「自律神経失調症は血液検査でわかる?」
「血液検査で発覚する自律神経失調症の症状とは?」
上記のような疑問を抱えている方もいるのではないでしょうか。
自律神経失調症は明確な診断基準はないですが、血液検査で診断できます。
本記事では、血液検査で自律神経失調症が診断できるのかを踏まえて、他の検査方法や症状の内容などを解説します。
なお、専門医への相談を考えている方は、横浜よりそいメンタルクリニックがおすすめです。診療実績豊富な専門医が多数在籍していて、環境・設備も充実しています。
自律神経失調は血液検査でわかるのか
自分が自律神経失調症であるかどうかは、血液検査での把握が可能です。
血液検査は、自律神経失調症自体を直接的に診断するものではありませんが、関連する要因や症状を間接的に明らかにする役割を果たします。
具体的には、ストレスホルモンであるコルチゾールや副腎髄質から分泌されるアドレナリンやノルアドレナリンの濃度を測定するれば、自律神経の交感神経と副交感神経のバランスを評価します。
そもそも自律神経失調症とは
自律神経失調症とは、自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが崩れることによって起こる病気です。
2つの神経系は、呼吸、心拍、消化、体温調節などの基本的な生理機能をコントロールし、体内のホメオスタシス(恒常性)を維持しています。
これらのバランスが崩れると、自律神経の調和が崩れ、頭痛、めまい、ほてりなど身体症状が生じることもあれば、イライラや倦怠感などの精神症状が生じる場合もあるでしょう。
自律神経失調症になる原因とは
交感神経と副交感神経のバランスが崩れると自律神経失調症になりますが、崩れる主な原因は、ストレスと生活習慣の乱れです。
仕事や家庭環境、人間関係のトラブル、経済的な不安など、長期間にわたる精神的な負荷が交感神経を過剰に刺激します。
この刺激が続くと、副交感神経の働きが抑制され、リラックス身体の回復が難しくなるでしょう。
また、不規則な睡眠や長時間の労働、過労、運動不足、偏った食事などの生活習慣は、自律神経系に負担をかけます。
特に睡眠不足は、体内の回復機能を阻害し、交感神経が優位な状態を引き起こしやすいため、注意が必要です。
血液検査でわかる自律神経失調症の主な症状
血液検査でわかる自律神経失調症の主な症状は、以下の通りです。
- 頭痛・めまい・立ちくらみ
- 手足のしびれやほてり
- 腹痛・下痢・便秘
- 微熱が続いている
- 全身倦怠感がある
詳しく解説します。
頭痛・めまい・立ちくらみ
自律神経は、体温調節や心拍数、呼吸など、無意識のうちに身体の機能を調整する重要な役割です。これをホメオスタシス(恒常性)といいます。
特に、交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで、血管の収縮や拡張がうまくいかず、頭部に痛みを生じることがあります。身体の巡りが悪くなり、頭痛やめまい、立ちくらみがする原因です。
これらの症状は、自律神経失調症の典型的なものであると同時に、他の疾患とも関連している場合があります。
そのため、血液検査を通じてホルモンバランスや栄養状態、炎症反応などを確認しながら、包括的に評価するのが重要です。
手足のしびれやほてり
手足のしびれは、主に末梢血管の収縮や拡張をコントロールする自律神経の働きが乱れた場合に生じます。
交感神経が過剰に活発化すると、末梢の血流が減少し、酸素や栄養分が十分に供給されないことで神経の働きが一時的に低下します。
一方、手足のほてりは、主に副交感神経の過剰な反応や血流の異常が原因です。体温調節機能が乱れることで、必要以上に末梢血管が拡張し、手足に血液が集中するため、ほてりを感じることがあります。
血液検査では、炎症反応を示すCRPや甲状腺ホルモンの異常値が確認される場合があり、これらが自律神経のバランスに影響を与える可能性あるでしょう。
腹痛・下痢・便秘
腹痛は、自律神経が消化管の運動を調整しているため、神経の不調が胃腸の働きに影響を与え、腹部に痛みや不快感を感じることがあります。
ストレスや生活習慣の乱れが影響を与えると、交感神経が過剰に働いたり、副交感神経が弱まったりして、腸の働きが不安定になります。
