パニック障害は、突発的に強い恐怖や不安が襲い、身体的な症状をともなう精神的な障害です。
軽度のパニック障害では、発作が短期間で収束し、日常生活に深刻な影響を与えることは少ないですが、放置すると症状が悪化し生活に支障をきたすことがあります。
本記事では、軽度のパニック障害の具体的な症状や原因、対処法を詳しく解説します。パニック障害への不安がある方は、ぜひ参考にしてください。
なお、パニック障害の治療は横浜よりそいメンタルクリニックにご相談ください。
経験豊富な専門医が在籍しており、環境面や設備面も充実していて、専門的な治療を受けられます。
パニック障害とは
パニック障害は、突如として強烈な不安感や恐怖感が襲ってくる疾患であり、特に心臓の鼓動が急に早くなったり、呼吸がしづらくなったりする身体的な症状が特徴です。
パニック発作は、数分から十数分続きます。発作が繰り返し発生することで、恐怖が増し次第に外出や人前に出ることが難しくなります。
パニック発作がひどい場合は「このまま死んでしまうかも?」など、死への恐怖を感じる人もいます。
パニック発作が頻繁に発生する場合は、日常生活に大きな支障が出るため、早期に治療を受けるようにしましょう。
【軽度と重度】パニック障害の具体的な症状
本章では、パニック障害の具体的な症状を、軽度と重度の2つに分けて解説します。自分または周囲の人が、パニック障害の恐れがある場合は、最後まで読んで参考にしてください。
- 【軽度の場合】主なパニック障害の症状3つ
- 【重度の場合】主なパニック障害の症状3つ
それでは、詳しく見ていきましょう。
【軽度の場合】主なパニック障害の症状3つ
軽度のパニック障害では、以下の3つの症状がよく見られます。
1つ目は、心拍数の増加です。軽度のパニック発作中は、心臓が速く鼓動したり、息が切れたりするような感覚がともなう場合が多いです。
2つ目は、軽い息切れになります。発作時に呼吸がしづらくなることがあり、この感覚が不安感を強めることになります。
3つ目は、手足の震えや冷や汗です。体の震えや冷や汗は、軽度のパニック発作中に生じる身体の過剰反応です。手足の震えや冷や汗は、通常短時間で収まりますが、発作を繰り返すと不安感が増し生活に支障をきたすため注意してください。
【重度の場合】主なパニック障害の症状3つ
重度のパニック障害では、以下の3つの症状がよく見られ、症状が強く現れることがあります。
1つ目は、激しい胸の痛みや圧迫感です。重度のパニック障害では、胸の痛みが強く、心臓発作と間違われることもあります。
2つ目は、呼吸困難や強い窒息感です。軽度の場合は、軽い息切れ程度ですが重度のパニック障害では「息ができない」や「息苦しい」と感じることが多く、呼吸が浅くなります。
3つ目は、強烈な不安感と喪失感です。発作中に現実と非現実の区別がつかなくなることがあり、めまいが起きたり、意識がぼやけたりします。
強烈な不安感や喪失感は、うつ病の原因にもなり、死への恐怖を感じさせる可能性も高いため、早期に適切な治療が必要です。
パニック障害のセルフチェックと受診の目安
パニック障害を疑った場合、まずは自分でセルフチェックを行うようにしましょう。
主に、下記の症状が繰り返されている場合には、パニック障害の疑いがあるため、早期の治療がおすすめです。
- 突如として強い不安感や恐怖感が襲う
- うまく息ができないような息苦しさを感じる
- めまいがする
- 胸部や腹部の痛み
- 寒気がする
- 急に汗がふき出す
上記の症状が定期的に現れる場合は、パニック障害の可能性が高いと考えられます。
特に、発作が日常生活に影響を与えている場合や、回数が増えている場合は、早めに専門医に相談してください。
軽度のパニック障害になる3つの原因
本章では、軽度なパニック障害になる3つの原因を解説します。主に、ストレス、遺伝子要因、脳の機能が挙げられます。
- ストレス
- 遺伝的要因
- 脳の機能
パニック障害になる原因を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
ストレス
ストレスは、軽度のパニック障害を引き起こす主な原因です。
