「うつ病や適応障害で血液検査をする理由はなんで?」
「採血をすることで分かることは何?」
「心療内科・精神科で血液検査をするメリットや採血後の注意点は?」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
うつ病や適応障害はここの病気であるため、血液検査をすることに疑問を抱える方も多くいます。精神疾患の診断においても血液検査は非常に重要な役割を持ちます。
本記事では心療内科・精神科で血液検査を行う理由を紹介します。また、血液検査のメリットや具体的な流れも解説するためぜひ参考にしてください。
なお、よりそいメンタルクリニックではうつ病・適応障害の血液検査を行っています。血液検査をして正確な診断を受けたい方は当院までご相談ください。
心療内科・精神科で血液検査を行う3つの理由
心療内科や精神科では患者の健康状態を総合的に判断するために血液検査を行います。血液検査を行う主な理由は以下の3つです。
- うつ病や適応障害が心身に与える影響を調べるため
- 血中濃度を調べるため
- 患者様の体に適した治療を提供するため
それぞれの理由の詳細を確認していきます。
うつ病や適応障害が心身に与える影響を調べるため
うつ病や適応障害は、心だけでなく体にも様々な影響を与えることがあります。
血液検査を行うことで、必要なビタミンやミネラルの不足、またはホルモンバランスの乱れといった身体的な要因を特定することができます。
検査の結果から、身体的な症状が精神状態にどのように影響を及ぼしているかも分析することが可能です。
このように、うつ病や適応障害が心身へ与える詳細を確認するためにも血液検査は必要となるのです。
血中濃度を調べるため
心療内科や精神科で処方される薬は、その効果を最大限に引き出すために患者様の血中濃度を理解しておく必要があります。
血液検査によって患者の血中濃度を正確に測定し、必要に応じて薬の種類や投与量の調整を行います。
適切な薬の量を提供することで、薬の効果を高め、副作用を最小限に抑えることが可能です。
血液検査は患者一人ひとりに合った安全で効果的な治療を提供するための鍵となるのです。
患者様の体に適した治療を提供するため
血液検査を用いて得られた情報を基に、患者それぞれに最適な治療法を選定することができます。
例えば、特定の栄養素やホルモンの異常が確認された場合、それに対応した治療やライフスタイルの改善を提案します。
これにより、患者自身の体の状態に適した、より効果的な治療プランを提案することが可能です。
血液検査結果を活用することで患者の健康状態を考慮した治療が行えます。
うつ病・適応障害の診断において採血で分かること
血液検査は、うつ病や適応障害の診断において多くの重要な情報を提供してくれます。ここでは、うつ病・適応障害の診断において採血をすることで分かることを紹介します。
- 甲状腺の機能
- PEA濃度
- うつ病や適応障害以外の病気の可能性
それぞれ詳細を確認していきます。
甲状腺の機能
甲状腺の機能も、うつ病や適応障害を判断する際に役立ちます。
うつ病や適応障害を発症すると甲状腺の機能が低下することが明らかとなっています。
そのため、血液検査の結果から甲状腺の機能を確認することでうつ病や適応障害の正確な判断が可能となるのです。
こうした情報は、単にうつ病や適応障害の診断だけでなく治療方針を見直したり追加の検査を考慮するための重要な情報となります。
PEA濃度
PEA(フェニルエチルアミン)は、気分や感情の調節に関与する神経伝達物質であり、その濃度がうつ病や適応障害の症状と関連していることが明らかとなっています。
健康的な人と比べて精神疾患を抱える患者は血液のPEA濃度が低いことがわかっています。
そのため、血液検査をすることでPEA濃度を分析することで患者様がうつ病や適応障害を発症しているか診断が可能なのです。
うつ病や適応障害以外の病気の可能性
血液検査によって得られる多くの情報は、うつ病や適応障害以外の隠れた疾患を発見するための有力な手段にもなります。
例えば、糖尿病やビタミン欠乏症、あるいは感染症の可能性を示唆する結果が得られた場合、それらの治療も含めた包括的なケアプランを考案します。
症状の理由がうつ病や適応障害とは別の病気によるものであったとしても、血液検査をしておくことで適切で迅速な治療介入を行うことが可能となるのです。
