強迫性障害には、治すコツがあります。
本記事では、強迫性障害を治すコツ6選や治療法などを解説します。また、家族や友人に強迫性障害の方がいる人に向けて、サポート方法も紹介していくので、ぜひ参考にしてください。
横浜よりそいメンタルクリニックでは、強迫性障害の相談が可能です。経験豊富な専門医が在籍しており、環境面や設備面も充実しているので、専門的な治療を受けられます。
強迫性障害とは?
強迫性障害とは、自分の意思に反して頭に浮かび続ける不安や不快感(強迫観念)を打ち消そうと、何度も同じ行動を取る(強迫行動)精神障害です。
たとえば、自分の手が汚く思えて何度も手を洗ったり、家の戸締りをしたか不安になって何度も確認したりすることなどが挙げられます。
自分では変だとわかっていても一時的に安心したくて、強迫行動を取ってしまいます。
また、家族や周囲の人を巻き込んでしまうことも多いです。
原因は完全には解明されていませんが、仕事上や人間関係などのストレスにより、脳内の神経伝達物質のバランスが乱れてしまうことなどが考えられています。
強迫性障害を治すコツ6選
本項では、自分でできる強迫性障害を治すコツ6選を紹介します。
- 焦らずに一歩一歩治療することを心がける
- 治療を途中でやめない
- 周囲のサポートを受ける
- 不安になったら軽く運動したり、趣味をしてみる
- 疲労やストレスをため込まない
- 行動日記をつけてみる
コツを理解して、強迫性障害を改善していきましょう。
焦らずに一歩一歩治療することを心がける
早く症状をよくしたい気持ちは大切ですが、焦ってしまうのはよくありません。
強迫性障害は、よくなったり悪くなったりを繰り返しながら徐々に回復していきます。悪くなった時に焦ってしまうと症状の悪化を招いたり、物事が悪い方向に進んでしまうことがあります。
調子が悪くなって病院を変えようとしたり、薬の用法・用量を勝手に変えることもやめましょう。
なるべく、焦らずにじっくり治療していくことを意識してみてください。それが治療の最短距離の道です。
治療を途中でやめない
少しよくなったからといって、治療を途中でやめないようにしましょう。前述したように強迫性障害は、よくなったり悪くなったりを繰り返します。
症状がかなり安定してきて、医師が治療をやめてもいいと判断するまでは治療を続けましょう。
強迫性障害は少しずつ時間をかけて治療していく病気ですが、もし治療を長く続けていても症状が改善されない場合は他の病気が併発している可能性があります。
その場合は、あらためて医師に相談してみましょう。
周囲のサポートを受ける
強迫性障害は、10代や20代の若い時期に発症することが多い病気です。
まだまだ経験が足りていなかったり不安に感じることが多い年代なので、家族や友人に協力を頼んでみてください。
家族や友人の励ましで、症状がよくなる可能性も高まります。さらに、自分だと気付かなかったような改善点に気付ける場合もあるでしょう。
ひとりで抱え込まずに、まずは協力をお願いしてみましょう。
不安になったら軽く運動したり、趣味をしてみる
無理をしないことが前提ですが、強迫観念が出てきたら軽く運動したり趣味をして、気を紛らわせてみましょう。
たとえば、ジョギングや散歩、軽い筋力トレーニングなどがおすすめです。運動を日常生活に取り入れることで、不安が軽減される効果も期待できるので、ぜひ試してみましょう。
趣味は音楽を聴いたり映画を見たり、読書や軽いスポーツなどがおすすめです。あまり激しくない趣味を選びましょう。
強迫観念が出ている時は、なかなか集中できないかもしれませんが、日常生活に取り入れることで気分転換やリラックスの効果が得られます。
症状が出にくくなったり、軽減される可能性も上がるので参考にしてみてください。
疲労やストレスをため込まない
強迫性障害による強迫観念や強迫行為をしている時、脳は常に緊張状態になっています。ストレスもかかり続けているので、うつ病などを併発するリスクも高まります。
思考がさらに混乱してしまう原因にもなるので、疲労やストレスを感じたら無理せずに休むことを心がけましょう。
自分が思っている以上に身体や精神は、疲れている可能性があります。そのような時は、瞑想がおすすめです。
深い呼吸で、まずは5分間呼吸に集中してみましょう。脳がすっきりして、リラックスできます。
お風呂に入るなどの、あまり頭を使わないような疲労回復の方法もおすすめです。
行動日記をつけてみる
以下のように、今日の行動日記をつけてみましょう。
日付と時間 | 出来事 | 自分の行動 |
