「うつ病の診断基準が知りたい」
「うつ病のセルフチェックシートをもとに自身の心の状態を確認したい」
「診断された後の過ごし方は?」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
うつ病の診断基準を理解しておくことで、「うつ病かも?」と感じた際に早期の対応が可能となります。
本記事では、うつ病の診断基準やセルフチェックシートを紹介します。また、うつ病と診断された後の過ごし方についても解説するため参考にしてください。
なお、少しでも「うつかも?」と感じた場合は、早急に治療を進める必要があるため、よりそいメンタルクリニックに相談してください。
医師が必要と判断した場合の診断書の即日発行に対応しているため、すぐに治療ができます。
うつ病の診断基準は?
うつ病は、気分や感情に深刻な影響を及ぼし日常生活に支障をきたす精神疾患です。
うつ病を適切に診断するためには専門的な基準に基づいた評価が必要です。
現在、世界的に用いられているうつ病の診断基準にはアメリカ精神医学会が策定した「DSM-5」と、世界保健機関(WHO)の「ICD-10」があります。
まずは、それぞれの診断基準について確認していきます。
アメリカ精神医学会の診断基準「DSM-5」
DSM-5(精神疾患の診断と統計マニュアル第5版)は、アメリカ精神医学会が発行している診断基準です。DSM-5の診断基準は以下の通りです。
引用:「日本経済新聞」
うつ病を診断するには、少なくとも2週間にわたり抑うつ気分や興味・喜びの喪失が続くことが必要です。
さらに、著しい体重の増減、不眠・過眠、エネルギーの喪失、価値の低下、集中力の低下、自殺念慮などの症状が確認される場合うつ病と診断される可能性があります。
WHOの診断基準「ICD―10」
ICD-10(国際疾病分類第10版)は、世界保健機関(WHO)が策定している国際的な診断基準です。
ICD-10では抑うつ気分、興味の喪失、急な疲労感の増大に加えて以下の症状が2つ以上かつ2週間以上続く場合にうつ病と診断されます。
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これらの症状に当てはまる場合はうつ病の可能性が高いため注意が必要です。
鑑別診断
うつ病の診断を正確に行うためには鑑別診断が重要です。鑑別診断は、うつ病以外の疾患が症状の原因でないかを確認する診断となります。
例えば、甲状腺機能低下症やビタミン欠乏症、あるいは薬の副作用などが抑うつ症状を引き起こす場合があります。
また、双極性障害や適応障害といった他の精神疾患との区別も必要です。
鑑別診断を通じて、うつ病以外の病気の可能性を確認して最善の治療方針を立てることが患者にとって極めて重要です。鑑別診断の際は血液検査や心理テストなどが用いられます。
うつ病のセルフチェックシート
うつ病は早期発見が非常に重要な精神疾患の一つとされています。
初期段階ではうつ病だと気づきにくいこともあり、自覚しにくいケースも多いです。
そのため、うつ病のセルフチェックシートを活用することで自身のメンタルヘルスの状況を把握する助けになります。
上記に当てはまる場合は早急にクリニックに相談するようにしましょう。
うつ病とともに併発しやすい精神疾患
うつ病は、他の精神疾患と併発することの多い疾患です。
そのため、うつ病の治療を行う際には、同時に併発していると思われる症状についても正確に診断し最適な治療法を検討する必要があります。
以下では、うつ病とともに併発しやすい精神疾患を紹介していきます。
適応障害
適応障害とは、生活環境や心理的ストレスに適応できないことで生じる精神的な不調を指します。
うつ病と似た症状を示すことが多く、気分の落ち込み、不安、集中力の低下などが挙げられます。
適応障害はストレスとなる出来事(たとえば職場のトラブルや家庭の問題)がはっきりしている場合に発症しやすく、適切な治療と環境調整が回復のカギとなります。
うつ病との違いを専門家が見極め、対処することが重要です。
睡眠障害
うつ病の患者の多くは睡眠障害を経験しています。不眠症や過眠症は、うつ病の主要な症状の一部でもあります。
不眠症の場合、十分な眠りが取れないことで日中の疲労感や集中力の欠如を引き起こし、うつ病の悪化につながる場合があります。
一方で、過眠症では逆に過剰な眠りが特徴であり、日常生活に支障をきたす場合があります。
不安障害
不安障害は、特定の出来事や環境に対して過度な不安を感じる疾患です。
うつ病患者では、未来に対する不安感や自己評価の低下が原因となり、不安障害を併発することがあります。
不安障害は身体の緊張や動悸、発汗といった身体的な症状が現れることが特徴です。
自律神経失調症
自律神経失調症は、ストレスなどによって自律神経のバランスが崩れた状態を指します。
症状としては、めまいや倦怠感、動悸、胃の不調など身体的な異常が挙げられます。
うつ病との関連も指摘されており、双方の症状が悪循環を生む可能性があります。
心療内科・精神科クリニックを受診する流れ
