「うつ病の症状の段階は?」
「自分は今軽度・中度・重度のどの程度の症状なのだろう」
このような悩みを抱えていませんか。
うつ病の症状にはいくつかの段階があり、放置してしまうと少しずつ悪化していきます。
ただし、うつ病の治療は段階的に進められるため、早期に治療が開始できればその分回復も早まるでしょう。
本記事では、うつ病の程度の段階を見分けるポイントと、治療開始から回復までの経過を解説します。
なおうつ病の疑いのある方は、早急に「よりそいメンタルクリニック」への受診をおすすめします。早期の適切な処置により、より重度の段階への進行が防げます。
うつ病の症状の段階を表す3つのレベル
うつ病の症状は、大きく分けて次の3つの段階を経て進行します。
- 初期:軽度のうつ病
- 中期:中等度のうつ病
- 末期:重度のうつ病
以下で各段階の詳細を説明します。
初期:軽度のうつ病
うつ病の初期症状の段階は「軽度」に該当します。初期段階で現れる具体的な症状は、以下のとおりです。
- なんとなく体調が悪い
- やることがあるのに意欲が湧かない
- いつもより集中できない
- 口数が減る
- マイナス思考になる
- ぼんやりとした焦燥感・不安感が生じる
- 身だしなみが気にならなくなる
初期段階は、上記のように漠然とした不調が続いたり、本来の性格が多少変わったりするものの、仕事や家事など一通りのことはこれまでどおりにこなせます。
そのため、生活上に大きな支障がなく、本人・周囲ともに見逃しがちですが、早い段階での治療をおすすめします。
中期:中等度のうつ病
この段階は、初期の軽度からさらに悪化した状態であり、特徴的な症状は以下のとおりです。
- 頭や身体が重く思うように働かない
- 胃腸をはじめとする内臓の不調が生じる
- 趣味や好きなことに興味・関心を失う
- 外出や人と会うことが億劫になる
- 遅刻・欠勤(欠席)が増える
- 食欲が低下もしくは異常に増進する
- 体重が急激に増減する
中等度のうつ病の患者は、これまで意欲的に取り組んでいたさまざまなことに無関心・無気力になります。
また睡眠にも問題が生じ、不眠もしくは過眠の症状を訴える方が増えてくる時期です。
中等度うつ病では、日常生活や就業に支障が出始めることから、本人の異常を周囲が察知して発覚するケースが増えてくるため、注意が必要です。
末期:重度のうつ病
重度のうつ病は、いわゆる末期症状です。症状の程度がひどく、何も手につかなくなります。仕事や他者とのコミュニケーショはおろか、日常生活を送ることもままなりません。
飲食もできなくなり、寝たきりになるケースもあり、そのまま放置すると命に関わることもあります。さらに希死念慮が強く、自殺企図の恐れも大きいことから、状態によっては入院治療が必要です。
うつ病の診断基準
うつ病は「SDS(Self-rating Depression Scale)」によって重症度が診断されます。この診断基準は別名「自己評価式抑うつ性尺度(QIDS -J)」といい、アメリカ精神医学会の「DSM-IV」に準拠した心理検査です。
SDSでは、睡眠、食欲・体重、精神運動状態、その他から成る全16項目のチェックリストが用いられます。選択肢ごとに点数が設定されており、合計0点〜27点で評価する仕組みです。
チェックの結果、合計点数が6点以上の場合はうつ病の可能性があります。
インターネットやSNSなどでよくセルフチェックリストが公開されていますが、自己判断は危険なのであくまで目安に留めましょう。
うつ病治療における経過段階
うつ病の治療を開始した後は、次の3段階の経過をたどります。
- 診断〜約3ヵ月目:急性期
- 約4ヵ月〜6ヵ月目:回復期
- 約1年〜2年目:再発予防期
ただし、うつ病の回復の経過は個人差が大きいため、上記はあくまでも目安ですので、注意してください。以下では、各段階の特徴をお伝えします。
診断〜約3ヵ月目:急性期
急性期とは、うつ病と診断されてから3ヵ月目辺りの時期です。症状が出やすい期間であり、本人・周囲ともに辛く、途中で治療を止めたくなることもあるかもしれません。
治療を行う場合は、医師による正確な診断が行われ、患者の状態に応じて抗うつ薬が処方されることが一般的です。
さらに、周囲の人が患者に対して無理を強いることなく、安心できる環境を整えることも重要となるでしょう。
約4ヵ月〜6ヵ月目:回復期
回復期とは、うつ病の治療を開始してから約4ヵ月〜6ヵ月目のことであり、治るきっかけがつかめる時期です。なお回復期には、症状の程度が上下しながら、徐々に快方へ向かうケースが多い傾向にあります。
回復期には、身体および精神症状が理由もなく良くなったり悪くなったりを繰り返しますが、自己判断や焦りは禁物です。治療を中断すると、状態が悪い方へ逆戻りしてしまい、回復により時間がかかってしまいます。
特に、症状が悪いときは「もう治らないのではないか」と諦めてしまいそうになる患者も少なくありませんが、回復に必要な過程となるため、主治医と相談しながらやり過ごすことが大切です。
また回復期は疲れやすく、ひどい眠気に襲われる場合もあります。しかしそれは、身体が十分な休養を必要としている証拠なので、無理せずしっかりと休んでください。
約1年〜2年目:再発予防期
うつ病の再発予防期は、治療が功を奏し、症状が治る兆候をみせ始める時期です。症状がだいぶ改善したといってもまだ完全回復とはいえず、薬物療法などの治療を継続しながら体調安定を図ります。
また、再発予防期は症状が落ち着いてくる時期なので、少しずつ社会復帰を考え始める方もいるでしょう。とはいえ、焦燥感に駆られて急ぐと再発の恐れがあるため、医師と相談しながら着実に治療を進めなければなりません。
復帰直前には、今後の生活をより良くするための対策を講じることが必要です。自分の希望ばかりではなく、主治医や家族、職場などの客観的な意見も取り入れつつ、社会復帰に適した環境を整備していきましょう。
そもそもうつ病とは?
