結論として、強迫性障害で脳が萎縮する可能性は低いとされています。
ただし、症状が悪化すると日常生活に支障をきたす場合があるため、原因や症状を理解したうえで正しい対処が必要です。
本記事では、強迫性障害の原因と症状を徹底解説します。くわえて、なりやすい人の特徴から5つのセルフケアも紹介しているので、強迫性障害で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
また、強迫性障害の治療は横浜よりそいメンタルクリニックにご相談ください。経験豊富な専門医が在籍しており、環境面や設備面も充実していて、専門的な治療を受けられます。
【脳が萎縮する可能性はあるのか】強迫性障害とは?
強迫性障害とは、自身の意思とは関係なく発生する不安感(強迫観念)を振り払うために、さまざまな行為(強迫行為)を反復してしまう不安障害の一つです。
脳が萎縮するかもと思っている人も多いかもしれませんが、その可能性は低いとされています。
また、発病確率は約100人中2、3人といわれており、統合失調症の100人中1人よりも高い発病率です。
強迫性障害の症状は「汚れが怖く、何度も手を洗ってしまう」「反復してしまう確認作業」「数字や物の置き方へ強いこだわり」などが挙げられ、几帳面な人やこだわりが強い人がなりやすいのが特徴です。
強迫性障害の原因とは?
強迫性障害の明確な原因は、現時点でわかっていません。
ただし、発症するであろう要因はいくつか挙げられます。発症の可能性がある要因は以下の通りです。
- 環境的要因:いじめ、不登校、ハラスメント
- 心理的要因:性格や考え方
- 生理的要因:遺伝やホルモンバランスの変化
要因は「環境的要因」「心理的要因」「生理的要因」の3つに大きく分けられ、いじめや不登校、会社でのハラスメントから性格、ホルモンバランスの変化までさまざまです。
また、神経伝達物質のセロトニンが機能異常を起こすことで強迫性障害になってしまうことも報告されています。
強迫性障害の5つの症状とは?
本章では、強迫性障害のよくある5つの症状を解説します。
- 不潔恐怖と洗浄
- 加害恐怖
- 確認作業
- 儀式行為
- 物の配置や数字へのこだわり
強迫性障害は、何度も確認してしまったり、細かいことが気になったり、自分ルールを守らないと気が済まなかったりするのがよくある症状です。
症状の中には、日常生活に支障をきたす場合も少なくありません。つらい場合は、早めに専門医へ相談するのがおすすめです。
不潔恐怖と洗浄
強迫性障害のよくある症状として、不潔恐怖と洗浄があります。
不潔恐怖と洗浄は、潔癖症をもっとひどくした症状です。汚れや細菌に対する極端な恐怖心から必要以上に手洗いや入浴を行います。
強迫性障害を発症すると「私は汚れているかもしれない」と強い不安を感じてしまいます。手洗いや入浴を1回だけしたのでは不安が解消されず、何度も洗浄行為を行ってしまうのが特徴です。
加害恐怖
加害恐怖とは、自分や他人に危害をくわえてしまう不安に襲われる症状です。
強迫性障害の中では一般的な症状で、「誰かを怪我させていないか」と常に考えてしまいがちで、自分の行動を制御できていないかもと恐怖を感じてしまいます。
周囲の人へ悩みを相談するのが難しく誤解されやすいため、相談できず一人で抱え込みやすい点に注意が必要です。
確認作業
強迫性障害を発症すると、確認作業を反復してしまうでしょう。確認作業とは、鍵の施錠や元栓の開閉などの確認が必要な作業を指し、同じ作業を反復してしまう行為です。
「ほんとにできているのか?」という不安を感じてしまうため、確認作業に時間と労力をかけてしまいます。
症状がひどい場合は日常生活に支障をきたしてしまうほか、友人や家族を巻き込んでしまう可能性もあります。
儀式行為
儀式行為は、強迫性障害の中でもこだわりが強い症状です。
儀式行為は、あらゆる作業を同じ手順でしなければと考えてしまう症状です。「靴を履くのは右足から」「人に触ったら必ず手を洗う」など、独自のルールがあるのが特徴といえます。
こだわりが強い人が発症しやすく、時間と労力を多く使ってしまうため、日常生活に支障をきたす可能性が高いです。
物の配置や数字へのこだわり
物の配置や数字へのこだわりが強いのも、強迫性障害の症状として挙げられます。
強迫性障害の人は、特定の数字や物に強いこだわりを見出す傾向にあり「服は黒色しか着ない」「9などの不吉な数字を極端に避ける」など、強いこだわりがあらわれます。
こだわりが強いがゆえに物事を一定のルールにしたがって制御しないと不安に陥ってしまうのが特徴です。
症状が強い場合は、日常生活に支障をきたす場合が多い点にも注意が必要です。
強迫性障害になりやすい人の5つの特徴とは?