心療内科・精神科クリニックを受診する流れを3つのステップで紹介します。
- 【ステップ1】心療内科・精神科クリニックを予約する
- 【ステップ2】予約日になったら受診する
- 【ステップ3】病名の診断を受け治療を開始する
スムーズに受信できるように参考にしてください。
【ステップ1】心療内科・精神科クリニックを予約する
心療内科や精神科のクリニックへの受診を希望する場合、まずは予約を行う必要があります。
予約時には、症状や現在の状況を簡単に確認されることがあります。
予約を済ませたら、当日に必要な持ち物について確認しておきましょう。
【ステップ2】予約日になったら受診する
予約した日時になったら、クリニックを訪れて診察を受けます。初診の場合、まずは問診票の記入が求められます。
自身の症状や過去の治療歴などをできる限り詳しく記入しましょう。
その後、医師による診察が行われます。診察の際は症状や原因について詳しく伝えてください。
また、不明な点や悩みがある場合は診察の際に質問してみましょう。
【ステップ3】診断を受け治療を開始する
診察や検査の結果を受けて、症状の病名が診断されます。
病名が診断されたら具体的な治療法についての説明がなされます。
治療方法としては、薬物療法、カウンセリング、認知行動療法などが行われることが多く、患者の状況に応じて医師が適切な治療法を提案してくれます。医師の指示を守り、治療を開始しましょう。
うつ病と診断された場合の治療方法
うつ病は環境調整、薬物療法、精神療法の3つの治療法が用いられることが一般的です。
それぞれの治療法の詳細を確認していきます。
環境調整
うつ病の治療において環境調整は非常に重要です。
うつ病を発症するケースとして特定の環境によるストレスが原因となっていることが多くあります。
長時間労働やパワーハラスメントなどストレスの原因となっている環境から離れることで症状の回復につながります。
ストレスの原因となっている要因を考えて、ストレス環境から離れるようにしましょう。
薬物療法
薬物療法では、抗うつ薬は脳内の神経伝達物質のバランスを調整し気分の改善を促します。
薬は、個々の症状や体質に合わせて適切な薬が処方されます。
薬物療法は効果が現れるまでに数週間かかることもあるため、焦らずに服用を続けることが重要です。
また、副作用が現れる場合もあるため定期的に医師と相談しながら服用を進める必要があります。
精神療法
精神療法は心のケアを中心にした治療方法で、うつ病の治療において重要な役割を果たします。
代表的な精神療法として認知行動療法(CBT)があり、ネガティブな思考や行動パターンを修正することで症状の軽減を目指します。
他にもカウンセリングなど、患者の状態やニーズに応じた治療法が提供されます。
うつ病と診断された後の過ごし方
うつ病と診断されると、焦りや不安を感じる人も少なくありません。しかし、うつ病は適切な過ごし方をすることでスムーズな回復につながります。
以下では、うつ病と診断された後の過ごし方のポイントを4つ紹介します。
- 十分な休息をとる
- 適度な運動を取り入れる
- リフレッシュできる趣味を楽しむ
- 頑張りすぎない
それぞれのポイントを確認していきます。
十分な休息をとる
うつ病の治療において、心と体を十分に休ませることが重要です。睡眠不足や過度なストレスは、症状を悪化させる原因となることがあります。
自分にとって安心できる環境を整え、可能な限りリラックスする時間を確保しましょう。
うつ病の治療中は意識的に休息の時間を確保することが大切となります。
適度な運動を取り入れる
うつ病の治療として、軽い運動を取り入れることも効果的です。特にウォーキングやストレッチなどの負担が少ない運動がおすすめです。
体を動かすことで、心地よい疲労感が得られ、夜の睡眠の質も向上するでしょう。
無理なく心地よいと感じられる範囲で運動を取り入れてください。
リフレッシュできる趣味を楽しむ
趣味や好きなことを楽しむ時間を持つのも、うつ病の回復に役立つことがあります。
例えば読書や映画鑑賞、音楽を聴くなど、リラックスできる活動を心がけましょう。
趣味は、心のバランスを取り戻す手助けとなり、日々の生活に小さな楽しみを見出すことができます。
気分が乗らないときは無理に取り組む必要はありませんが、少しでも「やってみたい」と思える瞬間があれば趣味を楽しんでみてください。
頑張りすぎない
うつ病の最中は「もっと頑張らなければ」と思いがちですが、その思考がさらにストレスを生むことがあります。
頑張らないことは、決して悪いことではありません。自分に優しく接し、「今の自分で良いんだ」と安心感を持つことが大切です。
また、人と自分を比べるのではなく、自分なりのペースで過ごすことを意識しましょう。
うつ病の治療中の注意点
うつ病の治療中は症状の改善を目指す中で、適切な対応を取ることが大切です。ここでは、うつ病の治療中の注意点を3つ紹介します。
- 薬の副作用が出たらすぐに医師に相談する
- 自己判断で治療をやめない