うつ病や適応障害の診断で血液検査を行うメリット
うつ病や適応障害の診断において、血液検査を行う主なメリットを3つ紹介します。
- 素早い診断が可能となる
- 的確に患者の状態を把握できる
- 薬の副作用のリスクを減らせる
それぞれのメリットを確認してクリニックに訪れた際に血液検査を行うことを検討してみましょう。それぞれ確認していきます。
素早い診断が可能となる
血液検査を用いることで、うつ病や適応障害の素早い診断が可能となります。
通常、うつ病や適応障害の診断には症状を正確に把握するために時間がかかるため診断までに時間がかかるケースがあります。
しかし、血液検査を行うことで客観的なデータをもとに診断が可能になります。
これにより、早期の診断が可能となり患者様に対して早期の診断と治療提供が可能となるのです。
的確に患者の状態を把握できる
血液検査は、個々の患者の状態をより正確に把握するための検査です。
血液検査をすることでストレスや免疫状態などが心身へ与えている具体的な影響を明確にすることができます。
これにより、より適切な治療計画を立てることができ、患者の治療効果を最大化することが可能となるのです。
薬の副作用のリスクを減らせる
血液検査を通じて患者様の状態を詳しく分析することで、患者様の体に適した治療薬の選定か行いやすくなります。
薬物の効果や副作用は個々の身体状態によって異なるため、血液データを参考にすることで、過剰な薬の投与を避け、副作用のリスクを低減できます。
これにより、患者にとってより安全性の高い治療提供が可能となり、安心した治療が受けられます。
うつ病・適応障害での血液検査がおすすめな方
うつ病や適応障害の診察に訪れた際に以下のような自分の状態を詳しく知りたい方は血液検査の実施がおすすめです。
- セカンドオピニオンとして詳しく診断してほしい方
- 薬を安心して服用したい方
- 診断書をすぐに欲しい方
自身が当てはまるかどうか確認して血液検査の実施を検討してみましょう。
セカンドオピニオンとして詳しく診断してほしい方
他の医師からの診断結果をもう一度確認したい、もしくは異なる視点からの診断を希望する方に、血液検査は非常に役立ちます。
この検査は、主観的な症状に加え、客観的なデータを提供するため、医師や患者自身が状態を詳細に理解しやすくなります。
これにより、医師からの診断に対してより納得感を得られる治療に取り組むことができます。
薬を安心して服用したい方
薬の効果と副作用に対して不安を抱えている方に、血液検査は安心感をもたらします。
個々の患者の体質や健康状態を詳しく知ることで、最適な薬を選びやすくなり、過剰投与や副作用のリスクを減らすことができます。
検査結果を基にした医師からのフィードバックは、患者の不安を和らげ、安心して服薬を始めるための後押しとなります。
診断書をすぐに欲しい方
急な事情で診断書が必要な方にとって、血液検査を利用することは迅速な対応が可能です。
血液検査のデータから医師は素早く診断が可能となるため必要な書類を短期間で準備できます。
これにより、職場や学校、その他の団体から求められる提出期限に余裕を持って対応することができます。
うつ病や適応障害で血液検査を受ける流れ
うつ病や適応障害が疑われるとき、血液検査は重要な検査の一環です。血液検査を通じて、心身の健康状態を確認し症状の根本原因を探ることができます。
このでは、うつ病や適応障害で血液検査を受ける流れを4つのステップで紹介します。
- 心療内科・精神科クリニックを受診する
- 受付で血液検査を希望することを伝える
- 診察で採血と問診を受ける
- 血液検査の結果が出たらクリニックを再受診する
それぞれのステップの詳細を確認してスムーズに血液検査を受けられるようになりましょう。
心療内科・精神科クリニックを受診する
まず、心療内科や精神科クリニックを受診し、専門の医師に相談します。
初診では、日常生活や症状の詳しい状況について問診を受けます。
医師はこれらの情報を基に、血液検査を行う必要があるかを判断します。
事前に自分の症状や悩みについて整理し、正確に伝えることで、さらに適切な診断と治療の計画が進められます。
受付で血液検査を希望することを伝える