胃腸の動きが早すぎて下痢が発生したり、逆に遅すぎて便秘が起こったりするのがあるでしょう。
特に血液検査で特定の栄養素の不足や炎症の兆候が確認された場合には、食事療法や適切な栄養補給が必要です。
微熱が続いている
自律神経の乱れが起こると、体温調節の機能がうまく働かなくなり、微熱が続くことがあります。
これは、自律神経のバランスが乱れることで、血管が収縮したり拡張したりを繰り返すことで、体温が不安定になることが原因の1つです。
微熱は、身体がストレスや不調に反応する一環として現れることが多いです。
精神的なストレスや不安も自律神経のバランスを崩すため、体温調節が乱れやすく、微熱が長時間続くことがあるでしょう。
全身倦怠感がある
全身倦怠感は、自律神経の乱れによってホルモンバランスや血流が影響を受け、筋肉や臓器が必要なエネルギーを十分に得られなくなることが主な原因です。
たとえば、自律神経の働きが不調になると、副腎が適切に機能せず、ストレス応答に関与するコルチゾールの分泌が乱れることがあります。
血液検査では、コルチゾールの値が通常より低下または上昇している場合、このホルモン不均衡が倦怠感に関係していると考えられます。
検査結果にもとづき、栄養素の補給、ストレス管理、適度な運動や休息の確保など多角的なアプローチを取ることで、症状の緩和と根本的な改善を目指せるでしょう。
血液検査以外で自律神経失調症の検査でわかるのか
明確に定められている診断基準はありませんが、血液検査意外の検査方法は以下の通りです。
- 心電図検査
- 超音波検査
詳しく解説します。
心電図検査
心電図検査は心臓の電気的活動を記録し、心拍のリズムや心拍数の変化を詳細に把握できます。
自律神経失調症の患者は、心拍変動(HRV:Heart Rate Variability)と呼ばれる心拍間の時間間隔の変化が乱れていることが多いです。
一般的に心拍変動は自律神経が正常に機能している際に見られる自然なリズムであり、交感神経と副交感神経の相互作用によって調整されています。
しかし、自律神経が失調すると、ストレスが過剰にかかったり、副交感神経の働きが低下したりして、このリズムが不規則になることがあります。
心電図検査で心拍変動を解析すれば、自律神経の活動状態を客観的に評価できるでしょう。
超音波検査
心臓超音波検査(心エコー)は、自律神経のバランスが心臓の働きにどのような影響を与えているかを確認するのに役立ちます。
たとえば、自律神経失調症に関連して、心拍数の変動や心筋の収縮力が正常範囲から逸脱している場合があり、これを画像で視覚的に確認できます。
また、血管の弾力性や血流のパターンを評価するのもでき、これにより交感神経が過剰に活性化している場合の血管収縮や逆に副交感神経の影響で血管が拡張しすぎている状態などを把握できるでしょう。
さらに、超音波検査では、内臓血流の動態も評価可能です。特に腹部の血流状態を調べることで、胃腸の働きに影響を及ぼす自律神経の活動状況を間接的に確認できます。
自律神経失調症で病院に行くべきかの判断基準
自律神経失調症で病院に行くべきかの判断基準とは、主に以下の通りです。
- 起立性調節障害を疑うとき
- 過敏性腸症候群を疑うとき
- 起立性調整障害・過敏性腸症候群以外の症状が出ているとき
詳しく解説します。
起立性調整障害を疑うとき
起立性調整障害とは、立ち上がったときに血圧が急激に低下し、めまいやふらつきを感じる症状です。
起立時に血流が低下してしまうことから起こります。特に思春期の頃に発症するのが多く、日常生活に影響を与えることがあります。
このような症状を感じたら、すぐにでも病院で見てもらい、専門科の意見を聞き、必要な対処をするのが大切です。
過敏性腸症候群を疑うとき
過敏性腸症候群とは、大腸に炎症や腫瘍などの器質的な異常が見つからないのにも関わらず、腹痛や便秘、下痢などの異常が慢性的に繰り返される病気です。
過敏性腸症候群の明確な原因は特定されていませんが、腸が過敏だったり、ストレスや疲れにより自律神経に負担がかかることがきっかけだと言われています。
過敏性腸症候群は完治が難しい病気ですが、適切な治療と生活習慣の改善によって、症状とうまく付き合い、日常生活を送ることができるでしょう。
起立性調整障害・過敏性腸症候群以外の症状が出てるとき