- 復職のタイミングは必ず医師と相談する
それぞれの注意点の詳細を確認していきます。
薬の副作用が出たらすぐに医師に相談する
うつ病の治療薬を服用後に副作用が見られるケースもあります。
薬の副作用として、吐き気や眠気、めまい、さらには感情の変化などが現れる場合があります。
副作用を感じた際はできるだけ早く医師に相談することが大切です。自分の感じた副作用を詳しく医師に伝えて、別の薬を処方してもらいましょう。
自己判断で治療をやめない
うつ病の治療中に症状が一時的に良くなったと感じた際に、自己判断で薬をやめたり治療を中断しないようにしましょう。
治療を突然やめると再発のリスクが上がるだけでなく、症状の悪化につながることもあります。
うつ病の治療は長期的な取り組みが必要となることがほとんどです。自己判断での中断は危険であることを十分に理解しましょう。
復職のタイミングは必ず医師と相談する
うつ病が回復したと感じた場合でも、復職のタイミングを誤ると再発する可能性があります。
復職は、心と身体が完全に回復したタイミングで行うことが重要です。
そのため、復職の際は自分だけの判断で決めるのではなく医師のアドバイスを受けるようにしましょう。
医師は診察を通じて現在の状態を客観的に判断し適切な復職のタイミングを提案してくれます。
また、復職がつよいストレスにつながらないように職場とも調整を行い、段階的な復帰を検討することも大切です。
うつ病になりやすい人の特徴
うつ病になりやすい人には共通する傾向が見られます。以下では、うつ病になりやすい人の特徴を4つ紹介します。
- 責任感が強い人
- 真面目な人
- 完璧主義な人
それぞれ確認していきます。
責任感が強い人
責任感が強い人は周囲からの期待に応えようと無理をすることが多く、知らず知らずのうちに大きなストレスを抱えることがあります。
特に、仕事や家庭において「自分が頑張らなければならない」という思いが強く、休むことに罪悪感を覚えることもあるため、結果的に心身の負担が蓄積されていきます。
適切に責任を分担したり、時には周囲に助けを求めることで、ストレスを軽減する工夫が必要です。
真面目な人
真面目な人は、他者の期待を裏切らないように努力を重ねる傾向があります。
このような性格は他者から信頼を得られる一方で、自身にかかるプレッシャーを過剰に感じやすく、精神的な負担が大きくなることがあります。
適度に力を抜いたり、他人の助言を受け入れることでプレッシャーによる負担を軽減することが大切です。
完璧主義な人
完璧主義な人は、すべてを完璧にこなそうとすることで、自分自身に高いハードルを課します。
これにより、目標達成が困難な場合に強い挫折感や自己否定に陥ることがあります。
さらに、他人の過ちも許せない傾向があり、周囲との衝突や孤立を招くこともあります。
日常生活では「完璧でなくても良い」と自分に言い聞かせ、柔軟な心構えを持つようにすることで、心の負担を軽くできます。
うつ病に関するよくある質問
最後にうつ病に関するよくある質問を3つ紹介します。
- うつ病と嘘をついて診断を受けるとバレますか?
- うつ病は自然治癒しますか?
- うつ病が再発する可能性は高いですか?
それぞれ確認して疑問や悩みの解消に役立ててください。
うつ病と嘘をついて診察を受けるとバレますか?
うつ病と嘘をついて診察を受けた場合、経験豊富な医師はその内容に疑問を抱く可能性が高いです。
診断においては、医師は患者の言葉だけでなく表情、振る舞い、質問に対する反応なども細かく観察しています。
また、詳しい問診や心理テストを行うことが一般的で、それらの結果に矛盾がある場合、嘘に気付かれる可能性があります。
そのため、うつ病と嘘をついてクリニックに受診しないようにしましょう。
うつ病は自然治癒しますか?
うつ病は、軽度の場合に自然に症状が軽減することもあります。
しかし、適切な治療を受けなければ、症状が深刻化したり長期化したりするケースも少なくありません。
また、未治療のままだと日常生活や社会生活に支障をきたすことがあり、最悪の場合、自殺のリスクも高まります。
そのため、「自然治癒するかもしれない」と考え放置するのではなく、早急に医療機関を受診することが大切です。
うつ病が再発する可能性は高いですか?
うつ病は再発の可能性が高い精神疾患であることが知られています。
一度治療で回復したとしても、ストレスや生活環境の変化により再発するケースがあります。
そのため、症状が治った後も引き続き適切な生活習慣を維持することや、専門医の指導のもとで予防的なケアを行うことが重要です。
「うつ病かも?」と感じたら早急に医療機関へ!
「うつ病かもしれない」と感じた場合は、できるだけ早く医療機関を受診することが重要です。
初期の段階で適切な治療を受けることで、症状の悪化を防ぎ、回復までの期間を短くすることができます。
少しでも「うつかも?」と感じた場合は、よりそいメンタルクリニックに相談してください。
医師が必要と判断した場合の診断書の即日発行に対応しているため、すぐに治療が開始できます。