2/1 15:00 | 電車に乗る | 手すりに手が触れてしまい、そのあと除菌シートで何度も手を拭いた。 |
日記をつけると、日常生活でどのような場面の時に強迫観念が出てくるのかが分かるようになります。
行動日記を継続的に記録することで、自分自身の強迫性障害のパターンを把握して治療や対策に役立てられるでしょう。
強迫観念が起きるきっかけの場面や状況が分かると、対処もしやすくなります。
強迫性障害の治療法①|薬物療法
強迫性障害の薬物療法で用いられる薬は、主に以下の通りです。
- SSRIなどの抗うつ薬
- 漢方薬
それぞれの特徴をみていきましょう。
SSRIなどの抗うつ薬
強迫性障害では、抗うつ薬が用いられることが多いです。なかでも副作用が比較的少ないとされているSSRIが一般的に使用されます。
SSRIとは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬の略で、脳内のセロトニン濃度を上げる効果があります。
脳内のセロトニンを増やすことで、不安感が軽減され、強迫観念や強迫行動を減らすことが期待できるでしょう。
SSRIは効果があらわれるまでに数週間かかることが特徴で、即効性はありません。しかし長期的な服用を前提として作られているため、依存性が低いです。副作用も比較的少ないので安心感がある薬になります。
なお、急に中止すると離脱症状が起きることがあるため、医師の指示にしっかり従うことが重要です。
漢方薬
強迫性障害の薬物治療には、漢方薬が用いられることもあります。以下が一般的に処方される漢方薬です。
漢方薬の種類 | 効果 |
桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう) | 不安や緊張を和らげる効果があります。 |
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) | 心を落ち着かせる効果や、不眠改善の効果があります。 |
四逆散(しぎゃくさん) | 気の巡りをよくして、ストレスを軽減する効果があります。 |
これ以外にも、患者の体質や状況に合わせた漢方が使用されることもあります。
漢方薬は自然由来の薬のため、副作用の心配がほぼありません。また、病気の原因だけでなく、身体全体にアプローチして治癒力を高めてくれます。
即効性はありませんが、長期的な服用で効果が期待されるでしょう。
強迫性障害の治療法②|暴露反応妨害療法
強迫性障害には、認知行動療法のひとつである「暴露反応妨害療法」も有効です。
- 暴露反応妨害療法とは
- 暴露反応妨害療法をうまく進めるためのコツ
薬物治療以外の方法があることも押さえておきましょう。
暴露反応妨害療法とは
暴露反応妨害法とは、暴露法と反応妨害法を合わせた治療法です。具体的には、強迫観念による不安にあえて立ち向かうような考え方や行動を取って、不安や苦痛を自然に減らしていく方法です。
たとえば、物を触ると手が汚くなると思って何度も手を洗ってしまう強迫行動が見られた場合、
- あえて物を触る
- 手を洗いたいと思っても我慢する
上記のような行動をくりかえして、「物を触っても平気なんだ」「手を洗わなくても大丈夫なんだ」と思うように訓練していきます。
徐々に慣れてくると、脅迫行為をしなくても不安感が軽減されることを、体感できるようになります。
脅迫行為を我慢することはつらいことですが、向き合っていくと少しずつ改善していくでしょう。
暴露反応妨害療法をうまく進めるためのコツ
暴露反応妨害療法は本人にとって負担が大きすぎてしまう可能性もあるため、できる範囲から始めてみましょう。無理はよくありません。
また、苦痛や恐怖を取り除く治療ではなく、苦痛や恐怖に慣れるための治療であることを認識することが重要です。
最初は、かえって苦痛や恐怖が増しますが、回数や時間を重ねていくと苦痛や恐怖が自然に減っていくことが実感できます。苦痛はあるけど徐々に弱まっていくことを心に留めておきましょう。
【分かっていてもやめられない】強迫性障害の特徴
強迫性障害の特徴として、分かっていてもやめられない症状があります。
強迫行動が合理的な行動ではないと分かっていても、不安をやわらげるためにせずにはいられません。
このことによって仕事に遅刻したり、学業に遅れが生じて日常生活に支障をきたす可能性があります。家族や友人に理解されずに、人間関係が悪化することも考えられます。
状況が悪化する前に、早めに医療機関を受診しましょう。精神科や心療内科での適切な治療が大切です。
どうしても脅迫行為をしたくなった時の対処法は?
