「最近なんだか疲れがとれない」
「わけもなく気持ちが落ち込む」
このような症状が続く場合は、うつ病の初期症状かもしれません。
うつ病になると、初期症状として軽い心身の不調が現れます。しかし、些細な変化なので本人・周囲ともに気付きにくく、見逃してしまい症状が進行することもめずらしくありません。
本記事では、うつ病の初期症状や治し方を解説します。正しい対処法もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
なお、本記事を読んで「自分はうつ病かもしれない」と思ったら「よりそいメンタルクリニック」への受診をおすすめします。こころの悩みは人それぞれであり、どんな小さなことでも真摯にサポートするので、ぜひお気軽にご相談ください。
うつ病の初期症状のサイン
うつ病のなり始めでは、初期症状として次のような兆候がみられます。
- 気分に変調が生じる
- 身体に軽度の不調が現れる
- 性格や行動が変化する
初期によくある上記3つのサインについて、それぞれ詳しくみていきましょう。
気分に変調が生じる
うつ病の初期には、以前より気分の浮き沈みが顕著になる傾向にあります。なお、具体的な症状は以下のとおりです。
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ただ気分の変調といっても、うつ病の初期段階は些細な変化です。そのため、専門知識がないと、一時的な抑うつ状態との見分けは容易ではありません。
したがって、気分に違和感があるときは自己判断に頼るのではなく、周囲の意見を聞いてみることをおすすめします。また、症状が長く続くようなら、すみやかに精神科や心療内科を受診してください。
身体に軽度の不調が現れる
軽い身体の不調は、うつ病の初期症状の可能性があります。なお、初期のうつ病の際に現れる身体症状の具体例は以下のとおりです。
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ただし、上記の症状があるからといって、必ずしもうつ病というわけではありません。とはいえ、原因不明の身体的な不調はうつ病の主症状の一つであるのは事実です。
また、うつ病以外の病気の可能性も考慮すると、症状が軽いとしても甘くみてはいけません。気になる不調が続く場合は、早期に医師へ相談しましょう。
性格や行動が変化する
これまでになかった行動をしたり、逆に今までできていたことができなくなったりするのも、うつ病の初期症状の特徴です。
例えば、うつ病の初期段階では、行動に以下のような変化が生じます。
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行動の変化は自分では気付きにくい傾向にありますが、他者からすると明らかにこれまでとは別人です。そのため、身近な人から変化を指摘され、うつ病であることが発覚するケースも少なくありません。
自分では問題ないと思っていても、身近な人から心配されたときは、ためらわずに医師や心理の専門家へ相談してください。
うつ病の初期症状に効くセルフメディケーション
うつ病の初期症状であれば、次のようなちょっとしたこころのケアで、症状の改善が見込める場合があります。
- 睡眠時間を確保する
- 栄養バランスのとれた食事を心がける
- 軽い運動を取り入れる
- 生活のリズムを整える
- 自分なりのストレス解消法を見つける
以下では、上記5つのセルフメディケーション術の詳細と実践のコツを説明します。
睡眠時間を確保する
毎日ゆっくり身体を休める時間を確保することで、初期のうつ病なら症状がぐっとよくなる可能性があります。心身ともに健康な身体づくりのためには上質な睡眠が不可欠であり、一般的な成人なら1日7〜8時間の睡眠が理想です。
しかし、うつ病の初期症状では睡眠障害が生じやすく、なかなか寝付けなくなったり逆に朝すんなり起きられなくなったりしやすくなります。
とはいえ、眠れないことを気負いすぎる必要はありません。睡眠は重要ではあるものの、入眠できなくても、体を横にして目を閉じるだけで身体は休まります。不眠を気にしすぎたために、余計に眠れなくなるケースも多いので、あくまでも気楽にとらえるようにしましょう。
また、寝る前のカフェインを含む食品の摂取や、パソコン・スマートフォンの使用などの覚醒作用のある行為は、極力避けるよう心がけてください。
栄養バランスのとれた食事を心がける
うつ病の初期症状が出ているときは、栄養バランスのとれた食事で、ストレスに負けない心身を養いましょう。毎日の食事の際は、五大栄養素をバランスよく摂取し、心と体を安定させるよう努めてください。
ただし、一回の食事ですべての栄養素を取り入れるのは難しいので、数日〜1週間単位でバランスがとれていればOKです。また、うつ病の改善には、次のような栄養素を積極的に取り入れることをおすすめします。
栄養素の種類 | 効果 | 多く含まれる食品の例 |
タンパク質 | セロトニンの素となる必須アミノ酸を多く含む | 肉、魚、牛乳、大豆製品、卵・乳製品、アボカドなど |
