社交不安障害とは
社交不安障害とは大勢の前でスピーチしたり、社会的地位のある人と話をしたりする際に過度に緊張をしてしまう精神疾患のことです。社交不安障害は別名「あがり症」と呼ばれることもあります。人前でのスピーチは一般的な方でも緊張することが多いため性格の問題と混同されるケースが多々ありますが、社交不安障害の方の場合ではそれらの行動に強いストレスを感じてしまい動悸や大量の汗などの身体的な症状が現れるのが特徴的です。
社交不安障害の2つのタイプ
社交不安障害は大きく「パフォーマンス限局型」と「全般型」2つのタイプに分類することができます。それぞれの対応の特徴は以下の通りです。
パフォーマンス限局型とは大勢の人の前でのスピーチや異性との交流会など特定のシーンに限り、過度に緊張してしまうタイプのことです。腹痛や吐き気、声の震えなど身体的特徴が見られ、回数を重ねても特定のシーンに慣れることができず、恐怖や不安が高まりそのシーンを避けるようになる。
全般型とは大勢の人の前でのスピーチや異性との交流会など特定のシーンに限らず、人とコミュニケーションを取ることや社会生活を送ることに恐怖や不安を抱えてしまうタイプのことです。全般型の社会不安障害は症状が重くなると日常生活を送ることが困難となり不登校や引きこもり、ニートに発展するケースも少なくありません。
社交不安障害の患者が苦手意識を抱えやすいシーン
社交不安障害を抱える患者が苦手意識を持ちやすい社会的シーンには以下の場面が挙げられます。
苦手意識を抱えやすい社会的なシーン・大勢の前でのスピーチ・プレゼン
・人とのコミュニケーション
・多くの人の視線が集まる場での飲食や会話
・仕事上の電話対応
・異性とのデート
・スポーツ大会への参加
社交不安障害の主な症状
社交不安障害の方が苦手意識を持つシーンに直面した際は、以下の身体的な症状が現れることがあります。
身体的症状・動悸
・息苦しさ
・多汗
・声が震える
・顔のほてりや赤面 など
社交不安障害の治療方法
社交不安障害の治療には「薬物療法」と「心理療法」の2つ治療方法を用いることが一般的です。
・薬物療法
社交不安障害の明確な原因はまだ明らかにされておりませんが、脳内のセロトニンやノルアドレナリンなどのホルモンバランスの乱れが要因となり発症すると考えられています。そのため、社交不安障害の治療の際は脳内でセロトニンの分泌量を調整する「SSRI」やセロトニンとノルアドレナリンの両方を調整する「SNRI」、抗不安薬などを服用して社会的な場での過度な緊張を軽減します。
・心理療法
社交不安障害を抱える患者は、自身の容姿や性格に対してネガティブな意識を持っている方が多くいます。自身に対するネガティブな感情が強いあまり社会的な場で強い不安を感じてしまうのです。心理療法では、段階的に患者が苦手意識を持つシーンに直面させ訓練を積んでいきます。薬物療法と心理療法を並行して行うことで、徐々に社会的な場面へ適応できるようにしていきます。
社交不安障害の診断方法
社交不安障害は未治療のまま放置されることも少なくありません。しかし、社交不安障害を治療せずにそのままにしておくと進学や就職、結婚など社会生活を送るうえでのライフイベントにおいて制約がかかります。自身の症状が社交不安障害かもしれないと感じた場合は以下のチェックシートを用いて確認をしてみましょう。以下の質問のうち、「はい」に複数当てはまる場合は社交不安障害の可能性があるため、早急に当院へご相談ください。