本章では、強迫性障害になりやすい人の5つの特徴を紹介します。
- 完璧主義な人
- こだわりが強い人
- 几帳面な人
- 融通がきかない人
- 責任感が強い人
強迫性障害は、性格や考え方が原因の一つとされています。
本章で紹介するなりやすい人の特徴を理解して、自身が強迫性障害になりやすいかどうかの判断材料としてください。
完璧主義な人
完璧主義な人は、強迫性障害になりやすい傾向です。
完璧を求めるあまり理想が高く、思い通りいかないことで自分を責めすぎてしまう可能性が高いです。
また、完璧主義の人は自分以外の他人にも厳しくする場合があるため、家族や友人にも不潔恐怖による洗浄を強要したりします。
他人への巻き込みは、症状を悪化させるため、とくに注意が必要です。
こだわりが強い人
こだわりが強い人も強迫性障害になりやすい傾向があるため、注意が必要です。
こだわりが強いと、思い通りにならないと気が済まないため、不安感が強くなり、臨機応変な対応ができなくなります。
とくに数字や物の配置にこだわる場合が多く、悪い数字を避けたりするのが特徴です。そのため、会社や学校で孤立してしまう懸念があるので注意しましょう。
几帳面な人
几帳面な人も強迫性障害を発症しやすいといえます。几帳面な人は細かいところまで気が配れるがゆえ、確認作業を反復してしまう可能性が高いです。
確認作業が多くなると、本当にあっているか不安になりやすく、症状がより悪化してしまいます。
融通がきかない人
融通がきかない人も強迫性障害になりやすい特徴の一つです。頭が固く、自分が正しいと思い込んでしまう傾向にあります。
「誰ともぶつかっていないのにぶつかったと錯覚する」「独自のルールを他人におしつけてしまう」など、不安や思い込みによる影響が一般的です。
融通が利かない人は客観的視野を持ちづらく、思い込みが激しい場合があるため、強迫性障害になりやすい特徴といえます。
責任感が強い人
責任感が強い人も発症しやすい可能性があるため、注意しましょう。
責任感が強いがゆえ、自分自身を追い込みやすく、不安や悩みを抱え込んでしまう可能性があります。
責任感が強い人はやりきる力が強い反面、無理してしまいがちなため、たまには力を抜いたり、他人に頼って助けてもらうことを意識するのがおすすめです。
【具体例あり】強迫性障害が日常生活におよぼす3つの影響とは?
本章では、強迫性障害が日常生活におよぼす3つの影響を紹介します。
- 精神疾患の合併
- 行動面での制約
- 周囲の人との関係性悪化
強迫性障害の症状は、日常生活に支障をきたす場合がほとんどです。本章では、どのような影響があるか紹介するため、ぜひ参考にしてください。
精神疾患の合併
強迫性障害になることで、ほかの精神疾患を発症してしまうかもしれません。
不安を強く感じることでストレスが溜まってしまい、うつ病や不眠症などを合わせて発症する可能性があります。
その他、ストレス発散が原因でアルコールやその他嗜好品の依存症になる場合があるため、注意が必要です。
行動面での制約
強迫性障害がおよぼす影響として、行動面での制約が挙げられます。
繰り返し確認作業を行ったり、約束の時間を守れなかったりして、社会的な活動が難しくなります。
また、症状がひどい状態であれば、加害恐怖から外出できなくなる可能性もあるでしょう。
外出できないとより不安が募りやすくなり、脳のリフレッシュもできないため、症状の悪化が進んでしまいます。症状がひどい場合は、早めに医療機関へ受診するのが必要です。
周囲の人との関係性悪化
強迫性障害は、周囲の人との関係性悪化の懸念もあります。確認作業を必要以上に反復してしまい、家族や友人に迷惑をかけてしまうかもしれません。
さらにこだわりが強い場合、自分ルールを他人に押し付けてしまい、対人関係が悪化する可能性があります。
無理な押し付けは職場や学校での人間関係の悪化につながりやすく、家族や友人にも負担をかけることにつながってしまうため、注意が必要です。
強迫性障害で行われる2つの治療法とは?
