「パニック障害の初期症状は?」
「パニック障害って聞いたことあるけどどのような病気なの?」
「セルフチェックの仕方が知りたい」
このようなお悩みを抱えている方いませんか?
結論からいうと、パニック障害の初期症状は「パニック発作」です。
パニック発作とは、なんの前触れもなく突然強い不安感や恐怖心に襲われて「このまま死んでしまうのではないか」と思うくらいの危機を感じてしまう発作です。
本記事では、パニック発作が初めて起きた時にする行動や初期症状への対処法、治療法などをご紹介します。
なお、パニック障害の治療は横浜よりそいメンタルクリニックにご相談ください。
経験豊富な専門医が在籍しており、環境面や設備面も充実していて、専門的な治療を受けられます。
パニック障害の発症初期に起こる症状とは?
パニック障害の初期に起きる症状は、強い不安や恐怖心を伴うパニック発作が中心です。
発作は通常10〜15分以内にピークに達し、数分ほどで落ち着くことが多いとされています。
発作の頻度には個人差があり、毎日発作を起こす方もいれば、一度発作が起きた後に、数週間〜数ヵ月発作が起きない方もいます。
そもそもパニック障害とは?
パニック障害は、極めて強い苦痛や不安がなんの前触れもなく、身体症状や精神症状をともなって突然現れるパニック発作が発症初期に生じます。
ここからは、パニック障害をより理解するために、以下の内容を解説します。
- パニック障害の原因
- パニック障害と併発しやすい病気
- パニック障害になりやすい人の特徴
それでは、くわしく見ていきましょう。
パニック障害の原因
パニック障害の症状が起きる原因は、おもにストレスにより脳内の神経伝達物質のバランスが崩れたり、うまく働かないことといわれています。
脳内の神経伝達物質のバランスや働きが悪くなると、脳が不安や恐怖を感じやすくなり、自律神経症状も出やすくなります。
また、遺伝や体質などの影響を受けることもあり、過労や睡眠不足も発症の原因のひとつでしょう。
いまのところ原因の究明にはいたっておらず、いろいろな要素が複合的に重なって発症すると考えられています。
パニック障害と併発しやすい病気
パニック障害とうつ病は併発しやすいといわれています。
どちらも、脳内神経伝達物質のバランスが崩れることで発症するといわれており、関係が深いためです。
将来への不安や焦りに加えて、日々のパニック発作への不安からうつ病を併発してしまう方も少なくありません。
そのため、何かパニック障害やうつ病が疑われるような症状を感じたら、早めに専門医への相談が大切です。
パニック障害になりやすい人の特徴
パニック障害は、ストレスが引き金になって発症しやすいため、以下の特徴を持つ人はなりやすい傾向があります。
- ストレスに弱い人
- 常に大きなプレッシャーやストレスにさらされている人
また、仕事に追われて睡眠不足が続いている人や過労の人も発症しやすいといわれています。頑張りすぎがストレスを蓄積させて、結果「脳の誤作動」を引き起こしてしまうのです。
できるだけ無理をしないことが、パニック障害を予防するひとつのポイントとなるでしょう。
パニック障害の初期症状が起きた際はどうする?
初めて「パニック発作」が起きた際に、取ったほうがいい行動は以下の2つです。
- 落ち着くまで休む
- 原因を病院で検査する
くわしく解説します。
落ち着くまで休む
パニック発作が起きたら、まずはゆっくりと深呼吸をしてリラックスしましょう。
パニック発作の症状はずっとは続かないので、近くのベンチなどに座って発作がおさまるのを待ちます。深呼吸するときはゆっくりと空気を吸って、吐くときは吸うときの2倍の時間をかけて吐くといいでしょう。
そうすることで、数十分〜1時間ほどで副交感神経が優位になり症状が落ち着いてきます。
原因を病院で検査する
通常、パニック発作はなにか身体的な異常が原因で起こるものではなく、検査をしても異常がみられないことがほとんどです。
しかし、パニック発作に似た症状は下記のような他の疾患でも生じることがあります。
- 狭心症
- メニエール病
- 喘息
- 甲状腺機能亢進症
- バセドウ病 など
最初に発作が起きた時は、検査を受けて身体の状態を確認し、上記のような病気が原因でないことを確かめることが大切です。
病院の検査により、身体に異常がないことが確認できたら、そこで初めてパニック障害の疑いがでてきます。
【チェックリストあり】パニック障害の診断基準
今回は、一般的な診断基準としてよく用いられている「DSM-5」をご紹介します。
以下、Aの13の設問のうち、4つ以上の症状が当てはまる方はその下のBに進んでください。
Dまで当てはまった方は、パニック障害の可能性が高いといえます。
A | |
1 | 動悸、心悸亢進、または心拍数の増加 |
2 | 発汗 |
3 | 身震いまたは震え |
4 | 息切れ感または息苦しさ |
5 | 窒息感 |
6 | 胸痛または胸部の不快感 |
7 | 嘔気または腹部の不快感 |
8 | めまい感、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じ、または気が遠くなる感じ |
9 | 寒気または熱感 |
10 | 異常感覚(感覚麻痺またはうずき感) |
11 | 現実感消失(現実ではない感じ)または離人感(自分自身から離脱している) |
12 | 抑制力を失うまたはどうにかなってしまうことに対する恐怖 |
13 | 死ぬことに対する恐怖 |
注:文化特有の症状(例:耳鳴り、首の痛み、頭痛、抑制を失っての叫びまたは号泣)がみられることもある。この症状は、必要な4つの症状の1つと数えるべきではない。
B.発作のうち少なくとも1つは、以下に述べる1つまたは両者が1ヵ月(またはそれ以上)続いている。
1 | さらなるパニック発作またはその結果について持続的な懸念または心配 (例:抑制力を失う、心臓発作が起こる、”どうかなってしまう”) |
2 | 発作に関連した行動の意味のある不適応的変化 (例:運動や不慣れな状況を回避するといった、パニック発作を避けるような行動) |
C.その障害は、物質の生理学的作用(例:乱用薬物、医薬品)、または他の医学的疾患(例:甲状腺機能亢進症、心配疾患)によるものでない。
D.