うつ病は段階的に発生する症状が異なりますが、そもそもどんな病気なのかをこの章では詳しく解説します。
主に以下4つの項目に分けてうつ病の特性を説明するので、ぜひ参考にしてください。
- うつ病の症状
- うつ病の原因となりやすい人の特徴
- うつ病とうつ状態の違い
- うつ病と適応障害の違い
うつ病の症状
うつ病とは、慢性的な抑うつ状態が続く気分障害です。「心の風邪」とも称され、日常生活に悪影響を及ぼします。うつ病の主な症状は、次の2つに大分されます。
- 身体症状
- 精神症状
上記それぞれの症状を具体的にみていきましょう。
身体症状
うつ病の代表的な身体症状は以下のとおりです。
|
上記の症状があり、身体の他の部位・機能に病気や異常がみられないときは、うつ病の疑いがあります。
精神症状
うつ病では、次の下記のような精神症状を呈します。
|
上記の精神症状は、身体症状も相まってひどく苦しいものです。しかし、うつ病の診断が下るまでは周囲から「怠けている」「大げさだ」ととらえられることも多く、本人は理解されない孤独感により苦しむケースも少なくありません。
うつ病の原因となりやすい人の特徴
うつ病の原因は、現在まだ明確になっていません。しかし現段階では、大きな心理的負荷による脳神経の伝達異常が関わっているといわれています。
また、うつ病には誘引する気質が存在するのも事実です。たとえば、次のような性格の人はうつ病になりやすい傾向にあります。
|
上記に該当する気質を持つ人は、ストレスを溜めやすく、日々負荷を積み重ねていくことでうつ病を発症する可能性が高まります。
うつ病とうつ状態の違い
うつ病とうつ状態は、似て非なるものです。うつ病は病気・障害の一種であり、長期的な抑うつ感および身体症状が生じ、日常生活や仕事に支障をきたします。
対して、うつ状態は気分のことであり、一時的なものが多く、時間の経過とともに改善するケースも多いでしょう。ただし、うつ状態が悪化慢性化するとうつ病に発展する場合もあるので、甘くみてはいけません。
うつ病と適応障害の違い
うつ病と同じような主症状を呈する病気として、適応障害が挙げられます。適応障害とは、ストレスとなる出来事をきっかけに、強い抑うつ感や不安感が続く障害です。
双方とも症状は似ていますが、うつ病には発症に際して特定のきっかけがなく、程度もより重度になります。
また適応障害はストレッサーから距離をとれば症状が収まるケースが多い傾向にありますが、うつ病が発症すると状況に関わらず抑うつが続く点も大きな違いです。
専門的な知識がないとうつ病と適応障害の判断は難しく、いずれも早期の治療が重要となります。そのため、うつ状態を自覚したら、すみやかに精神科もしくは心療内科を受診してください。
うつ病の治し方
精神科・心療内科では、次の3つの治療が提供されるのが一般的です。
- 休養および環境調整
- 薬物療法
- 精神・心理療法
以下では、それぞれの段階の治療内容をみていきましょう。
休養および環境調整
うつ病と診断されたら、まずはしっかりと休養できる環境を整えなければなりません。
仕事や学業と治療を両立させることも可能ですが、症状によっては休職・休学し、安静の徹底が必要です。
休養はうつ病の症状改善に欠かせない要素のため、安静な状態で十分な休養がとれる環境を確保したうえ、治療に専念します。
薬物療法
続いて薬物療法です。うつ病の治療に使用されるのは、主に抗うつ薬や抑うつ感など、不安感を軽減する薬です。
また一般的に、うつ病による睡眠障害があるときは睡眠導入剤、不安感・焦燥感の改善には抗不安薬が処方されます。
その他、身体に不調がある場合も、治療に適した薬による対症療法が施される流れが一般的です。
なお薬物療法は、投薬から効き目が現れるまでにある程度の時間が必要です。そのため、すぐに変化がないからといって、自己判断で中止してはいけません。
精神・心理療法
精神・心理療法とは、医師やカウンセラーとの訓練を通して、行動・思考パターンを変容させていく治療法です。