日常生活の中で発生する仕事や家庭の問題、人間関係のトラブルなど、さまざまなストレスが蓄積されると、心身に負担がかかります。特に、長期間にわたる過剰なストレスは、自律神経を乱し、体の反応が過敏になるでしょう。
ストレス管理の方法を学び、自分に合った休養やリラックスする時間を確保すると、パニック発作の予防に効果的です。自分のストレスレベルを客観的に分析し、適切な対処法を取るようにしましょう。
遺伝的要因
パニック障害は、遺伝的な要因も関与します。
家族にパニック障害や不安障害がある場合は、遺伝的な影響を受けやすくなります。具体的には、親や兄弟に同じような症状が見られる場合です。
また、遺伝的な要因は、脳内の神経伝達物質やホルモンバランスに関わる遺伝子が関与していると考えられています。
特に、セロトニンやノルアドレナリンは、神経伝達物質に関係しています。これらの物質が適切に働かない場合は、過剰な不安感や恐怖感が引き起こされやすくなると覚えておきましょう。
脳の機能
脳の機能も、軽度のパニック障害を引き起こす原因です。
パニック障害を発症する人の脳は、ストレスや不安に対する反応が過剰であることが知られています。
脳内の「扁桃体」が、危険や脅威を感知する役割を担っていますが、扁桃体が過剰に反応すると、実際には危険ではない状況でも強い恐怖を感じてしまいます。
また、脳内の神経伝達物質が不安や恐怖の調節に関わっていますが、物質のバランスが乱れると、過度な不安反応が生じる場合が多いです。
脳の機能的な問題が原因で、軽度のパニック障害が引き起こされることがあるため、脳の機能を正常に保つために適切な治療や精神的なサポートが必要です。
パニック障害になりやすい人の特徴
パニック障害は誰にでも発症する可能性がありますが、特定の要因があると発症しやすいとされています。
特に、下記の傾向がある人はパニック障害になりやすいため、注意が必要です。
- 何事にも真面目で、完璧主義者
- 周囲の人間関係でストレスを感じている人
- 精神的、肉体的に疲弊している人
- 不安や恐怖を感じやすい性格の人
- うつ病になっている人
上記の特徴がある人は、比較的パニック障害になりやすい傾向にあります。それぞれ確認していきます。
何事にも真面目で、完璧主義者
真面目で完璧主義な性格の人は、仕事やプライベートにおいて常に高い基準を追求する傾向があります。
しかしながら、このような性格はときに自分自身へのプレッシャーやストレスを生みパニック障害を引き起こすことがあります。
また、他者が自分と同じ水準を保つことを期待してしまい、それが原因でコミュニケーションや人間関係において摩擦を引き起こすことも考えられます。
真面目さや完璧主義のポジティブな側面を活かしつつ、自分の努力に対して柔軟な視点を持つことが重要です。
周囲の人間関係でストレスを感じている人
人間関係がストレスの原因となることは、多くの人に共通する課題です。
特に、他者とのコミュニケーションにおいて自分の意見や気持ちを上手に伝えられない場合、心の中に不満やフラストレーションを溜め込んでしまいパニック障害を引き起こしてしまうのです。
また、相手の期待に応えようとするあまり、自分の本来の気持ちが犠牲になり、結果的に精神的な負担が増大することも少なくありません。
このような状況を乗り越えるためには、他者に頼ることや、自分の感情を適切に表現する訓練を行い、相互理解を深める努力が必要です。
精神的、肉体的に疲弊している人
現代社会の忙しさの中で、精神的・肉体的な疲弊に直面している人は少なくありません。
仕事や家庭、対人関係など、さまざまなプレッシャーや義務によって心身が追い込まれると、自分を休ませる時間が取れなくなりパニック障害が発症します。
このような状態が続く場合には、ライフスタイル全体を見直す必要があります。
十分な睡眠、適度な運動、バランスの取れた食事は、心身の回復において重要な要素です。
同時に、疲労の原因を特定し、それを軽減するための行動を取ることが健康維持のための鍵となります。
不安や恐怖を感じやすい性格の人
不安や恐怖を感じやすい性格の人は、慎重で思慮深い一方で、小さな変化やリスクに対して過度に反応してしまう場合もあります。