その障害は、他の精神疾患によってうまく説明されない(例:パニック発作が生じる状況は、社交不安症の場合のように、恐怖に対する社交的状況に反応して生じたものではない;
限局性恐怖症のように、限定された恐怖対象または状況に反応して生じたものではない;
心的外傷ストレス障害のように、外傷的出来事を想起させるものに反応して生じたものではない;
または、分離不安症のように、愛着対象からの分離に反応して生じたものではない)
※出典:日本精神神経学会日本語版用語監修、髙橋三郎ほか監訳:DSMー5精神疾患の診断・統計マニュアル、医学書院、2014
パニック発作が頻発してつらい、またパニック発作が起きたらどうしようという不安が強い、不安によって行動が制限されているなど日常生活や社会活動に支障をきたしている場合は早めの受診をおすすめします。
【初期症状後】パニック発作への対処法5選
パニック発作は身体的にも精神的にも強い苦痛をともないます。ですが、対処法を知っておくことで安心につながり、症状を少しでも軽くできるでしょう。
主な対処法は、以下の通りです。
- 力を抜いてゆっくりと深呼吸する
- ずっとは続かないと自分に言い聞かせる
- 飲み物をのむ
- お気に入りの動画や音楽を見たり聴いたりする
- 頓服の薬を服用する
くわしく解説します。
力を抜いてゆっくりと深呼吸する
発作が起きたら、とにかく深い呼吸を意識してみましょう。深呼吸は交感神経の興奮を抑え、副交感神経を優位にしてくれます。
くわしい深呼吸のやり方は以下の通りです。
- まずは安全で静かな場所に移動する。
- 一度に多くの空気を吸い込まずに、ゆっくりと時間をかけて深く呼吸をする。
- 腹部を収縮させるように、ゆっくりと腹式呼吸をする。
深呼吸を日常生活で習慣化することによって、深呼吸の練習にもなりますし、ストレスの軽減にもつながるのでぜひ取り入れてみてください。
ずっとは続かないと自分に言い聞かせる
パニック障害の発作は、ピークを過ぎてから長くても1時間ほどでおさまる可能性が高いです。
身体的にも精神的にも苦痛な症状が現れますが、「死ぬことはないし、そのうち治まる」と思うと少し気が楽になります。
発作が起きている間も、「ずっとは続かないから大丈夫だよ」と自分に優しく言い聞かせてあげてみてください。次第にすこしずつ、リラックスできるでしょう。
飲み物をのむ
パニック発作が起きたら、飲み物を飲んで気持ちを落ち着かせることも大事です。
温かい白湯やミネラルウォーターなど、自分の好きな飲料を持参すると発作が起きてもすぐに口に含めるため、おすすめです。
特におすすめの飲料は、下記に紹介します。
- ハーブティー
- 黒豆茶
- 生姜湯
この3つに共通しているのは、カフェインレスなことです。カフェインはパニック障害と相性がよくないので、避けた方が無難でしょう。
上記のなかでも特に、ハーブティーは気分をリラックスさせる効果があると言われています。ラベンダー、ペパーミント、カモミールなどいろいろな種類があるので、自分の好みの味や香りのハーブティーを探してみてはいかがでしょうか。
お気に入りの動画や音楽を見たり聴いたりする
パニック発作はおもに乗り物などの閉じ込められた場所、そこから逃げるのが困難な場所で起きやすいです。
そこでおすすめなのが、自分のお気に入りの動画や音楽を見たり聴いたりすることです。「発作が起きたらどうしよう」といった不安から意識をはずすことで、気を紛らわすことができるでしょう。
また、いつも見たり聴いたりしているものは、気持ちを安心させやすくする効果もあります。
不安になりそうな場所に行くときなどは、いつでも見たり聴いたりできるように、外出前に準備しておくといいかもしれません。
頓服の薬を服用する
発作が起きたら、頓服の薬を服用するのも一つの方法です。パニック障害の患者さんには、おもにベンゾジアゼピン系と呼ばれる抗不安薬を処方されることが多く、副交感神経を刺激して落ち着かせる作用があります。
発作が起きそうなときや、発作が起きてすぐのタイミングで服用するのが効果的です。
「発作が起きても薬を飲めば大丈夫」と気持ちに余裕ができるので、お守り代わりとして持ち歩くといいかもしれません。
ただ、副作用のリスクもあるので、服用の際は主治医の指示に必ず従うようにしましょう。
パニック発作が繰り返しおきるとどうなる?
