「双極性障害の人は頭がいいってほんと?」
「知能が高いと言われる理由が知りたい」
「双極性障害の人への接し方のポイントは?」
このような悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
双極性障害はうつ状態と躁状態が交互に現れる精神疾患です。躁状態の時には行動力があり熱量も高いため周囲から「頭がいい」と思われることも多い傾向にあります。
本記事では、双極性障害の人が頭がいい、知能が高いと言われる理由や接し方のポイントを紹介していきます。
なお、双極性障害のカウンセリングや治療を受けたい方は、よりそいメンタルクリニックに相談してください。医師が必要と判断した場合の診断書の即日発行に対応しているため、すぐに治療をスタートできます。
双極性障害の人は頭がいい?
双極性障害の人が「頭がいい」ということは科学的には証明されていません。
しかし、双極性障害を患いながらも学者や医者などとして活躍する方は多くいます。
また、アスペルガー症候群を抱える方は、過集中や特定の分野で能力を発揮することがあるともいわれています。
地頭がいい人が発達障害などの精神疾患を併せ持つことが多いことから、精神疾患患者=「頭がいい」というイメージを持たれるようになったと考えられます。
双極性障害は脳の感情的な調整やエネルギーレベルの変動に関わるもので、知能や学習能力とは別の要素です。
一部の人が特定の分野で優れた能力を持つことがあっても、それは個人の特性や経験に起因します。
逆に認知機能の低下が見られることがある
双極性障害を持つ人々の中には認知機能が一時的または持続的に低下することがあります。
例えば、記憶力や注意力、意思決定能力などに影響を受けることがあります。
ただし、これらの変化は障害の特性や治療の進行状況、または個人の脳の状態によっても異なります。
特に長期に渡って症状が続いてる場合は認知機能の低下により仕事や日常生活において困難を引き起こすことがあります。
双極性障害の人の「頭がいい」「知能が高い」ように見える理由
双極性障害の人が頭が良さそうに見える理由は、躁状態により彼らの思考や行動に通常では見られないようなエネルギッシュさや創造性が増すことにあります。
この心理的・行動的な変化は、一見すると非常に才能豊かで知能が高いような印象を周囲に与えます。
しかしこれは一時的な状態であり、その裏には脳や感情の過剰な興奮が関係しています。
双極性障害の人の頭が良さそうに見える3つの理由を紹介します。
- 躁状態により頭の回転が速くなるから
- コミュニケーション力が高くなるから
- 行動的になるから
それぞれの理由の詳細を確認していきます。
躁状態により頭の回転が速くなるから
躁状態では脳の活動が極めて活発になり、思考が非常に高速で進むようになります。
そのため、言葉が次々と溢れ出たり新しいアイデアが瞬時に浮かんだりすることがあります。他人にはこれが「頭がいい」ように見える場合があります。
また、アイデアが独創的であることから、知的で創造的だと感じ取られることも少なくありません。
ただし、これらは躁状態によるもので長期間持続するものではなく本人も後からアイデアを整理するのが難しくなる場合が多々あります。
コミュニケーション力が高くなるから
躁状態にある人は、異常に明るく自信に満ち溢れた態度を見せることがあります。
話術が巧みになり、饒舌になるため他者と簡単に打ち解けたり説得力のある話を展開することができます。
このようなコミュニケーション能力の向上も、周囲からは「頭がいい」と映るポイントとなります。
行動的になるから
躁状態にある人は非常にエネルギッシュで行動力が増します。通常ならためらうような挑戦や、リスクのある決断を即断即決で行うこともあります。
この積極性や大胆さは、他者から見ると非常に能動的で、頭の回転が速いように映ります。様々な活動に手を伸ばす姿は「何でもできる人だ」という印象も与えるかもしれません。
しかし、この行動力の裏には注意力の散漫や自身の限界を超えて突っ走る危険も潜んでいます。
このように、双極性障害の人が頭がよく見えるのは躁状態によるものなのです。
双極性障害の症状
双極性障害は、気分が極端に変動する精神疾患です。日頃のエネルギーレベルや活動性、思考、行動にも大きな影響を及ぼし患者の日常生活を困難にすることがあります。