クリニックにて受付を行う際に、血液検査を希望している旨をスタッフに伝えましょう。
通常、精神状態の診断には問診が重視されるため、血液検査は必須ではないことが多いです。
しかしながら、身体的な要因が関係している可能性も考慮し、希望を明確に伝えることで、血液検査が受けやすくなります。スタッフは必要な手続きを案内してくれます。
診察で採血と問診を受ける
診察では医師から詳しい問診が行われ、血液検査が行われます。
血液検査は通常、腕の静脈から行われ短時間で終わります。
問診には、現在の症状、過去の病歴、家族歴などが含まれ、これらの情報をもとに医師が適切な治療方針を決定します。
血液検査の結果は数日後に出るため、後日再度クリニックを訪問する必要があります。
血液検査の結果が出たらクリニックを再受診する
血液検査の結果が出たら、クリニックを再度訪問し、医師からの説明を受けます。
医師は結果をもとに、症状の原因や治療の方向性について詳しく話をしてくれます。
また、この際に治療について疑問があれば医師に確認すると良いでしょう。
必要に応じて診断書の発行依頼をする
診断の結果に基づき、必要であれば診断書の発行依頼を行います。
診断書は職場や学校への提出書類となるため、業務や学業上の配慮を得るための重要な書類となります。
診断書の発行には通常、数日を要することがあるため早めに依頼することをおすすめします。
診断書は個人情報が記載されているため大切に保管するようにしましょう。
診断書を発行することでできること
診断書を発行することにより、職場や学業における精神的・身体的負担を軽減するための配慮を求めることができます。ここでは、診断書を発行することでできることを3つ紹介します。
- 会社で業務量の調整など配慮がもらえる
- 休職して療養に集中できる
- 公的な福祉制度を活用できる
診断書を受け取ることで個々の状況に応じたサポートを受けやすくなるため、診断書を発行する際の参考にしてしてください。
会社で業務量の調整など配慮がもらえる
診断書を職場に提出することで、業務量の調整や勤務時間の短縮などの配慮を受けやすくなります。
これにより、精神的ストレスを軽減し、仕事と治療の両立が図れるようになります。
診断書は客観的な証拠となるため提出することで職場からの理解が得やすくなるでしょう。
休職して療養に集中できる
診断書があれば、医師の指示に基づいて正式に休職し、療養に専念することができます。
適切な休養を確保することで、回復に向けた効果的な治療が可能となり、その後の職場復帰もスムーズに進められるでしょう。
症状が重く働きながらの治療が難しい場合は休職も検討しましょう。
公的な福祉制度を活用できる
診断書は、公的福祉制度の申請においても重要な役割を果たします。
例えば、傷病手当金制度障害年金や自立支援医療制度など国の提供する公的制度を受ける際にも医師から発行された診断書が必要となります。
このような支援を活用することで、生活の安定を図りながら、心身の健康回復に専念する基盤を確立しやすくなります。
診断書を取得してこれらの制度を有効に利用しましょう。
うつ病・適応障害で利用できるおすすめ公的福祉制度
うつ病や適応障害と診断された場合、医療費や生活費の負担が心配になることがあります。
症状によっては長期の休職や退職を余儀なくされることもありますが、こうした状況に対処するためにいくつかの公的福祉制度が用意されています。
- 傷病手当金制度
- 自立支援医療制度
- 精神障害者保健福祉手帳
ここでは、治療の際の生活の負担を抑えるための代表的な3つの制度をご紹介します。
傷病手当金制度
傷病手当金制度は、病気や怪我で働けない期間にも収入の保障を受けられる制度です。
健康保険に加入しており、連続して4日以上働けない状態が続く場合に支給されます。
支給額は、直近の平均給与の約3分の2程度で、最長で1年6か月間受け取ることができます。
この制度を利用することで、うつ病や適応障害の治療に専念することが可能となり、経済的な負担によるストレスを軽減できます。
自立支援医療制度
自立支援医療制度は、精神疾患であるうつ病や適応障害の治療に必要な医療費の負担を軽減するための制度です。
対象となる治療は主に通院医療で、医療費の一部を公費で補助します。
自己負担額は原則として1割となり、家計に応じた月額上限が設定されるため治療による出費を抑えられます。