不眠や過呼吸、動悸などの起立性調整障害・過敏性腸症候群以外のさまざまな症状が出ている時があります。
このような症状が出ている時は、身体からのSOSのサインです。放っておかずに、休息を取るなど適切な対処をしましょう。
そのような症状の中に、重篤な病気が隠れていることもあります。些細な症状でものちに大きくなることがあるので、違和感を感じたら病院へ行きましょう。
自律神経失調症ではないが似ている病気
自律神経失調症ではないけれども、似ている病気がありますが、主に以下の通りです。
- 仮面うつ病
- 心身症
- バセドウ病
詳しく解説します。
仮面うつ病
仮面うつ病とは、うつ病の一種で、一般的なうつ病のように、意欲低下や落ち込みなどの症状が出にくく、倦怠感や痛みなどの身体的な症状が目立つものです。
心の症状が目立たず、身体の不調が主な症状として現れます。検査に行っても原因が特定できず、精神面の症状に気が付きにくいため、自律神経失調症と間違えられやすいのが特徴です。
間違えられやすい理由は、原因の複雑さにあります。共通した症状がある中で、どちらも明確な原因が特定しにくいことが多く、複数の要因が複雑に絡み合っているでしょう。
心身症
心身症は、心理的なストレスが身体的な症状として現れる病気を指し、精神的な要因と身体的な病態が密接に関連している点が特徴です。
血液検査やレントゲンなどの検査をしても、明確な異常は出てきません。ストレスが症状を悪化させたり、引き起こしたりします。
心身症では、主に頭痛、動悸、胃痛、下痢などの身体症状が現れます。これらの症状は自律神経の乱れによるものと似ているため、患者自身が自律神経失調症を疑うことがあるでしょう。
しかし、心身症の本質は心理的なストレスが引き金となり、それが身体的な反応として表出する点にあります。
バセドウ病
バセドウ病は、甲状腺ホルモンの過剰分泌によって起こる、自己免疫疾患です。甲状腺ホルモンは、身体の代謝を活発にする働きがあります。
甲状腺ホルモンが過剰に作られると、心拍数が増えたり、体重が減り、汗をかきやすくなるなどの症状がでます。
これは、自分の身体が誤って自分の甲状腺を攻撃し、結果的に甲状腺ホルモンが過剰に作られてしまうことから起こります。
バセドウ病では、問診、血液検査や甲状腺の超音波検査が有効で、検査で診断できます。
自律神経失調症を疑った場合に行くべき病院とは
自律神経失調症を疑った場合に行くべき病院は、主に以下の通りです。
- 心療内科
- 精神科
詳しく解説します。
心療内科
心療内科は、精神的なストレスや感情的な問題が引き起こす身体的症状に対して専門的な治療を行う病院です。
心療内科では、患者の症状に関する詳細な問診が行われます。この問診では、症状の発症時期や生活環境、精神的なストレス要因などを深掘りし、患者の心身の状態を総合的に把握します。
この問診で、医師は自律神経失調症を含む心身の問題が原因であるかどうかを判断できるでしょう。
精神科
精神科では、まず詳細なカウンセリングを通じて、患者が抱える心の状態やストレス源を把握します。
症状が精神的な原因から来ているのか、または別の身体的要因があるのかを見極めるのが可能です。
精神科で行われる治療は、心理療法を中心とするのが一般的です。
認知行動療法や精神療法などのアプローチを用いて、患者が感じる不安やストレスを軽減し、心の状態を安定させるための支援を行います。
また、必要に応じて、抗不安薬や抗うつ薬、睡眠薬などの薬物療法も行われます。
自律神経失調症の早期治療をするならクリニックへご相談を
自律神経失調症は血液検査で把握ができ、他にも心電図検査や超音波検査などでも判別が可能です。
そのような検査で自律神経失調症の症状が見られるとわかった場合は、症状が悪化する前に、早期治療が必要です。
自律神経の乱れは、ストレスや生活習慣の乱れが原因であるため、まずは規則正しい生活を心がけ、ストレスを溜めないよう、適度な休息をとりながら仕事や勉学に励むとよいでしょう。
もし、症状が改善されない場合は、医療機関への診断も視野に入れる必要があります。
横浜よりそいメンタルクリニックでは、自律神経の乱れを把握するためにさまざまな検査を行い、適切な治療を提供します。土日診察にも対応しているので、ぜひ気軽にご相談ください。