薬で心身の不調に対処するだけでは、うつ病の根本的な解決にはなりません。自らの考え方のクセを自覚・改善しないことには、一時的に症状が回復してもまた発症してしまう恐れもあるでしょう。
うつ病の代表的な精神・心理療法は、認知行動療法とカウンセリングです。
認知行動療法では、患者の認知の歪みへ医学的にアプローチし、物事の受け取り方や見方を変えます。考え方一つで気の持ちようが大きく変わるため、うつ病の再発防止に有効な手段です。
うつ病の全段階で症状改善に有効な対策方法
うつ病になった場合、症状や治療の段階に関わらず、以下6つのことを心がけてください。
- 無理や我慢をしない
- 一人で悩みを抱え込まない
- 焦らない
- ストレスはこまめに発散する
- 生活リズムを整える
- 異常を感じたらすみやかに医療機関を受診する
それぞれの理由とポイントを解説します。
無理や我慢をしない
うつ病になったときは、無理や我慢は厳禁です。さまざまな不調は、心身からのSOSなので、安静にしてしっかり休みましょう。
特に、症状がひどい急性期や波がある回復期は、つらい気持ちになることも多いですが、諦めずに治療を継続するのが重要です。
一人で悩みを抱え込まない
うつ病の症状や治療は、ひどいつらさを感じますが、悩みを一人で抱え込んではいけません。うつ病になる方は、人に頼ることが苦手なケースが多い傾向にありますが、誰でもよいので相談できる相手を見つけてください。
相談相手に迷った場合は、家族・友人や医療機関、公・民間の専門窓口など、相談する相手はたくさんいるので、一人で悩まず誰かに話すことをおすすめします。
焦らない
焦燥感はうつ病の主症状の一つです。うつ病になるのは真面目な方が多いため、つい回復・復帰を急いでしまうかもしれませんが、焦ってもよいことはなにもありません。
一般的に、うつ病が寛解するまでには、年単位の時間がかかるといわれています。そのため、焦らず少しずつ治療を進めることこそ回復の近道です。
ストレスはこまめに発散する
ストレスはうつ病の原因の一つです。できる限り溜めないようするほか、こまめに発散させるよう心がけてください。
治療が進んで心身の状態が安定してきたら、趣味や好きなことをして過ごすのもよいでしょう。なおストレス発散に効果的だといわれているのは、次のような行動です。
- 睡眠
- 入浴
- 音楽鑑賞
- 好物を食べる
- 軽い運動
上記のほか、本人が楽しい・心地よいと感じることならなんでもよいので、自分なりのストレス発散法を探してみてください。
生活リズムを整える
生活リズムを整えることで、心身の状態が安定しやすくなります。決まった時間に睡眠・起床する、栄養バランスのとれた食事を摂るなど、できる限り規則正しい生活を送るよう心がけましょう。
なお、生活リズムを整えるには、朝起きてすぐ日光を浴びることが有効です。人の身体は、日光を浴びると体内時計がリセットされ、一定時間の経過後に眠気が訪れやすくなる仕組みになっています。
また、入浴は心身をリラックスさせ、よりよい睡眠へと導いてくれるでしょう。
異常を感じたらすみやかに医療機関を受診する
うつ病の疑いがあるときは、すみやかに医療機関を受診してください。早期回復には、早い段階での治療が不可欠です。うつ病の初期段階で治療を始めれば、悪化や長期化が防げます。
ただ、初期症状は軽度で見逃しがちです。わずかでも気になる症状があるなら、精神科や心療内科へ気軽に相談してみましょう。
うつ病は初期症状での治療開始が早期寛解の近道!
うつ病の症状は、初期から中期、末期を経て段階的に進行していきます。また治療を始めてもすぐに治るわけではなく、安静な環境での休養や薬物療法、精神・心理療法の3つの段階に分け、回復に向けてアプローチします。
いずれの段階でも、無理や我慢、焦りは禁物です。主治医やカウンセラーに相談しながら、少しずつ寛解を目指しましょう。
「自分はうつ病かもしれない」と思ったら、すぐに「よりそいメンタルクリニック」への受診をおすすめします。診断書の即日発行にも対応しているため、早急に休職・休養が必要な方でも安心です。
ささいな悩みや困り事でも構いませんので、ぜひお気軽にご相談ください。