この性格は、危険を察知して回避する能力として有益に働くことがありますが、過剰になると日常生活に影響を及ぼします。
特に、未知の状況や予測できない未来に直面したときに、不安が増幅しパニック障害を発症してしまいます。
まずは、自身の性格を否定せず自分の感じている不安を受け入れることが重要です。
また、不安を管理するためにリラクゼーション法や心を落ち着かせるテクニックを学ぶことも効果的です。
うつ病になっている人
うつ病は、個人によって症状や原因が異なりますが、共通して感じるのは持続的な落ち込みやエネルギーの低下です。
この状態では、以前楽しかったことが楽しめなくなる「興味喪失」や、疲労感、集中力の低下が見られる場合もあります。
周囲から「頑張れ」と言われても、自力では状況を改善するのが難しいと感じる人が多いでしょう。
うつ病を発症している場合もパニック障害が併発する可能性が高まります。
軽度のパニック症状が出たときの対処法
本章では、軽度なパニック症状が出たときの対処法を解説します。
- 深呼吸をする
- なるべく別のことを考える
軽度なパニック症状が頻繁に発生して対処法に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
深呼吸をする
軽度なパニック障害の症状がでたら、まず深呼吸です。
パニック発作が起こると、呼吸が浅くなり、息苦しさや胸の圧迫を感じる場合が多いです。
呼吸の乱れは、不安を増幅させて症状が悪化する原因になるため、深呼吸を行って心拍数を落ち着けるとパニック発作を抑える効果があります。
深呼吸は、腹式呼吸を意識して行うとより効果的です。具体的な実践方法として、お腹を膨らませるようにゆっくりと深く息を吸い、口からゆっくりと息を吐き出します。
深呼吸を繰り返すと、交感神経が鎮静化され、リラックスした状態に戻る可能性が高いです。深呼吸は短時間でできる対処法であり、パニック発作の初期段階で実践すると、発作が悪化するのを防ぐ効果が期待できるでしょう。
なるべく別のことを考える
パニック発作が出たときの2つ目の対処法として、なるべく別のことを考える方法があります。
パニック発作が始まると、強い不安感や恐怖感に支配され、現れた症状に思考が集中してしまいます。結果的に、不安感がさらに増してパニック発作が長引いてしまうケースも少なくありません。
そのため、パニック発作中は、意識的に別の物事に集中すると、怖れや不安から自分を切り離せるため効果的です。
- 身の回りの物に注意を向ける(何かの色や形、大きさなどを観察する)
- 好きなことを考える(旅行の計画や自分の趣味など)
- 計算やパズルなどの集中力を必要とする物事を考える
前述したような方法で、意識を他の事柄に向けるとパニック発作が起こっていることを忘れる手助けとなり、症状の悪化を防げるようになります。
パニック障害の2つの治療法
本章では、パニック障害の効果的な治療法を解説します。主に、精神療法と薬物療法の2パターンがあります。
- 精神療法
- 薬物療法
それぞれを詳しく見ていきましょう。
精神療法
パニック障害の効果的な治療法の1つに、精神療法(認知行動療法)が挙げられます。
認知行動療法は、パニック障害に対する効果が認められている精神療法です。パニック障害の患者が抱える不安や恐怖に対する考え方や行動パターンを変える効果があります。
具体的には、パニック発作が起こる原因や状況を理解し、恐怖を引き起こす思考を現実的で冷静なものに修正する手法です。
パニック障害の患者は、自分の不安を過剰に感じる癖や、パニック発作に対する恐れからくる回避行動を認識し、対処法を学びます。
精神療法は、患者自身が自分の不安に対処できる力を養い、再発を防ぐのに効果的です。
薬物療法
薬物療法は、パニック障害の症状を軽減し、発作を抑えるために使用される治療法です。
パニック障害の患者には、主に抗不安薬や抗うつ薬の処方が効果的です。抗不安薬(ベンゾジアゼピン系薬物)は、急性の発作を抑えるために使用されますが、長期的には依存症のリスクがあるため、短期間での使用が推奨されます。
