「過敏性腸症候群で血便が出ることはある?」
「血便が出る原因は?」
上記のような悩みを抱える方も少なくないでしょう。
過敏性腸症候群で血便が出る可能性はありますが、直接的な原因になることはほとんどありません。そのため、血便が出ることに不安を感じることもあると考えられます。
今回は過敏性腸症候群で血便が出ることはあるのか、何が原因で血便が出るのかをまとめました。最後までお読みいただければ、過敏性腸症候群による血便の原因を知ることにもつながるでしょう。
なお、過敏性腸症候群による血便に悩んでいるなら、横浜よりそいクリニックへご相談ください。
血便の原因を特定するのはもちろん、症状の改善方法や予防策も詳しくお調べいたします。
過敏性腸症候群で血便が出ることはある?
過敏性腸症候群で血便が出るケースは、あまりよくあるケースとは言えません。過敏性腸症候群はあくまでも腹痛とあわせて便秘・下痢などの便通異常を引き起こすものです。
場合によっては血便がともなうこともありますが、これは便通によって痔が引き起こされていると考えられるでしょう。
もし過敏性腸症候群が疑われる状況で血便がともなう場合、別の疾患を疑ったほうがよいかもしれません。
重大な疾患が隠れていることもあり、この場合は命に関わるおそれもあります。血便が見られた場合は、専門医の診察を受け、何が原因なのかを明確にしましょう。
放置していると、他の疾患が影響し、手遅れになってしまうこともあります。
過敏性腸症候群以外に血便が出る7つの原因
過敏性腸症候群で血便が出るケースは、決して多くありません。血便が出る理由として考えられるものは、以下の7つがあげられます。
- 潰瘍性大腸炎
- 大腸ポリープ
- クローン病
- 感染性大腸炎
- 大腸ガン
- 上部消化管出血
- 虚血性大腸炎
上記の疾患の内容をみていきましょう。
潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎は、大腸粘膜に炎症や潰瘍が発生する疾患です。潰瘍性大腸炎の主な症状には、血便以外にも腹痛や下痢、発熱などがあります。
炎症の程度や範囲によって症状の重さは異なり、軽症の場合は便にわずかな血液が混じる程度ですが、重症になると大量の血便が出てしまいます。
潰瘍性大腸炎は放置すると重篤化するリスクもあり、場合によっては別の病状につながるかもしれません。
合併症につながると命に関わることもあるため、できるだけ早期発見につなげる必要があるでしょう。
診断には、問診や血液検査に加えて、大腸内視鏡検査が必要となるのが一般的です。
大腸ポリープ
大腸ポリープとは、大腸や直腸の粘膜が異常に増殖してできる小さな隆起状の組織です。ポリープそのものは通常は無症状ですが、位置や大きさによっては血管に影響を及ぼし、便に血液が混じることがあります。
基本的には良性の腫瘍であるものの、一部は悪性化するリスクがあるため、決して軽視してはいけません。
また、ポリープが肥大化すると、便が通る際に刺激を受けて出血の原因になることもあります。
この出血が原因となり、血便を引き起こすと覚えておきましょう。大腸ポリープは、定期的な検査によって予防できます。
早期発見のためには内視鏡検査が重要になるため、血便が認められた場合は、早めに検査するようにしてください。
クローン病
クローン病は、消化管全体に炎症が発生する疾患です。特に小腸末端部や大腸が侵されることが多いのが特徴です。
炎症から出血が発生してしまい、これが便に混入して血便となってしまいます。クローン病の症状が過敏性腸症候群に似ている部分も多く、判断が難しいのも事実です。
下痢が頻繁に起こったり、体重が減少したりなどの症状が特徴です。原因も解明されていないため、気になる症状が現れたら、早めの診察を心がけましょう。
なお、診断には、大腸内視鏡検査や小腸造影、カプセル内視鏡、血液検査などが用いられます。