主に「うつ状態」「躁状態」「混合状態」といった区分でその症状が認識され、それぞれが異なる特徴を持っています。
以下では、それぞれの症状の違いを確認していきましょう。
うつ状態
双極性障害におけるうつ状態では、感情の沈静や極度の無気力感が特徴的に現れます。
この状態にいる患者は、不安感や絶望感、自己評価の低下などを抱えやすく、仕事や学業、日常生活にも影響が出ることがあります。
また、集中力の低下や決断力の喪失、以前楽しんでいたことに対する興味の欠如もよく見られる症状です。
さらに、一部の患者には食欲が減退したり反対に過食に走ったりする場合も見受けられます。
深刻な場合には、自殺の念を抱く、あるいは実際に行動に移す危険性も伴いますので早期の治療が重要です。
躁状態
躁状態はうつ状態とは反対に、エネルギーの過剰な増加または感情の高揚が見られます。患者は異常なほど楽観的になり、非常に自信過剰になることがあります。
また、睡眠時間が極端に少なくても元気でいられるのが特徴です。患者はしばしば快活で多弁になり注意が散漫になるほか衝動的な行動に走りがちです。
このような躁状態は、一見ポジティブな側面があるように見えるものの社会的・経済的なトラブルに発展する場合が多いため注意が必要です。
混合状態
混合状態は、うつ状態と躁状態が同時に現れる状態を指します。
この状態にいる患者は、不安定な感情と極度のエネルギーを併せ持っており内的な葛藤が非常に激しいことが特徴です。
たとえば、脳内では強いエネルギーを感じながらも、同時に悲観的な思考に苛まれるという相反する感情が交錯します。
そのため、患者は混乱することが多く、症状への対処が難しくなります。
双極性障害の診断基準
双極性障害は、気分の異常な変動による精神疾患であり、診断にはDSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル)の基準が用いられます。
参考:「双極性障害の診断基準」ハートクリニック
躁状態または軽躁状態が一定期間以上続き、通常の活動や社会生活に影響を与える場合は注意が必要です。
家庭や職場など日常生活への支障と症状の経過を丁寧に観察して診断基準に当てはまる場合は早急にクリニックに相談しましょう。
双極性障害の治療法
双極性障害の治療は多面的なアプローチが必要で、以下の治療法が用いられることが一般的です。
- 環境調整
- 薬物療法
- 精神療法
- 電気けいれん療法
それぞれの治療法の詳細を確認していきましょう。
環境調整
環境調整は、患者の日常生活環境を整えることで症状の悪化を防ぐ重要な治療法の一つです。双極性障害の患者にとって、規則的な生活習慣やストレスを避ける環境づくりが不可欠です。
仕事量の調整など患者が落ち着いた生活を送れる環境を整えてください。
例えば、ストレスの多い職場環境からの離脱や、睡眠リズムの安定化などの効果が期待できます。双極性障害の原因となるストレスから離れることで、症状の改善が期待できます。
薬物療法
薬物療法は双極性障害の症状をコントロールする役割を果たします。リチウムやバルプロ酸などの気分安定薬が一般的に用いられ、症状の悪化を予防します。
また、抑うつ期や躁状態に応じて抗うつ薬や抗精神病薬が適宜処方されることもあります。
ただし、薬物の効果には個人差があり副作用が出る場合もあるため、医師による十分な調整と経過観察が重要です。
精神療法
精神療法は、患者の心理的サポートや症状管理を行う治療法で、薬物療法と併用されることが多いです。
認知行動療法(CBT)は、自身の考え方や行動パターンを見直し、気分の変動を管理する能力を向上させる効果があります。
また、家族療法を通じて患者の家族も病気への理解を深めることで、日常生活での支援がより効果的なものとなることが期待されます。
電気けいれん療法
電気けいれん療法(ECT)は、重度の双極性障害や薬物療法が効果を示さない場合に用いられる治療法です。
特に強い抑うつ状態や命に関わる危険がある場合に利用されることが多いです。この療法では、電気刺激によって脳の活動を調整し症状を改善します。
短期間で効果が現れることがある一方で、短期的な記憶喪失など副作用に対する懸念もあります。
双極性障害の人との接し方
双極性障害を持つ人々と適切に向き合うためには、彼らの症状や気持ちに寄り添った対応が必要です。
双極性障害を患う方との具体的な接し方を紹介します。