一方、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)などの抗うつ薬は、パニック発作を予防する目的で長期的に使用される薬です。
上記2種類の薬によって、脳内の神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリン)のバランスが整うため、パニック発作の頻度や強度を減らせるようになります。
また、薬物療法は、精神療法と併用すると早期の回復が見込めるため、さらに効果が期待できます。
パニック発作が出やすくなる食べ物
本章では、パニック発作が出やすくなる食べ物を紹介します。
- カフェインを多く含むもの
- 塩分を多く含むもの
- 加工食品や人工甘味料
パニック発作が繰り返し発生し、改善方法にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
カフェインを多く含むもの
パニック障害の方は、カフェインを多く含むものをあまり摂取しない方がいいです。カフェインは、中枢神経を刺激する作用があり、体内で覚醒状態を促進します。
そのため、カフェインを多く含む飲み物や食品(コーヒー、エナジードリンク、紅茶、チョコレートなど)は、パニック発作を引き起こす原因になる可能性があります。
また、カフェインは、心拍数を上げたり血圧を上昇させたりするため、体にストレスを感じさせやすく不安感を強める危険性が高いです。特に、敏感な人はカフェイン摂取直後に息切れや動悸が激しくなる場合があり、パニック発作につながってしまいます。
したがって、パニック障害の症状がある人は、カフェインを控えるか、摂取量を減らすようにしましょう。
塩分を多く含むもの
塩分(ナトリウム)は、体内の水分量や血圧を調整する重要な役割を担っていますが、過剰摂取はパニック発作を引き起こす原因になる可能性があります。
過剰な塩分摂取は、体内のナトリウムと水分バランスを崩し、血圧を上昇させるため、心拍数や呼吸が不規則になることが多いです。
例えば、インスタントラーメンやスナック菓子、塩辛い加工食品などが挙げられます。
普段の塩分摂取を控えると、心身の安定を保ちやすくなり、パニック障害の予防につながるでしょう。
加工食品や人工甘味料
加工食品や人工甘味料も、パニック発作が出やすくなる食べ物として知られています。
加工食品(冷凍食品、缶詰、ファストフードなど)は、高脂肪や高糖分、添加物を多く含んでおり、体にストレスを与えやすく血糖値の急激な変動を引き起こします。
血糖値の急激な変動は、不安や緊張感を生じさせ、パニック発作を引き起こすリスクが高まるため注意が必要です。
また、人工甘味料は体内で化学的に処理される際、脳に影響を与える可能性が高いため神経系が刺激されて、パニック症状を悪化させる危険性が高いです。
加工食品や人工甘味料が入った食品を避けることで、身体への負担を減らし、安定した心身の状態を保つようにしましょう。
【セルフケア】パニック障害を乗り越えるためのポイント
パニック障害を予防・改善するためには、日々のセルフケアが大切です。
まず、規則正しい生活を心がけ、睡眠不足や食事の偏りを避けるように心がけましょう。日常生活に定期的な運動を取り入れることで、ストレスを軽減し、身体的な健康を保てるようになります。
また、自己肯定感を高めるために、小さな成功体験を積み重ね、ポジティブな思考を育てることも重要です。
リラックスする時間を確保し、自分に合った趣味やリフレッシュ法を見つけて日常生活に取り入れてみましょう。
軽度のパニック症状が出た場合は早めに受診しよう
本記事では、軽度のパニック障害の症状と、原因を詳しく解説しました。
軽度のパニック障害では、息切れや心拍数の増加、手足の震えなどが多く発生します。まずは、セルフチェックを行って、自分自身の状況を冷静に分析しましょう。
また、軽度のパニック症状の場合でも、放置せずに早期に専門医に相談するべきです。パニック症状が、さらに進行する前に適切な治療を受けて、重度の症状が発生しないように気をつけましょう。
パニック障害でお悩みの方は、ぜひ一度横浜よりそいメンタルクリニックにご相談ください。