パニック発作が繰り返しおきると、以下の症状が生じるようになります。
- 予期不安
- 広場恐怖
くわしく解説します。
予期不安
予期不安とは、パニック発作を繰り返すうちに「またあの発作が起きたらどうしよう」と強い不安を感じるようになる症状のことです。
パニック障害が慢性化してきはじめた時にみられる症状のひとつで、早めの治療が必要になります。
パニック発作を繰り返すごとにさらに予期不安が強くなり、悪循環に陥ってしまうこともあるでしょう。そうなってしまうと外出が困難になり、職場や学校にいけなくなる場合もあります。
なお、このような予期不安は、パニック発作が改善した後にも残る場合があるので注意が必要です。
広場恐怖
広場恐怖とは、予期不安を強く感じることで発作が起きそうな場所や状況を避けるような行動を取る症状です。
特にパニック発作が起きた時にすぐに逃げられなかったり、助けを呼べなかったりするような以下の場所に強い恐怖を感じます。
- エレベーター
- 電車
- 飛行機
- 人混み など
これらの恐怖の対象になる場所を次第に避けるようになり、日常生活を送れなくなってしまうのです。
この広場恐怖の症状は、パニック障害の患者さんの多くにみられる症状で、徐々に外出や行動を起こす気がなくなります。
そこから家に引きこもりがちになってしまうと、精神的に弱ってしまい、うつ状態にもなってしまう可能性があります。
パニック障害の治療法|初期症状を感じたら
つらいパニック障害にも治療法があります。それが以下の治療法です。
- 精神療法
- 薬物療法
くわしく解説します。
精神療法
精神療法にはおもに以下の2つの治療法があります。
- 認知行動療法
- 行動療法(暴露療法)
それぞれ解説していきます。
認知行動療法
認知行動療法とは、認知(考え方、受け止め方、思い込みなど)を見直して、修正しながら苦手なものや場所に少しずつ慣れさせていく治療法です。
パニック障害の予期不安や広場恐怖などは、患者さんの誤った考え方や認識が原因となっていることもあります。
たとえば、「電車に乗ること」と「パニック発作」という無関係な2つの事柄を強く関連付けて考えてしまうことなどです。
カウンセラーなどと一緒に、必要以上に不安や恐怖を感じている場面を考え、その認知や解釈に誤りがないかを確認します。そして一緒に修正しながら認知を再構築していきます。
患者さんが意義を理解して取り組んでいけば、とても有効な治療法です。
暴露療法
暴露療法とは、実際にパニック発作が起こった場所や状況を再現し、そこに自分の身をさらして恐怖感や不安感を薄めていく治療法です。
心理士や治療者のもと、いきなり強い不安に向き合うのではなく、不安が少ない場所から徐々にステップアップさせていきます。
恐怖や不安に少しずつ挑戦していくことで、「大丈夫なんだ」と感じていき、自信がついてきます。
最終的に、不安な場面や状況に身を投じても「何もなかった」ことを治療者の人と一緒に確認することが重要です。
薬物療法
パニック障害には、薬物療法も用いられます。特にパニック発作は、薬物療法で抑えられる可能性が高いです。抗うつ薬・抗不安薬を使って脳や神経に働きかけます。
抗うつ薬はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が使われることが多いです。神経伝達物質のひとつであるセロトニンの量を増やし、情報伝達の働きをスムーズにして発作を抑えてくれます。
抗不安薬はベンゾジアゼピン系の薬が使用されることが多く、副交感神経を刺激して神経を鎮めてくれる働きがあります。
ただ、副作用が起きやすく依存性の問題もあるため、主治医と相談しながら調整が大事です。
パニック障害の初期症状を感じたら早めにクリニックへ
パニック障害は、初期の頃はパニック発作が中心ですが、慢性化してくると予期不安や広場恐怖の症状に移行してきます。
本記事を読んで、パニック障害かもしれないと感じた方は慢性化する前に、医療機関の受診を強くおすすめします。当院ではパニック障害はもちろん、うつ病などの精神疾患も含め幅広く対応が可能です。
アクセスも良く、土日も診療しており、設備面も充実していて通院しやすい環境が整っています。ぜひ横浜よりそいメンタルクリニックまでご相談ください。