強迫行為を我慢すると決めていても、どうしてもしたくなってしまう時もあるでしょう。また、うつ病などを併発している方は、調子が悪い時に我慢ができなくなってしまうこともあります。
そうした時は、さっさとあきらめて「次はしないようにしよう」と思った方がストレスがかかりません。
なるべく気持ちを切り替えて、趣味や身体を動かす時間を取ってみましょう。
一日我慢できなくても一喜一憂せず、長い時間をかけて少しずつ改善していく意識が重要です。
強迫性障害の診断基準
強迫性障害の診断には、主に以下の2つが用いられます。
- ICD-10:WHO(世界保健機構)が作成した診断基準
- DSM-5:米国精神医学学会が作成した診断基準
ICD-10は強迫観念や強迫行為のどちらか、または両方が少なくとも2週間以上続き、生活に支障が出ているかどうかで医師が判断します。
簡単に特徴を紹介すると、以下のことが書かれているのが特徴です。
- 強迫症状自体が楽しいものではない状態である
- 強迫行為や思考は不快で、何度も繰り返される状態である
- 強迫観念や強迫行為が、通常の行動ではないことを認識している状態である
DSM-5は、強迫観念や強迫行動に加えて、チック症状も含まれると記されています。
チック症状は、咳払いやまばたき、首の運動などを繰り返すことであると書かれています。
【具体策】身近な家族や友人ができるサポート方法4選
本項では、強迫性障害で苦しんでいる人が身近にいる家族や友人に向けて、サポート方法4選を紹介します。
- 強迫性障害を学んで理解してあげる
- 共感して話を聞いてあげる
- 治療を促して協力してあげる
- サポートする側も無理しすぎない
正しいサポート方法を理解して、ともに回復に進んでいきましょう。
強迫性障害を学んで理解してあげる
家族や友人が強迫性障害について理解していないと、本人に感情をぶつけてしまう可能性があります。
するとますます症状が悪化してしまう原因になるので、病気の知識をつけて、こういった症状があることを理解してあげましょう。
また、本人は強迫症状をやめようと必死に悩んで努力しています。それでもなかなかやめられないつらさや苦しみも理解してあげることが大切です。
家族や友人が批判的になってしまうと、強迫性障害が悪化してしまうというデータもあります。理解を持って、優しく接してあげましょう。
共感して話を聞いてあげる
強迫性障害の人が悩みを話している時は、共感して聞いてあげましょう。
また、強迫観念や強迫行動についての話を聞くと、本人の気持ちを理解してあげられます。そして「本当につらいね」などと声をかけてあげるだけでも本人の気持ちが軽くなります。
強迫性障害の人にとって、悩みを打ち明けられて話を聞いてくれる人は、貴重な存在です。なるべく寄り添って、不安や悩みを聞いてあげましょう。
治療を促して協力してあげる
強迫性障害の治療は、基本的に長期間かかることが多いです。根気が必要なため、治療を続けていく気持ちを家族や友人がサポートしてあげることが大切です。
たとえば、強迫性障害に使われる薬は効果が出るまでに時間がかかります。その時に家族もなかなかよくならないことで焦ってしまわないように気をつけましょう。
じっくりと治療していくことでよくなっていくことを本人に説明して、治療のモチベーションを保ってあげることが必要です。
サポートする側も無理しすぎない
強迫性障害の家族をサポートすることは、とても大変なことで、家族が疲弊してしまうこともあります。
治療も長きに渡るため、サポートする側の心身のケアも欠かさないようにしましょう。時には自分のストレス解消を優先してみることも大事です。
日中は趣味や運動で気持ちを発散して、夜はリラックスできる方法を取り入れてみましょう。
家族自身のケアも大事にしてサポートを続けることで、強迫性障害の本人とともに回復に向っていけます。
強迫性障害がなかなかよくならない時の主な2つの原因
強迫性障害の治療や、日々の対策を続けていてもなかなかよくならない時は、以下の原因があるかもしれません。
- 他の病気を併発している
- 治療方法が合ってない
それぞれみていきましょう。
他の病気を併発している
強迫性障害の患者さんは、うつ病を併発していることが多いのが特徴です。
うつ病や、他の精神障害を併発している場合は、それらの治療を並行して進める必要があります。治療は複雑になるかもしれませんが、適切な治療とサポートで改善していきます。
まずは、精神科医や心理士などの専門家に相談してみましょう。併発している疾患に対する専門的な知識と経験を持つ医師であると安心できます。
根気よく治療と向き合っていくと、改善の光が見えてくるでしょう。
治療方法が合ってない
症状がなかなかよくならない時は、治療方法が合っていない可能性も考えられるので、違ったアプローチも検討してみましょう。
まずは担当の医師やカウンセラーに相談し、現在の治療法について話し合いましょう。治療法の調整や変更が必要かもしれません。
また、病院の治療だけではなく、本記事でも紹介したようなセルフケアが足りていない可能性も考えられます。自分に合ったリラクゼーション方法を見つけてみましょう。
強迫性障害は早めに医師に相談しよう
強迫性障害は、病院での治療と自分でできる治すコツを両立することで、改善の可能性が高まります。
本記事で紹介した6つの治すコツを頭に入れて、日常生活に活かしてみてください。そして強迫症状により、日常生活に支障をきたしている場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
当院では強迫性障害はもちろん、うつ病などの精神疾患も含め、広く対応が可能です。
アクセスも良く、土日も診療しており、設備面も充実していて通院しやすい環境が整っています。ぜひ横浜よりそいメンタルクリニックまでご相談ください。