この制度を申請するには、医師の診断書と自治体への申請が必要ですが、治療の継続には大いに役立ちます。
精神障害者保健福祉手帳
精神障害者保健福祉手帳は、精神疾患を持つ方が各種の福祉サービスや公的支援を受けやすくするための制度です。
この手帳を持っていることで、税金の軽減や公共交通機関の割引、医療機関での優遇措置など多くのメリットがあります。
交付には医師の診断書と申請が必要で、等級によって受けられる支援内容が異なります。
手帳の申請を通じて、生活の質の向上を図り、社会参加の機会を広げることが期待できます。
血液検査後の注意点
血液検査は健康状態を把握するために重要ですが検査後にはいくつかの注意点があります。
- 激しい運動は避ける
- 過度な飲酒をしない
- 水分をしっかりとる
- 気分が悪くなったらすぐにクリニックに相談する
血液検査後はそれぞれの注意点を理解して生活を送るようにしましょう。
激しい運動は避ける
血液検査後は針を刺した場所が敏感になっており、激しい運動をすることは避けるべきです。
運動によって血流が促進されると、針を刺した部位からの出血や内出血が起こる可能性があります。
特に検査当日は無理な運動や重い物を持ち上げることを避け、安静に過ごすことが推奨されます。
翌日以降も違和感を感じた場合は、運動を控えるようにしましょう。
過度な飲酒をしない
血液検査後は体が一時的にデリケートな状態になっているため、過度な飲酒を避けるべきです。
アルコールは血流を促進し、血圧を変動させることがあるため血液検査後の体に悪影響を及ぼす可能性があります。
血液検査の直後は飲酒を避けて、体調を最優先に考えましょう。
水分をしっかりとる
血液検査後には水分をしっかりと摂ることが大切です。
血液量が一時的に減少することから、十分な水分補給が必要です。
検査後には軽度の脱水症状が起こることもあり、体調を整えるためにも水やお茶、スポーツドリンクなどでこまめに水分を補給してください。
気分が悪くなったらすぐにクリニックに相談する
血液検査後に気分が悪くなった場合、速やかにクリニックに相談することが重要です。
めまいや吐き気、異常な痛みを感じたときは放置せず、専門家に状況を伝えて適切なアドバイスや対応を受けましょう。
これにより、予期せぬ健康トラブルを避け早期に対処することが可能です。
心療内科・精神科クリニックでの血液検査でよくある質問
心療内科・精神科クリニックで初めて血液検査を行う方の中には様々な疑問や悩みを持つ方も多くいます。ここでは、心療内科・精神科クリニックでの血液検査でよくある質問を2つ紹介します。
- 血液検査を行う場合にかかる費用相場は?
- 血液検査は健康保険が適応される?
疑問や悩みを解消するための参考にしてください。
血液検査を行う場合にかかる費用相場は?
血液検査にかかる費用はクリニックによっても異なりますが、一般的には数千円から1万円程度が相場となることが多いです。
心療内科・精神科クリニックでの血液検査は、身体の健康状態も含めて精神的な要因を総合的に評価するため、必要に応じて複数の検査項目が設定されることがあります。
心配な場合は訪れるクリニックに具体的な料金について確認することをおすすめします。
血液検査は健康保険が適応される?
精神疾患などの病気の検査が目的となる場合は健康保険が適用されます。
心療内科や精神科クリニックで行われる血液検査も、医師が診療に必要と判断した場合には保険適応となります。
ただし、健康診断目的の場合の血液検査は保健適応外で全額自己負担となるため注意しましょう。
うつ病や適応障害の正確な診断を受けたい方は血液検査を受けよう!
うつ病や適応障害の診断には、精神面だけでなく身体的な状態を把握することが重要です。
血液検査は、栄養状態やホルモンバランス、その他の身体的要因を確認するための有力な手段です。
これにより、より精度の高い診断が可能となり、個別の治療計画を立てやすくなります。
精神的な症状だけでなく患者様それぞれの健康状態に基づいた治療を受けるためにも、血液検査を検討することをおすすめします。
なお、よりそいメンタルクリニックではうつ病・適応障害の血液検査を行っています。血液検査をして正確な診断を受けたい方は当院までご相談ください。
コメント