばしばある | あまりない |
ふわふわと雲の上を歩いているかのような感覚がする | ◻︎ | ◻︎ |
立ちくらみがある | ◻︎ | ◻︎ |
全身が重く倦怠感がある | ◻︎ | ◻︎ |
冷や汗が出る | ◻︎ | ◻︎ |
吐き気がする | ◻︎ | ◻︎ |
動悸がする | ◻︎ | ◻︎ |
呼吸が乱れる | ◻︎ | ◻︎ |
目の前がぐるぐる回る | ◻︎ | ◻︎ |
なお、食後低血圧の症状は、しばらく時間を置くと落ち着くのが特徴です。しかし食後すぐに動く必要がある場合、転倒によって怪我したり、意識不明になったりする恐れもあります。
上記はあくまでも受診の目安となる基準の一つとしてとらえ、気になる症状があるときはすぐに医師へ相談してください。
食後のめまいを引き起こす自律神経失調症の特性
続いて、そもそも自律神経失調症とはどのようなものなのか、次の2点から確認していきましょう。
- 自律神経失調症の特徴
- 自律神経失調症になりやすい人
以下で、それぞれの詳細を説明します。
自律神経失調症の特徴
自律神経失調症とは、末梢神経の一種である交感神経と副交感神経の機能に異常が生じている状態です。
本来、交感神経と副交感神経は、双方がバランスをとりながら身体のさまざまな機能・感覚のコントロールを司っています。
そのため、自律神経のバランスが崩れると、各部位が機能不全を起こして心身に不調が生じますが、自分の意志ではどうしようもありません。
自律神経失調症の主な症状は、めまいや立ちくらみのほか、頭痛、耳鳴り、不眠、抑うつ感、イライラなど、心身の多岐に渡ります。原因は主にストレスですが、ストレッサーとなる存在は人それぞれです。
そのため、自律神経失調症の治療では、患者ごとに原因を突き止め、医学的な視点から改善へ向けたアプローチを続けることが求められます。
自律神経失調症の種類
世の中には、自律神経失調症を発症しやすい体質・気質を生まれながらに持っている方がいます。以下4つの症状の類型から、自律神経失調症になりやすい人の特徴を読み解いていきましょう。
- 本態性自律神経失調症
- 神経症型自律神経失調症
- 心身症型自律神経失調症
- 抑うつ型自律神経失調症
上記の類型の詳細を解説します。
本態性自律神経失調症
本態性自律神経失調症とは、本人の体質を理由として発症したものを指します。
虚弱な体質の方や、心理的な負担の大きい疾患・障害のある方は、それによる気分の落ち込みから、自律神経のバランスを崩しやすい傾向にあります。
神経症型自律神経失調症
発症の原因が繊細な気質による場合は、神経症型自律神経失調症です。
過敏で感受性が高く、必要以上にストレスを抱えやすいことから、自律神経失調症を発症しています。
心身症型自律神経失調症
心身症型自律神経失調症とは、発症のきっかけが過剰なストレス反応によるものを指します。上記の類型から読み取れる特徴的なポイントは、ストレス耐性の低さです。
たとえば、生真面目な方や完璧主義の方、責任感の強い方などは、一度の挫折でガクッと落ち込んでしまいがちで、自律神経失調症になりやすいといえます。
抑うつ型自律神経失調症
よ苦痛方自律神経失調症とは、上記の心身症型自律神経失調症の症状が悪化したものです。
発症要因を踏まえると、頼るのが苦手な方や、プライドが高く人に弱みがみせられない方などは、うつ病リスクが高い傾向にあります。
自律神経失調症による食後のめまい改善のために知っておきたい5つの注意点
自律神経失調症で、食後のめまいに悩んでいる方は、次の5つの行動を実践してみてください。
- 食事の内容を見直す
- 食べ方を変える
- 食後の血圧を定期的に測って把握しておく
- 薬でコントロールする
- 精神科や心療内科で心の状態を改善する
以下で、上記の対処法の詳細と実践のポイントを紹介します。
食事の内容を見直す
食後のめまい防止のためにまずやるべきことは、食事の内容の見直しです。血圧の乱高下を招く食品を避ければ、めまいが起こりにくくなります。なお、具体的な対策方法は以下のとおりです。
- 炭水化物は適量を心がける
- 高脂肪な食品やアルコールの摂取を控える
- こまめに水分を補給する
- 栄養バランスに配慮する
- 食後にコーヒーを取り入れる
甘いもの・炭水化物や高脂肪の食品の過食、アルコールの過剰摂取は、血圧や血糖値の急上昇を招きます。その分下がり幅も大きくなり、調節機能を司る自律神経を刺激しすぎてしまうため、適量もしくは控えるよう努めてください。
また、体内の水分量が少なくなると血圧が下がりやすくなるので、こまめな水分補給を心がけましょう。