内視鏡検査では、腸内の炎症や潰瘍の有無、範囲を直接観察し、必要に応じて組織を採取し、血液検査では炎症マーカーであるCRP(C反応性タンパク)や貧血の有無を確認してくれます。
感染性大腸炎
感染性大腸炎は、細菌やウイルス、寄生虫などの病原体が腸内に侵入し、急性の炎症を引き起こす疾患です。
主に腸の感染症であり、細菌やウイルスによって腸内での炎症や感染症が引き起こされます。
感染性大腸炎の場合、発熱や腹痛をともなうことが一般的です。食中毒によるものも多く、下痢や腹痛とともに血便が見られることもあるでしょう。
感染性大腸炎が疑われる場合、原因菌の特定が必要になります。基本的には一過性で自然に治ることも多いです。
ただし、最悪の場合は命にも関わるので、子どもや高齢者は特に注意すべきでしょう。
大腸ガン
大腸ガンを患っていると、初期症状として血便が現れる場合があります。便に混じる血液の量はガンの進行状況によって増加し、貧血症状がともなうこともあるでしょう。
なお、大腸ガンは年齢や家族歴によって、発症のリスクがともないます。早期発見すれば治療の選択肢も広がるため、気になる場合は内視鏡検査を実施しましょう。
大腸ガンの場合、血便の色は鮮血や暗赤色になることが多いです。どのような血便が出ているかも、疾患の判断材料に役立ててください。
上部消化管出血
上部消化管出血では、胃や食道・十二指腸からの出血が原因で血便を引き起こすことがあります。
血液は消化液によって偏食するため、黒色タール便として現れるのが特徴です。上部消化管出血の場合、吐血をともなう場合も多く見られます。
黒色タール便が認められた場合は、消化管全体の検査が必要になるため、医療機関へ相談しましょう。
虚血性大腸炎
虚血性大腸炎は、主に大腸の血流が一時的に低下すると発生する疾患で、大腸の内壁に炎症や潰瘍を引き起こします。
この疾患の主な原因は、大腸を供給する血管の流れが何らかの理由で滞ることです。特に高齢者では、動脈硬化などにより血管の柔軟性が低下し、血流が十分に供給されなくなることが多いです。
また、脱水や低血圧、心臓疾患などが引き金となることもあります。突然の腹痛をともなうこともあるため、過敏性腸症候群に近い症状を感じる場合もあるでしょう。
腹痛だけでなく下痢をともなうこともあるため、これらの症状が確認できた場合は、すぐに医師へ相談してください。
血便の色によって考えられる疾患
血便の色には3種類あり、それぞれ考えられる疾患が異なります。
- 鮮血便
- 暗赤色便
- 黒色タール便
ここからはそれぞれどのような疾患が疑われるのか、詳しく見ていきましょう。
鮮血便
鮮血便とは、明るい赤色の血液が便に混ざったり、便の表面やトイレットペーパーに付着したりする状態です。
特に鮮血便は、鮮やかな赤色の血液が便やトイレットペーパーに付着するのが特徴です。直腸や肛門付近での出血が疑われ痔や裂肛となります。
ただし、大腸ガンや大腸ポリープ・炎症性疾患の可能性も否定できません。
通常の血液に近い色のことが多いため、比較的わかりやすい血便といえるでしょう。
暗赤色便
大腸や小腸の出血が原因となっている場合、暗赤色便が発生することが多いです。
主に大腸の中部から下部で出血が起こった場合に見られる血便であり、血液が腸内である程度分解されるために暗めの色となります。
暗赤色便が確認できた場合は、クローン病や潰瘍性大腸炎・大腸ガンなどの病気が考えられます。
少しわかりにくい血便でもあるため、少しでも違和感を感じたら、早めに医師へ相談するようにしてください。
黒色タール便
黒色で粘り気のあるタール状の便は、上部消化管からの出血が原因となります。
主に上部消化管からの出血が影響しており、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の疑いが考えられます。
また、他の便と比較すると悪臭をともなうのも特徴です。
過敏性腸症候群が疑われる際に血便が出たらどうすればよい?