ビタミンB群 | 疲労回復および精神安定に効果が期待できる | 豚肉、レバー、鮭・うなぎなどの魚、玄米など |
ビタミンD | セロトニンの分泌を助ける | |
ミネラル | 鉄や亜鉛などの摂取でうつ病の症状改善効果が期待できる | レバー、赤身肉、小魚、海藻類、牡蠣、カツオなどの魚 |
うつ病の初期症状改善のキーポイントとなるのが、セロトニンです。セロトニンとは精神安定および幸福感を生む脳内の神経伝達物質であり、それを作り出す素となる栄養素を積極的に摂れば、症状改善につながります。
反対に、脂肪分の多すぎる食べ物や塩味・甘味の強過ぎる食品に注意してください。過剰に摂取した場合、血圧の乱高下による気分の変調や、身体の不調を招く恐れがあります。
といっても、精密な栄養計算など、難しいことを考える必要はありません。主食(ご飯)、主菜(メインのおかず)、副菜2品(小鉢のおかず)、汁物の一汁三菜を基本とする和食を中心の献立を考えれば、自然に栄養バランスが整いやすくなるのでおすすめです。
軽い運動を取り入れる
うつ病の初期症状がみられる場合、体調がよいときには積極的に運動を取り入れてみてください。適度な運動は、ストレス軽減および気分改善に効果的なセロトニンやドーパミンなどの分泌を促し、うつ病の改善および再発予防につながります。
また運動は気分転換になるほか、ほどよい疲労感が得られ、スムーズな入眠を促す効果も期待できるでしょう。
うつ病の初期におすすめの運動は、以下のような有酸素運動です。
- ウォーキング・散歩
- 軽めのジョギング
- ストレッチ
- ヨガ
- ダンス
汗ばむ程度の軽強度の運動は、楽に続けられるため、習慣化しやすいといえます。また、時間がとれない場合は、外出時に一駅分歩いたり、日常生活の動作を大きくしたりなど、小さな工夫を凝らすだけでもよい運動になるはずです。
生活のリズムを整える
規則正しい生活は、うつ病治療の基本です。生活リズムが整えば、前述の食事・睡眠の改善や運動時間の確保につながります。起床・就寝の時間をできる限り一定させ、日中に活動しやすい状態に近づけましょう。
なお生活リズムを整えるには、起床後すぐ朝日を浴びてみてください。朝日には、体内時計をリセットする効果があるといわれています。体内時計は体温・血圧やホルモンの分泌を司る重要な役割を担っており、乱れると抑うつ状態になるため注意が必要です。
基本的に、概日リズムの周期の関係で体内時計は少しずつズレていきますが、朝日を浴びればリセットされて元に戻りやすくなるでしょう。
また朝日には、幸せホルモンであるセロトニンの分泌を促す効果もあるといわれています。うつ病の初期は朝起きるのが辛く感じるかもしれませんが、いつまでも布団の中に入ったままでいるのではなく、カーテンを開けて朝日を浴びるよう心がけてみてください。
自分なりのストレス解消法を見つける
自分なりのストレス解消法を把握していれば、必要に応じて効果的にストレスが解消できます。ストレスはうつ病を引き起こす大きな要因であり、溜めすぎないようこまめに発散することが大切です。
ストレス解消法は、自分が好きなことや、楽しいと感じることならなんでも構いません。読書や動画・映画鑑賞、スポーツなど、夢中になれる趣味を探してみてください。
ただし、ストレス解消になるからといって、過度な飲酒やギャンブルなどの行為を習慣化するのはおすすめできません。依存性や中毒性が高いため、うつ病治療に悪影響を与える恐れがあります。
もし趣味や好きなことが特にない、見つからないという場合は「リラックス」をテーマにしてみるとよいでしょう。リラックスした状態は、ストレスを解消させ、心身が安定します。
リラックスによい行動といえば、入浴やマッサージ、アロマテラピーなどです。また、自然とのふれあいも、心を落ち着かせる効果があります。
また深くリラックスするためには、落ち着きやすい環境を整えることも重要です。温度・湿度や明るさなどにも配慮することで、より深くリラックスできる環境が整います。
うつ病の初期症状の予後
うつ病が初期症状の段階であれば、簡単な治療やセルフケアで改善する可能性もあるでしょう。しかし、うつ病の初期症状は自他ともに気付きにくいため、早期治療がうまくいかないこともめずらしくありません。
一時的なうつ状態は時間の経過で快方に向かうこともありますが、うつ病になると治療しないと治らないというのが通説です。
そのため、初期症状を放置した場合、症状の段階が中等度、重度とどんどん進行しかねません。そして症状が悪化するほど、その分治療や回復に時間がかかります。重度のうつ病になると、強い薬の投与や入院など、より踏み込んだ治療が必要となるでしょう。
したがって、うつ病は初期症状のうちに治療を始めることが大切です。うつ病と思しき諸症状が2週間以上続くことを目安に、早期に受診を検討してください。また、症状の継続が短期間でも、気になる症状があるときは我慢せずに早めの相談を心がけましょう。
なお、うつ病の症状の段階についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
うつ病の初期症状に気付いたらメンタルクリニックで早期治療を!