自律神経を整えるには、栄養バランスのとれた食事が効果的です。特に、自律神経失調症になると、ビタミンやミネラルが不足しがちになるため、積極的に摂るとよいでしょう。また、安眠や気分の改善には、幸福感を生み出す効果が期待できるタンパク質がおすすめです。
食後のコーヒーは満足感が得やすくなるほか、適量なら血圧の急下降を抑える効果も期待できます。
食べ方を変える
自律神経失調症およびめまいの改善には、食べ方を変えることも必要です。たとえば、以下のような対策があげられます。
- よく噛む
- 早食いは避ける
- 腹八分目以下に留める
- 食後すぐに激しい運動はしない
一口ずつよく噛み、しっかり味わって食べることで、血糖値の上昇を緩やかにできるでしょう。また、早食いは食べ過ぎの元なので、落ち着いてゆっくり食事を摂る時間を確保することをおすすめします。
くわえて、食事直後の激しい運動や長風呂はNGです。ただでさえ血圧が上がり気味なタイミングで、すぐ激しい運動をすると、相乗効果で急上昇を招きます。消化のスピードには個人差がありますが、食後1〜2時間空けてからがよいでしょう。
食後の血圧を定期的に測って把握しておく
食後低血圧かどうかを判断するためには、血圧を記録することが大切です。しかし、正しい測り方を知らないと、正確な値が出せません。食後に血圧を測る際は、以下の手順で行ってください。
- 静かな場所に座って腕の心臓と同じ高さの部分に血圧計を巻きつける
- 安静な状態で数回深呼吸し、血圧を測る
- 約1〜2分時間をおいてから再度同じ手順で2〜3回測り平均値を出す
食後2時間以内の収縮期血圧、いわゆる最高血圧が20mmHg以上下がった方は、食後低血圧の可能性があります。
ただし、人は昼間と夜間で血圧が変化するため、測定する時間を揃えるのが正確な値を出すコツです。なお、おすすめの時間帯は起床後すぐもしくは就寝前のいずれかです。測定前には、血圧に影響を及ぼすカフェインや糖質の過剰摂取は避けましょう。
さらに、暑すぎるもしくは寒すぎる環境で測ったり、途中で人と話したりすると、血圧が変わってしまうため注意してください。
また、食後低血圧かどうかは、血圧の値だけではなく、さまざまな要因を総合的にみて判断されるため、自己判断ではなく医師に確認しましょう。
薬でコントロールする
血圧などの自身での調整が難しい機能は、内服でコントロールするのも一つの手です。内服での治療法を、専門用語では薬物療法といいます。
めまいを軽減する薬のほか、現在現れている症状に対応する治療薬を処方してもらうとよいでしょう。
ただし別の持病などで血圧が下がりやすくなる薬を飲んでいる場合、それと合わせて調節する必要があるため、主治医もしくは薬剤師に申告してください。たとえば、降圧薬や利尿剤のほか、狭心症や前立腺肥大などの薬を内服している方は注意が必要です。
薬物療法はあくまでも表面的な治療にしかなりません。内服で症状を改善しつつ、内面のケアも一緒に進めていきましょう。
精神科や心療内科で心の状態を改善する
自律神経によるめまいの根治的な治療のためには、こころのケアが必要です。精神科や心療内科を受診し、自律神経失調症の改善を目指しましょう。
なお、自律神経失調症の治療では、先述の薬物療法のほか、環境調整や支持的精神療法が行われるのが一般的です。自律神経が整いやすい生活改善のアドバイスも受けつつ、認知行動療法などで認知の歪みへ働きかけ、症状改善のための気付きを提供します。
放置すると悪化や長期化を招きかねないため、早期回復には一刻も早い治療開始が必要です。
自律神経失調症による食後のめまいはメンタルクリニックでケアしよう!
自律神経のバランスが乱れると、食後に血圧や血糖値の乱高下が生じ、めまいがするようになる場合があります。食事の際、糖質や脂質、アルコールなどを大量に摂る習慣のある方は要注意です。
食後の血圧の変化は、食べ方一つで大きく変わります。栄養バランスに配慮するほか、ゆっくりとよく噛んで食べるようにするだけでも、めまいが生じる頻度がぐっと減らせるはずです。
また、自律神経失調症の治療では、行動の改善だけではなく、精神科や心療内科での治療が欠かせません。医師に相談すれば、自律神経が整いやすい生活改善のアドバイスも受けられるので、気軽に相談してみるとよいでしょう。
こころの治療・ケアを必要としている方は「よりそいメンタルクリニック」へぜひお越しください。経験豊富な専門医やスタッフによる治療を進めつつ、症状の程度や希望も踏まえて、心身の調子を整えるための一歩を一緒に踏み出しましょう。