過敏性腸症候群が疑われる際に血便が出たら、以下2つの方法で対処するとよいでしょう。
- 早めに大腸の検査を受ける
- 数時間の間食事・運動を控える
上記の内容を把握しておけば、いざというときにも適切な対処ができるはずです。
早めに大腸の検査を受ける
過敏性腸症候群が疑われる際に血便が出たら、できるだけ早めに大腸検査を受けるとよいでしょう。
内科・消化器内科を受診すれば、内視鏡検査を実施してもらえます。
これにより原因を早く特定できるため、症状が悪化するリスクも軽減できるでしょう。
原因の特定が遅くなると、重篤化する可能性も高まるため注意してください。
数時間の間食事・運動を控える
血便が認められた場合も、一時的に出ているだけの場合があります。この場合、数時間食事や運動を控えることで、症状が改善する可能性があります。
なお、食事や運動が原因で血便が出ている場合、食事内容や運動習慣の見直しも重要になるでしょう。
症状の再発防止を目指すのであれば、身体の回復に向けて、実践してみてください。
過敏性腸症候群で血便が出ないようにする予防策とは
過敏性腸症候群で血便が出ないようにする予防策は、以下の2つがあげられます。
- 定期検診を受ける
- 便秘対策を行う
どのような症状であったとしても、血便が出ないに越したことはありません。それぞれの内容を詳しく解説します。
定期検診を受ける
過敏性腸症候群での血便を予防するには、定期健診を受けることが重要です。大腸の健康状態を把握していれば、血便予防にもつながります。
また、定期健診は大腸ガンや直腸ガン、潰瘍性大腸炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍などの早期発見にも役立ちます。
過敏性腸症候群以外にもさまざまな疾患の予防になるため、定期健診を受ける機会を作りましょう。
便秘対策を行う
便秘対策を行えば、血便の予防・対策にもつながります。特に便秘が長く続いていると血便が出やすくなるため、効果的な対策方法です。
便秘が続いている場合、腸内を硬い便が通るため、腸に負担がかかってしまいます。このことにより、大腸の疾患を引き起こす可能性も高まります。
便秘の原因は、食生活やストレスなどさまざまです。普段から食生活やストレスに注意して、便秘対策を行いましょう。
過敏性腸症候群 血便に関するよくある質問
過敏性腸症候群 血便に関するよくある質問として、以下の3つをご紹介します。
- 大腸ガンの血便の特徴は?
- 心配しなくてもよい血便はある?
- 過敏性腸症候群の血便はストレスが原因?
あらかじめ疑問を解消しておけば、いざ血便が出たときにも適切な対処ができるでしょう。それぞれ確認していきます。
大腸ガンの血便の特徴は?
大腸がんによる血便は、便に血液が混ざる形で現れます。血便は暗赤色や粘液をともなうことが多く、このような場合は大腸がんの可能性が疑われるでしょう。
症状は断続的ですが、ガンの進行によって頻度が高くなったり、症状が過剰になったりします。
便秘と下痢が交互に起きることもあるため、これらの症状を見逃さないことが大切です。
心配しなくてもよい血便はある?
痔や裂肛による軽い鮮血便が起こっている場合は、それほど深刻でないケースがほとんどです。一時的な血便であるため、少しの間様子を見ても問題はないでしょう。
ただし、痛みがともなう場合は、痔や裂肛以外の原因が関係していることもあります。
なお、長期間血便が続く場合や血便を繰り返す場合は、医師の診察を受けることも一つの選択肢です。
過敏性腸症候群の血便はストレスが原因?
過敏性腸症候群は、ストレスが原因になっていることもあります。ストレスが腸の動きを乱し、症状を悪化させているためです。
ただし、血便そのものは過敏性腸症候群の直接的な症状ではありません。
ストレス管理が症状の緩和にも役立つため、原因を排除するのも重要になるでしょう。
過敏性腸症候群で血便が出るのは痔を発症している可能性が高い
過敏性腸症候群で血便が出るのは、痔を発症している可能性が高いです。特に便秘型だと血便につながると考えられ、硬い便に悩まされている場合は特に注意が必要でしょう。
便秘を解消するには食生活の見直しや、水分を十分に摂るなどの対策が求められます。これにより排便習慣が整えられ、血便のリスクが軽減できるでしょう。
横浜よりそいクリニックでは、過敏性腸症候群に関する悩みのご相談を受け付けております。
血便に関する心配を抱えていたり、原因の特定をしたりしたい場合は、ぜひ一度お問い合わせください。