うつ病の初期は症状が軽い傾向にありますが、自己判断は危険です。自分では問題ないと思っていても、徐々に悪化してより重度のうつ病に発展してしまうケースも少なくありません。
うつ病の初期によくある気になる症状が出たときは、ためらわずに精神科や心療内科などのメンタル専門の医療機関を受診しましょう。メンタルクリニックは、患者の症状や状況、希望などに応じて最善の治療が施されるので、早期回復の近道です。
精神科や心療内科というと抵抗感を覚える方もいるかもしれませんが、現在は気軽に受診できるよう配慮されたクリニックが増えています。一人で行くのが不安なら、家族や友人など信頼できる人と一緒に受診してもOKです。
うつ病をはじめとし、メンタルに関する悩み・不安があるなら、ぜひ一度相談してみてください。
医療機関で受けられるうつ病の初期症状の治療法
精神科や心療内科でうつ病と診断されたあとは、治療がスタートします。うつ病の初期症状にほどこされる主な治療法は、次の3つです。
- 環境調整
- 薬物療法
- 精神療法
以下では、それぞれの治療法を詳しく説明します。
環境調整
うつ病の初期症状の治療を始める際は、休養に適した環境を整えるため、環境調整が必要です。医師や心理の専門家のアドバイスに従い、安静に休める環境に調整します。
また就業している場合は、通院時間を確保しつつ無理なく働けるよう、勤務時間や休暇取得のための各種調整も環境調整の一環です。
ただし、人によっては休めないほど忙しい状況に置かれていたり、周囲からの理解が得られなかったりすることもあるでしょう。その場合は、配置転換や入院の検討も必要になるかもしれません。
このように環境調整は、自分だけではなくその周囲も深く関わることなので「迷惑をかけてしまうのではないか」と心配になる方もいるでしょう。しかし、うつ病の治療をスムーズに進めるためには環境調整が不可欠であり、ひいては早期回復にもつながります。
医師・専門家や周囲と協力しながら、治療に専念できる環境を整えていきましょう。
薬物療法
薬物療法とは、その名のとおり投薬による治療法です。現在現れている目に見える不調への対症療法として、抗うつ剤や抗不安薬などが処方されます。また睡眠障害を併発している場合は、睡眠導入剤が処方されるケースもあるでしょう。
薬物療法では、医師の指示に従うことがなにより大切です。用法・用量を守って内服を続けることで、症状の早期緩和・改善が見込めます。
ただ、薬物療法は効果が目に見えて現れるまでにある程度の時間がかかる治療法です。副作用が生じる可能性もあり、本当に効いているのか不安になることもあるかもしれません。
しかし、薬物療法を自己判断で中止および減量・増量するのは厳禁です。場合によっては命に関わることもありうるので、必ず医師に相談して判断を仰ぎましょう。
精神療法
精神療法とは、心理的なアプローチによって認知のゆがみを矯正する治療法です。
うつ病になる人は、物事のとらえ方や思考・行動パターンに認知の歪みが働いている方が多いため、症状だけを改善させても再発の恐れが否めません。
そこで、こころのクセの根本的な治療に有効となるのが、認知行動療法や対人関係療法などの精神療法です。医師や専門家との一対一でのカウンセリングやグループワークを通して内面的な問題を整理し、心理的にアプローチすることで、うつ病の症状改善を目指します。
特にうつ病の初期症状であれば、精神療法による身体的・心理的負担も比較的軽度です。ストレスへの適切な付き合い方を学ぶことで、これまでの生きづらさがぐっと楽になるでしょう。
うつ病の初期症状は早期の対処・治療が肝心
うつ病は、心身の軽い不調から始まります。初期症状のうちは、生活習慣の改善やこまめなストレス発散など、ちょっとした心がけで症状が軽くなることもあるでしょう。
しかし自分では些細な変化・異常を認識しづらく、気付かないうちに症状がどんどん進行してしまうこともあるため、軽視してはいけません。
そのため、周囲から指摘を受けたり、不調が続いたりするときは、ためらわずに精神科や心療内科を受診しましょう。早期に治療がスタートできれば、回復スピードや予後も順調です。
「うつ病かな?」と思ったときは、ぜひ「よりそいメンタルクリニック」へご相談ください。うつ病は、自身の気持ちの持ちようや、やる気の問題ではなく、こころの病気です。一刻も早く治療を始め、早期回復へ向けた一歩を一緒に踏み出しましょう。