本章では、強迫性障害で行われる2つの治療法を解説します。
- 薬物療法
- 認知行動療法
強迫性障害の治療法としては、薬を使用する薬物療法か行動を変化させる認知行動療法を行う場合がほとんどです。
また、治療法の決定を独自でやるのは間違った治療法を選択し、逆に症状が長引いてしまう危険性があるので注意が必要です。
治療を行う際は、必ず専門医の指示のもとで実施をお願いします。
薬物療法
強迫性障害に効果がある治療法の一つに薬物療法があります。
薬物療法は、薬を使用して病気を治す治療法です。強迫性障害の場合は、抗うつ薬の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を使用するのが一般的です。
薬の効果は人によって異なる場合があるため、一人ひとりに合ったものを専門医の指示のもと、調整していく必要があります。
強迫性障害の薬は副作用が少ない傾向にありますが、個人によって作用が異なる場合も少なくないため、身体に異変を感じた際は、すみやかに専門医や薬剤師に相談しましょう。
認知行動療法
強迫性障害へのもう一つの治療法として、認知行動療法があります。
認知行動療法は、患者が抱えている問題を改善したうえで考え方を直し、行動を変化させるのが目的の治療法です。強迫性障害では、曝露療法が活用される場合が多いといえます。
曝露療法は別名エクスポージャー法とも呼ばれ、患者自身が不安に立ち向かい、強迫行為をしないように反復練習する方法です。
不安に繰り返し立ち向かうことで感じる不安を軽減させたり、強迫行為をしなくてもいいようにします。
【自分でもできる】強迫性障害に対する5つのセルフケアとは?
最後に、強迫性障害に対する5つのセルフケアを紹介します。
- 深呼吸や瞑想を行う
- 十分な睡眠と適度な運動を行う
- 強迫性障害への知識をつける
- 意識して外出する
- 心のあり方を考える
それでは、詳しく見ていきましょう。
深呼吸や瞑想を行う
強迫性障害のセルフケアとして、深呼吸や瞑想を行うのがおすすめです。
深呼吸は精神的に落ち着ける効果があり、瞑想も同じような効果が期待できます。
さらに、瞑想にはストレスや不安症状の軽減が期待できるため、他の精神疾患にも効果的です。
深呼吸をする際は、しっかりと吐くのが大切で、ゆっくりと口から息を吐くようにしましょう。
深呼吸や瞑想は、習慣化させるとより効果的なため「朝の10分は瞑想する」や「行動する前に深呼吸する」など、毎日できるよう工夫するのがよいでしょう。
十分な睡眠と適度な運動を行う
十分な睡眠と適度な運動もセルフケアとして効果的です。
十分な睡眠は脳にある情報や記憶の整理には重要なため、脳のリフレッシュ効果が期待できます。
また、適度な運動はストレス軽減や脳のリフレッシュに効果があります。
運動は「散歩」や「ストレッチ」のような軽めな運動から始めてみて、習慣化につなげることが大切です。
強迫性障害への知識をつける
強迫性障害への知識をつけることも重要といえます。
強迫性障害の発症メカニズムを理解すれば、自身の状態をより客観的にみられるため、精神的に冷静になりやすいからです。
また、強迫性障害は家族や友人の理解も大切です。反復してしまう行為が病気によるものだと理解してあげる必要があり、精神疾患の治療に重要なプロセスとなります。
意識して外出する
意識的に外出してみるのも効果的です。
外出すれば新しい体験ができたり、友人との会話で脳をリフレッシュさせられます。
強迫性障害になると、不安や恐怖から外出を避けがちですが、外へ出ることで症状を和らげる効果が期待できるため、1日1時間でもいいので外出してみるのをおすすめします。
ただし、強迫性障害の症状がつらい人や外出するのが精神的にきつい場合は、逆に症状が悪化してしまう可能性があるため、注意は必要です。
まずは、近所の公園に散歩に行ったり、気の知れた友人とカフェでおしゃべりすることから始めてみるのがよいでしょう。
心のあり方を考える
強迫行為を抑えるためには、心のあり方を考えるのも大切です。
心の持ちようとして「細かいことを気にしない」「あえて不安に飛び込んでみる」「意識分散させる」などを意識するとよいでしょう。
強迫性障害の人は気になってしまうと取りつかれたように考え込んでしまう場合が多いです。気にしすぎないよう、考え込まず放置したり、他のことに意識を向けて分散させることが大切です。
不安を感じてしまうこと自体は問題ありません。気にしても考えすぎず、一人で抱え込まないようにしましょう。
強迫性障害でつらい場合は早めの受診を!
本記事では、強迫性障害の原因や主な症状を徹底解説したうえで、なりやすい人の特徴から5つのセルフケアを紹介しました。
強迫性障害で脳が萎縮する可能性は低いとされており、症状を和らげるには、心と身体のリフレッシュが重要です。
また、反復した確認作業や数字や物への強いこだわりなど、日常生活に支障をきたす場合は、医療機関への受診検討を強くおすすめします。
当院では強迫性障害を始めとした不安障害はもちろん、うつ病や育児ノイローゼなどの精神疾患も含め幅広く対応が可能です。
当日予約OKでアクセスも良く、設備面も充実していて通院しやすい環境が整っています。ぜひ横浜よりそいメンタルクリニックまでご相談ください。