- 鬱状態と躁状態が出ることを理解しておく
- 仕事の環境を整える
- 患者の気持ちを受け止める
- 無理に励まさない
それぞれ確認して適切な接し方を心がけましょう。
鬱状態と躁状態が出ることを理解しておく
双極性障害は、気分が著しく低下する鬱状態と、高揚感や衝動的な行動が見られる躁状態の両方が発生する疾患です。
それぞれの状態では症状が全く異なるため、接し方やサポートの方法も異なる点を理解することが重要です。
鬱状態のときは無理に明るくさせようとせず、相手が自分のペースで行動できる環境を整えることが大切です。
一方、躁状態の際には必要以上に相手の行動に巻き込まれないようにしながらも、冷静に見守り必要に応じて落ち着くよう促す姿勢が求められます。
このように各状態の特徴に合わせて対応することが大切です。
仕事の環境を整える
双極性障害の人が働く場合、仕事環境が症状の悪化に影響を及ぼすことがあります。そのため、無理のない働き方をサポートすることが重要です。
例えば、柔軟な勤務時間や休憩の確保、ストレスを軽減する業務の工夫などが挙げられます。
また、業務の進捗管理や締め切りを調整し、負担をかけすぎないようにすることも大切です。
職場の仲間や上司が双極性障害の症状を理解して、働く環境を整えることで安心して働ける環境を構築できます。
患者の気持ちを受け止める
双極性障害を抱える人々の感情や悩みを受け止めることは、困難な場合もあります。特に鬱状態では「何を言っても無駄」と感じるかもしれません。それでも相手の話を聞き、共感を示す姿勢が大切です。
相手の訴えに耳を傾けつつ、「あなたの状態を気にかけている」というメッセージを伝えることで信頼関係を築けます。
相手を否定せず感情を尊重することが回復を支える大きな力となるでしょう。
無理に励まさない
双極性障害の人を励ます際には、その言葉がかえって負担やプレッシャーになることがあるため注意が必要です。
「頑張って」「元気を出して」といったフレーズは善意であっても、鬱状態では受け取り方次第で自己否定感を増幅させる可能性があります。
そのため「今は休んでも大丈夫」「話したいときはいつでも話してね」といった、相手のペースを尊重した言葉をかけるよう心がけましょう。
無理に元気づけようとせず、自然体で寄り添う姿勢が相手に安心感を提供します。こうした積み重ねが長い目で見た際に相手の回復をサポートする要素となります。
双極性障害に関するよくある質問
双極性障害は患者やそのご家族がさまざまな疑問や不安を抱えることが多い疾患です。最後に双極性障害に関するよくある質問を紹介します。
- 双極性障害は自然に治りますか?
- 双極性障害の治療期間の目安は?
それぞれ確認して双極性障害に対する理解を深めていきましょう。
双極性障害は自然に治りますか?
双極性障害は自己治癒が期待できる疾患ではありません。
症状の波(躁状態やうつ状態)には周期があり、一時的に症状が軽くなることもあるため、「治ったように感じる」場面もあります。
しかし、これらは自然治癒したわけではなく症状の特性的に一時的に症状が軽くなっただけです。
うつ状態が現れたら再び辛い症状が現れます。そのため、双極性障害を発症した場合は早急にクリニックに相談することが大切です。
双極性障害の治療期間の目安は?
双極性障害の治療期間は個人差が非常に大きいですが、長期的な治療や管理が必要とされます。
症状を抑える目的の治療は数ヶ月から数年かかることもありますが、症状の再発を予防するためにはその後も継続的な治療を行うことが必要となります。
双極性障害は一生付き合わなければならないケースもあります。医師としっかり連携して継続的な治療を続けられる体制を整えましょう。
双極性障害だからといって頭が良くなるわけではない
双極性障害は感情や行動の波が著しい疾患で、時に行動力や集中力の高さから「頭がいい」と思われがちです。
しかし、この病気に関連して特殊な能力や知的な向上が認められるわけではありません。病気に関連する誤解を解消するためにも、正確な知識を持つことが大切です。
双極性障害は早期治療が症状のスムーズな回復につながります。
自身や周囲の方々双極性障害かもしれないと感じたら早めによりそいメンタルクリニックに相談してください。医師が必要と判断した場合の診断書の即日発行に対応しているため、すぐに治療をスタートできます。